• "揮発性有機化合物"(/)
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  1. 杉並区議会 2008-11-25
    平成20年第4回定例会−11月25日-19号


    取得元: 杉並区議会公式サイト
    最終取得日: 2021-09-29
    平成20年第4回定例会−11月25日-19号平成20年第4回定例会 平成二十年第四回定例会杉並区議会会議録(第十九号) 平成二十年十一月二十五日 午前十時開議 出席議員四十六名 欠席議員二名  一番  け し ば  誠  一  二番  堀  部  や す し  三番  松  尾  ゆ  り  四番  北  島  邦  彦  五番  市  橋  綾  子  六番  小  松  久  子  七番  す ぐ ろ  奈  緒  八番  奥  山  た え こ  九番  増  田  裕  一 一〇番  安  斉  あ き ら 一一番  いがらし  ち  よ(出産のため欠席) 一二番  岩  田  い く ま 一三番  中  村  康  弘
    一四番  北     明  範 一五番  吉  田  あ  い 一六番  は な し  俊  郎 一七番  大  熊  昌  巳 一八番  藤  本  な お や 一九番  原  田  あ き ら 二〇番  くすやま  美  紀 二一番  小  野  清  人 二二番  山  田  な お こ 二三番  田  中  朝  子 二四番  太  田  哲  二 二五番  川 原 口  宏  之 二六番  大  槻  城  一 二七番  渡  辺  富 士 雄 二八番  松  浦  芳  子 二九番  関     昌  央 三〇番  井  口  か づ 子 三一番  富  本     卓 三二番  河  野  庄 次 郎 三三番  小  倉  順  子 三四番  原  口  昭  人 三五番  藤  原  淳  一 三六番  鈴  木  信  男 三七番  小  川  宗 次 郎 三八番  田  代  さ と し 三九番  河  津  利 恵 子 四〇番  島  田  敏  光 四一番  横  山  え  み 四二番  青  木  さ ち え(欠席) 四三番  大  泉  時  男 四四番  伊  田  としゆき 四五番  斉  藤  常  男 四六番  木  梨  もりよし 四七番  小  泉  や す お 四八番  今  井     讓 出席説明員  区長           山 田   宏  副区長          松 沼 信 夫  副区長          菊 池   律  政策経営部長       高   和 弘  行政管理担当部長     大 藤 健一郎  区長室長         与 島 正 彦  危機管理室長       赤 井 則 夫  区民生活部長       佐 藤 博 継  保健福祉部長       遠 藤 雅 晴  高齢者担当部長      長 田   斎  子ども家庭担当部長    玉 山 雅 夫  杉並保健所長       長 野 みさ子  都市整備部長       上 原 和 義  まちづくり担当部長    大 塚 敏 之  土木担当部長       小 町   登  環境清掃部長       原   隆 寿  会計管理室長(会計管理者) 山 本 宗 之  政策経営部企画課長事務取扱政策経営部参事               井 口 順 司  区長室総務課長      石 原 史 郎  教育委員会委員長     大 藏 雄之助  教育長          井 出 隆 安  教育委員会事務局次長   小 林 英 雄  教育改革担当部長     森   仁 司  済美教育センター所長   小 澄 龍太郎  中央図書館長       和 田 義 広  選挙管理委員会委員長   塩 原 榮 子  代表監査委員       四 居   誠  監査委員事務局長     武 笠   茂 平成二十年第四回杉並区議会定例会議事日程第二号                平成二十年十一月二十五日                      午前十時開議 第一  一般質問 ○副議長(小川宗次郎議員) 議長の職務を代行いたします。  これより本日の会議を開きます。  出席議員の数は定足数に達しております。  会議録署名議員は、前回の会議と同様であります。  これより日程に入ります。  日程第一、区政一般についての質問に入ります。  一番けしば誠一議員。      〔一番(けしば誠一議員)登壇〕 ◆一番(けしば誠一議員) 無所属区民派の一般質問を行います。  急激な円高による業績悪化とアメリカ発の金融恐慌への不安が広がり、自動車や精密機械など輸出産業で働く派遣労働者の契約解除が相次いでいます。トヨタ自動車福岡では、六月と八月に計八百人の派遣契約を解除、系列の関東自動車工業でも、六月に百五十人が契約打ち切り、日産自動車の栃木・九州工場では、十二月以降、計七百八十人の契約更新を行わないと発表しました。  派遣会社では寮生活が多く、首になれば住む場所を失い、貧困層が一挙に拡大します。マスコミの最近の調査では、労働者で今後一年に解雇の危険を感じている者が二三%を超え、労働者の四人に一人が首切りの危機を感じていることがわかりました。  最近、国が進めている教育改革を民族主義的立場から評価する論客として、私と立場は違いますが、注目している関岡英之氏が、東京新聞に「市場原理主義の破綻と日本」という論文を書きました。今アメリカでは、レーガン政権以降の小さな政府を掲げた市場原理主義、新自由主義が思想的にも実践的にも破綻し、政府の役割の再評価、市場に対する規制と監視の強化が求められるに至ったことを紹介しています。  小泉政権も山田区政も、経済の活性化は規制緩和と自由な市場が必要と強調し、官から民へ、民でできるものは民でとあおり立て、民営化を推し進めてきました。  その結果、目の前にあらわれたのは、一握りの階層が膨大な富を独占し、他方では、最低限の生きる手段すら奪われた膨大な貧困層を抱える格差社会でした。アメリカ流の市場原理主義は、地道な生産活動を破壊し尽くし、企業経営者が成長するためには、エンロン事件やライブドア事件のように不正の限りを尽くす以外になくなりました。アメリカ発の金融恐慌が自動車産業に波及し、アメリカ依存の日本の経済体制は根底から崩れ出し、資本主義の最後のあだ花であった市場原理主義、新自由主義が歴史的終えんを迎えました。  自治体の長としてその先頭を走り続けてきた山田区長に、今、その根底的総括と区の施策の抜本的見直しを求める意図で、区政一般について質問いたします。  その第一は、区長の政治姿勢です。  田母神前航空幕僚長論文と区長の歴史認識について伺います。  十一月十一日、参議院外交防衛委員会は、前航空幕僚長・田母神俊雄氏を参考人招致し、侵略と植民地支配を認めた一九九五年の村山談話や政府見解を否定した田母神氏の懸賞論文に関する喚問を行いました。田母神氏の答弁における防衛大臣に対する抵抗姿勢、制服組トップによる統一見解に対する意識的な抵抗は、言論によるクーデターに等しい行為です。この事態に対する区長の見解を求めます。  田母神論文は、第一に、日本は朝鮮半島や中国大陸で一方的に軍を進めたことはない。第二に、蒋介石に日中戦争に引きずり込まれた被害者は日本。第三に、多くのアジア諸国人民が大東亜戦争を肯定的に評価していることを理由に、我が国が侵略国家だったなどというのはまさにぬれぎぬと主張しています。この三点について、区長の歴史認識を求めます。  田母神氏の独特な主張こそ、新しい歴史教科書をつくる会が新自由的思想を背景に憲法九条を改定する目的で組織してきた独自の歴史観です。田母神氏が統合幕僚学校時代つくった幹部教育の歴史観・国家観講座の講師陣は、つくる会の正副会長であったことが防衛省の発表でわかりました。つくる会現副会長・福地惇氏、前会長・八木秀次氏、前副会長・高森明勅氏の顔ぶれです。  懸賞論文の審査員もつくる会の論客で固め、教科書改善を進める有識者の会世話人の渡部昇一氏と賛同人の産経新聞客員編集委員・花岡信昭氏です。歴史学的には価値に値しない田母神論文を最優秀賞に選ぶ、まさにつくる会の出来レースだったのです。田母神氏が自衛隊高級幹部としての立場を利用して政府統一見解を否定し、偏った歴史観と国家観を隊内に広げる活動は、自衛隊法や内規に違反する行為であると思うが、どうでしょう。  防衛庁を省に格上げしてからの自衛隊の不祥事は絶えません。海外派兵が本務とされて以降、おごりが目立ちます。市民運動を敵視、監視する情報保全隊の問題、漁民二人の命を奪ったイージス艦「あたご」事件の連鎖の中で、今回の重大な事件に政府は甘い態度を示し、処分しないことでますます増長させています。憲法と自衛隊法を否定してなお傲慢に居直る田母神氏に対する厳正な処分を求めるべきと考えますが、区長の見解を問います。  海上自衛隊幹部が米海軍最大の原子力潜水艦「オハイオ」に乗船し、沖縄海域で日米合同軍事演習に加わっていたことがわかりました。自衛隊が米軍と一体となって侵略戦争訓練を堂々と行っている現実が田母神発言を生み出す土壌になっています。憲法を遵守すべき区長は、これに抗議するべきと考えますが、どうでしょう。  政治姿勢の第二は、教育委員任命問題についてです。
     大統領制に近い、強い権限を持つ自治体の首長との関係から見ても、教育行政の政治的中立性を守り、児童生徒の成長を目的とする豊かな政策決定や、行政運営を確保するための合議制の教育委員会の意義は重大です。教育委員会の形骸化を指摘し、その必要性を否定する考えを発表した区長の見解を改めてお聞きします。  地方教育行政の組織及び運営に関する法律第四条は、委員選任方法と教育委員の資格に欠ける事項を定めています。教育委員の過半数が同一政党に属さず、委員は、政党その他の政治団体の役員となり、あるいは積極的な政治運動を行うことを禁じています。この法に基づけば、教育委員は特定の政治団体の機関紙に執筆したり、杉並区教育委員の肩書で政治団体の賛同者に名を連ねることは、この資格を欠く事項に触れると考えますが、区長と教育委員会の見解を求めます。  教育委員がその肩書を用いて新しい教科書をつくる団体の賛同者に名を連ね、特定の教科書の採択を求める運動にかかわっているとすれば、教育委員としてふさわしくないと考えますが、区長の判断を求めます。  政治姿勢の第三は、景気対策と定額給付金についてです。  政府は、ついに景気が下降局面に入り不況に突入したことを認めました。景気対策として打ち出された天下の愚策、定額給付金に対する区長の見解をお示しください。  支給方法も定まらず、所得制限は自治体任せなど、自治体側にもたらす多大な負担を考えると、撤回させる以外ありません。自治体間でどのような動きがあるのでしょうか。区長は撤回を求めるべきと思いますが、どうか。  これが総選挙向けのばらまきであれば、公金を使った買収のそしりを免れません。今こそ解散総選挙で有権者の信を問うべきと思いますが、どうでしょうか。  政治姿勢の最後に、住基ネット一月接続について、何点か質問します。  接続に向かう進捗状況はどうでしょう。いつから接続するのか、お伝えください。  接続の条件である「住基ネットの安全性が総合的に判断された」のは、いつの時点でしょうか。そう判断した指標を示してください。  裁判で主張していた住基ネットの危険性との整合性はどのようになるのか、説明ください。  私も含まれる非通知希望をした約八万四千人に対してどのように区長は責任をとるのか、はっきりとお答えください。  二つ目の課題は、格差社会における福祉保健施策の抜本的見直しについてであります。  新自由主義は、権利であった社会保障制度を奪い、生活していくのは自己責任としました。保険料を払えない人に対して国民健康保険証が取り上げられるようになり、無保険者が急増し、全国では昨年三十四万世帯と、十年前の四倍以上に増えています。  杉並区は昨年、滞納世帯数は三万一千人で横ばい、短期証は約五千件、資格証は八百六十七件でした。短期保険証と資格証明証の発行については自治体の裁量であったものを、二〇〇〇年に法で義務づけたことで悪化させています。自治体の裁量に任せるよう要望すべきと考えますが、どうでしょう。  無保険となった子どもが三四%の自治体にいる事実が問題となっています。区では無保険となっている子どもはいないのか。高校生以下は被保険者証の返還から除外すべきではないのか、お答えください。  格差社会のひずみは高齢者に最もあらわれています。日本福祉大学研究グループの調査で、二〇〇三年十月から二〇〇七年十月までに死亡した六十五歳以上の高齢者で、所得が最も低い第一段階高齢男性が三四・六%の死亡率、所得の高い第五段階は一一・二%と、三倍の高さであることがわかり、低所得者が受診を抑制したためと見られています。この現実をさらに拡大する後期高齢者医療保険制度に反対し、区は、医療を権利として受けられるための抜本的改正を国に要望すべきと思うが、どうでしょうか。  十月三十一日、保育園、学童クラブを運営するエムケイグループが経営難を理由に全施設を閉鎖しました。区から通う園児がいるが、どう対応したのでしょうか。保育の公的責任を放棄した民営化がもたらす必然的結果と思うが、区の見解を求めます。  厚生労働省が組織的な年金記録の改ざんを契機に二〇一一年度から導入計画中の社会保障カードは、医療、介護、年金という究極の個人情報をICカードに入れて共通番号で管理する、まさに国民総背番号制です。日本弁護士連合会は反対の意見書を出し、医師会や保険医団体も反発しています。プライバシー侵害のおそれと膨大な設備投資やランニングコストを要する費用対効果について、区の見解を求めます。  社会保障カードの導入に区長は反対すべきだと思いますが、どうでしょう。  この項の最後に、長引く不況の中、十二月一日から杉並区は、介護保険事業者へ最高三百万円の無利子緊急融資を実施します。この施策の目的と効果についてお示しください。  第三に、自治体のワーキングプアと民間委託について質問します。  自治体に働く職員のうち、非正規職員の割合は約四割と推計されています。民間委託された公務職場で働く委託、非常勤を加えると二百万近くなり、これが最近官製ワーキングプアと呼ばれている存在です。嘱託、臨時職員に支払われる賃金は、人件費ではなく物件費となるため、数字上では人件費が削減されたという形をとっています。その賃金は正規職員の三分の一以下、年収二百万円を超えるものはわずかという現状です。  区の一千人職員削減計画、スマートすぎなみ計画は、この流れを最も忠実に、しかも無慈悲に貫くものです。その結果、区の仕事にかかわる非正規職員、嘱託、パートや委託事業者の非常勤を加えると三千人を超します。この実態を区はどのように考えているのでしょうか。  最近、自治体職場で必要不可欠な非常勤職員の処遇を見直す考えが二十三区の中で始まっています。具体的な実例を挙げてください。  総務省は都を通じて、継続雇用を前提とした制度は認められないと指導してきました。杉並区は、総務省見解についてどう対応しているのでしょうか。  区の雇用年限は、働く人々に不安定雇用を強い、人材の確保すら困難にしています。非常勤を最も多用し、継続的に使用している杉並区は、そこに働く三千人の非常勤の処遇改善に取り組むべきときが来たのではないのでしょうか。  総務省の指導は、一方で総額人件費を削り、正規職員の定数削減を執拗に求めながら、それにかわって業務を担う非常勤の恒常的雇用は認めないという、実に矛盾したものです。憲法に従う自治体は、憲法違反、労働法違反の国の指導に意見を述べ、自治体に働く非常勤職員の処遇に責任をとるべきではないのでしょうか。  ワーキングプアとは、働いても生活保護基準以下の労働者とするのが一般的であり、二百万円以下の収入を通常規定しています。国税庁による二〇〇六年民間給与実態調査によれば、一時金を含めて年間所得が全体で二二・八%、女性では四三・六%。しかも、労働した日にその都度給与をもらう者や、公務員、源泉所得税の納税がない事業者に勤務する者は除かれるので、二百万円以下の数はかなり多くなります。これに加え、完全失業者が三百万人、ホームレスを含めた非完全失業者を加えると、二百万円以下の人は何と三分の一をはるかに超えています。この現実を区はどのように考えるのか、お答えください。  こうした現実を加速したのが労働者派遣法です。区に労働者を派遣している事業数、そこに働く労働者は何人いますか。  自治体で働く非常勤は、福祉職場で、しかも女性が大多数です。保育園や児童館で働く嘱託とパート週三十時間、アルバイトの時給と平均年収を示してください。  国民生活センターの調査によると、民営の学童保育での職員の定着率は、常勤でも公立民営では勤続平均六年、非常勤だと三年の低さという実態があります。民間委託化に当たり、人材の確保について区はどのように考えているのか、お答えください。  四つ目は、ごみの収集と家庭ごみ有料化問題についてです。  杉並区は、ことし三月に一般廃棄物処理基本計画を策定し、ごみの発生抑制を、拡大生産者責任の考え方とその取り組みの強化を示しながらも、家庭ごみの有料化の導入を打ち出しました。これは二十三区では初めてのことであり、重大です。ごみは、住民が抑制しても、容器包装などの製造過程での抑制がない限り減量できません。国の法改正を含め、区は自治体との協議などどのような努力をしてきたのか、お示しください。  家庭ごみの有料化が発生抑制をもたらすとのデータは、実施直後では出ているものの、時間がたてばリバウンド、つまりもとに戻って、有料化の強制だけでは意識変革は不可能であると思いますが、いかがでしょうか。  区は、生活様式の多様化や相隣関係が希薄化した状況に対応するためには戸別収集が必要とのことだが、高齢化を迎え相隣関係、つまりお隣との関係です、これを築くことは必要であり、ごみ問題は重大な契機となっています。戸別収集でますます希薄化を強める結果になるのではないか恐れますが、いかがでしょうか。  戸別収集では、当然ながら車や人の体制を大幅に増強しなければなりません。一般廃棄物処理を都から移管された条件に従い、区の職員を機軸に行ってきたが、区長は、戸別収集を口実に一般廃棄物処理に民間委託を拡大しようというのではないか、お答えください。  資源ごみの民間委託によって、一部の事業者はドライバー一人に収集を行わせていますが、その実態をつかんでいるのでしょうか。ドライバーがおりて作業をし、後ろの車の渋滞状況に急がされ、乗車する際の危険性を区はどう認識しているのでしょうか。  ごみの有料化は、全国では多摩地域を初め実施されている自治体はありますが、二十三区はいまだ実績がないことは、二十三区の生活実態と権利意識の高さを示すものです。高齢者のひとり住まいや低所得者の暮らしを考えたときに、これまでのさまざまな公共料金の負担を考えても、家庭ごみの有料化はさらに困窮を強いるのではないか、見解を伺います。  五つ目は、環境と交通安全対策のまちづくりです。  その第一に、外環道と地域PIの今後の課題について質問します。  先日行われた課題検討会では、住民から出されている水や交通問題についての質問に国や都は回答を出せず、批判を浴びました。その場で区は、今後の継続も含め真摯に対応する旨まとめをしましたが、その後どのようにその責任を果たすつもりでしょうか。  特に、大深度地下トンネル計画がもたらす具体的被害や影響について、既に各地の実例がありながらデータが出されていないという不備は、何としても解決しなければなりません。この点での区の見解を求めます。  井荻トンネルのその後の定期的調査、研究データは東京都にあるはずです。都は開示し、流動保全工法の効果と問題点を明らかにするよう求めるべきと思いますが、いかがでしょうか。  三井グラウンド開発について質問します。  覚書には、三井不動産は事業実施後、事業区域内で二・一ヘクタール以上、避難場所全体の避難計画人口三万八千六百八十人の一人当たりの避難有効面積を一・一平方メートル以上確保するとあります。覚書を遵守させるために、都、三井と適宜協議をしているとのことですが、どのような協議を進めているのでしょうか、具体的に明らかにしてください。  区は、戸建て住宅の建築確認申請が出ないと空地の全体像がわからないと答弁してきましたが、建築確認が出されてからでは確保につながりません。どのように担保させるのか、見解を求めます。  また、覚書で、区と町内会との間で防災に関する協定を締結するとありますが、現段階でどのような協定を結んでいるのか、協定内容を明らかにしてください。  開発されたマンションはセキュリティー重視の設計になっていると思いますが、広域避難場所として災害時にどのように周辺住民に開放するのか。塀、出入り口などの構造はどのようになっていると報告を受けているのか、お答えください。  浜田山駅前のダイクが十一月末で閉店、大規模なショッピングセンター出店のうわさ等が飛び交っていますが、具体的動きはまだ見えません。大規模開発が進むことに伴う浜田山駅南口の開設予定について伺います。  富士見ケ丘駅前葬儀場について質問します。  十一月七日、地元で行われた富士見丘のまちづくりと葬儀場を考える会に事業者を呼んで、葬儀場の説明がいまだなされていない部分、交通や管理についての説明を求めました。事業者には、危険な富士見ケ丘通りの交通量調査と葬祭場が建設された場合に与える影響について、事業者は建築確認の前に近隣住民等へデータを出すよう要求しました。事業者は、これまでの経験則によれば一時間に車が一台増えるだけと答え、全く影響がないとする無責任な回答に終始しました。区は、建築確認の前に住民の求める調査とデータを出すよう指導すべきと思いますが、どうでしょう。  事業者は、五月二十五日をもって斎場建設要綱に基づく説明会は終了したと述べています。区が繰り返し要綱に従うよう指導したにもかかわらず、建築基準法に従えば建築可能となる法律を盾に、自治体の要綱や指導を拒否する姿勢を貫いています。この実績を残せば、杉並区は建築業者の無法地帯と化すおそれがあります。こうした姿勢に区は厳しく臨むべきと考えますが、区の見解を求めます。  最後に、交通安全対策と商店街活性化について質問します。  旧環八が川南で環八と合流する荻窪一・二丁目商栄会通りは、現在、荻窪団地と松溪中学の工事が同時に行われているため、大量の大型車が渋滞と振動で多大な影響を与えています。最大時の通過台数を区は認識しているのでしょうか。  それに加え、関東バスが増便したことで、朝夕のラッシュ時は何台ものバスが渋滞し、その振動で沿道住民は迷惑を受けています。商店街は危なくて買い物に歩けず、商店は厳しい不況の中で二重の打撃を受けています。住民の強い抗議により、関東バスは減速運転を行うようになり、振動は一定、緩和されました。しかし、車が古いため排ガスや騒音問題は未解決です。旧環八周辺近隣住民の被害や影響についての区の現状認識を聞かせてください。  住民からは、交通安全を図るために、商店街を通る公共交通機関は、すぎ丸のようなマイクロバスに転換してほしいとの要望が出ています。同じ要望が西荻商店会でも出されていました。荻窪団地行き、五日市街道営業所行き、社会保険庁行きなど、近くに向かう車はマイクロ化して旧環八を通し、また、芦花公園や新川団地行きの大型バスは環八を通すようにとの強い要望が関東バスに突きつけられています。宮前や荻窪団地に住む住民にとってもバス停が近くなり、便利になることだと歓迎されています。この住民要望について、区として対応が必要と考えますが、見解を求めて、一般質問を終わります。 ○副議長(小川宗次郎議員) 理事者の答弁を求めます。  区長。      〔区長(山田 宏)登壇〕 ◎区長(山田宏) けしば議員の一般質問にご答弁申し上げます。  私からは最初の、田母神前航空幕僚長の論文と私の歴史認識についてのお尋ねにお答えいたします。  まず、この間の一連の事態についてのお尋ねですが、防衛省では田母神航空幕僚長を解任し、退職する措置を講じたところでございます。政府の考えとして対応されたものと認識しております。  次に、私の歴史認識についてのお尋ねですが、歴史についてはさまざまな見方や考え方があります。こういった中で、田母神氏の見解に対して、その一つとして考えておりまして、区長としての考えを述べる必要はないと考えております。  また、自衛隊法に違反するとのご指摘や処分について、及び軍事訓練に関連する田母神氏発言等に対してのお尋ねですが、国や防衛省が対応すべき事柄であり、区としてコメントすべき立場にはございません。  残余のご質問につきましては、関係部長からご答弁申し上げます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 区長室長。      〔区長室長(与島正彦)登壇〕 ◎区長室長(与島正彦) 私からは、教育委員任命問題に関連するご質問についてお答えいたします。  初めに、教育委員会に対する区長の見解をとのお尋ねですが、雑誌の取材に対し、現在の教育委員会制度については、人事権は都道府県、予算提案権は首長部局にあり、中二階的状況に置かれており、見直しが必要であるという認識を述べたものでございます。一方で、この問題は国民的議論の中で決定すべきことであるということも承知しており、まずは、現行制度の中でできる限りのことをやっていくというふうにお答えしたものでございます。  次に、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第四条及び第十一条に規定する欠格事項などについてのお尋ねですが、ご指摘の点につきましては、いずれもこれに該当しないと考えてございます。  次に、教育委員会が特定の団体等にかかわることについてのお尋ねですが、かかわっているとすればとの仮定のお話であり、お答えすることはできません。  私からは以上でございます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 政策経営部長。      〔政策経営部長(高 和弘)登壇〕 ◎政策経営部長(高和弘) 私からは、定額給付金についてのご質問にお答えいたします。  初めに、定額給付金に対する見解でございますが、こうした国の政策は、国が政策目的を明確にした上で、責任を持って制度設計を行うべきものであると考えてございます。  次に、自治体間でどのような動きがあるのかでございますが、区長会の会議においても議論がされたところだと伺ってございます。  撤回を求めるべき、解散総選挙をすべきとのご指摘ですが、実施の是非は国会の中で議論すべきものですし、解散総選挙の是非を申し上げる立場にはございません。  私からは以上でございます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 区民生活部長。      〔区民生活部長(佐藤博継)登壇〕 ◎区民生活部長(佐藤博継) 私からは、住基ネットに関するご質問にお答えいたします。  最初に、住基ネットへの参加準備状況でございますが、当初の予定どおり、来年一月の業務開始に向けまして、現在、累積データの送信、機器の設置等の作業を行っております。  また、住基ネットの安全性に関してでございますが、将来にわたって十分に確保されているものとは考えておりませんが、司法の最終判断が下ったことから、住基法に基づき参加準備を進めているところでございます。  次に、非通知申し出者の対応ですが、住基ネット参加については、この間、非通知申し出者も含め広く区民の理解が得られるよう、広報、ホームページ、窓口や電話対応の中で区の取り組みを説明してきたところですが、来年一月の住基ネットの業務開始に当たって、さらに区の個人情報保護対策や取扱業務の内容などについて説明していくことで、引き続き区民の理解が得られるよう努めてまいりたいと存じます。  私から以上でございます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 保健福祉部長。      〔保健福祉部長(遠藤雅晴)登壇〕 ◎保健福祉部長(遠藤雅晴) 私からは、所管に関するご質問にお答えいたします。  まず、国民健康保険における短期被保険者証等の発行についてのお尋ねがございました。  区では、特に資格証明書の発行に当たっては、滞納者との納付相談を重ね、弁明の機会を設けた上で、やむを得ない場合のみ発行するように留意しており、このような運用が適当であると認識しております。したがいまして、短期被保険者証等の発行を自治体の裁量に一任するよう、国へ要望する考えはございません。  次に、区においては、杉並区国民健康保険の制度上、中学生以下の子どもがいる世帯には資格証明書を発行しておりません。また、高校生につきましては、被保険者証の返還要求対象からの除外は考えてございませんが、粘り強く世帯主と交渉し、資格証明書の発行をできる限り回避する努力を続けたいと考えてございます。  次に、後期高齢者医療制度につきましては、さまざまな課題はございますが、必要な制度と認識しておりますので、制度に反対し、その抜本的改正を国に要望する考えはございません。  次に、社会保障カードについてのお尋ねがございました。厚生労働省の検討会が十月二十八日に取りまとめた、これまでの議論の整理によれば、社会保障カードの個人情報に係る安全性に関しては、いまだ課題が残された形となってございます。  また、カードの仕組みに要するコスト等につきましても、今後の検討課題と位置づけられたことから、これからも重大な関心を持って検討過程を見守りたいと考えてございます。  なお、社会保障カードについては、今後さらに基本的部分に関する検討が続くようですので、現時点で反対云々を国に申し上げる予定はございません。  私からは以上でございます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 子ども家庭担当部長。      〔子ども家庭担当部長(玉山雅夫)登壇〕
    子ども家庭担当部長(玉山雅夫) 私からは、保育園と学童クラブについての質問にお答えいたします。  保育園等の施設閉鎖に関するお尋ねですが、当該事業者が運営する他区の認証保育所に入園していた区民一名につきましては、継続して他園で受け入れることといたしました。  こうした事例は区としても遺憾なことと思いますが、当該事業者固有の事情により生じたものであり、ご指摘のような民営化による必然的事態であるとは考えておりません。  次に、学童クラブの民間委託化に当たっての人材確保に関するお尋ねですが、当区の学童クラブの委託では、保育の質を確保するために、区の基準に準じた人員配置、人件費の算定をしております。従事職員の定着率が直営に比べて低いという実態にはなく、民営化に伴う人材確保については、ご指摘のような懸念はないと考えます。  私からは以上でございます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 高齢者担当部長。      〔高齢者担当部長(長田 斎)登壇〕 ◎高齢者担当部長(長田斎) 私からは、介護保険事業者への緊急融資についてのご質問にお答えいたします。  今回の融資は、昨今の物価の上昇が通常サービス等の事業経営の悪化の要因となる中で、社会福祉法人、NPO等の介護保険事業者の事業経営を支援するものであり、融資を通じて安定したサービスの確保が図られるものと考えております。  私からは以上でございます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 行政管理担当部長。      〔行政管理担当部長(大藤健一郎)登壇〕 ◎行政管理担当部長(大藤健一郎) 私からは、非常勤職員についてのご質問のうち、所管する事項についてお答えします。  まず、区の現状についてのお尋ねですが、本区では、スマートすぎなみ計画に基づき事務事業の委託化、民営化等の推進を図り、職員定数千名の削減に取り組んでいるところです。その上で、効率的な業務遂行などのために非常勤職員を幅広く活用しているものであり、適正な職員配置と人事管理が行われているものと考えておりますが、今後は、非常勤職員の数についても適正な管理を行ってまいりたいと考えてございます。  次に、非常勤制度の見直しに関するお尋ねですが、非常勤職員を、従来の常勤職員の補完的な職から、常勤職員の役割を担う職へと位置づけを見直している例については承知しております。本区においても、非常勤職員の持つ能力、意欲、職務経験を踏まえた適切な任用を推進し、業務内容や職責に応じた勤務条件の改善など、めり張りのある任用、給与制度への検討を進めているところでございます。  また、非常勤職員の任用についてですが、現行公務員制度のもとでは、雇用の継続を前提とすることや、任期の定めのない任用は行うべきではないとされております。総務省の指導は、こうした法の趣旨にのっとって行われているものです。したがいまして、区では、更新回数の限度を定め、毎年新たな任用、つまり更新を前提としない、結果としての雇用の更新を行っているところでございます。  次に、国税庁の民間給与実態調査結果に関するお尋ねですが、景気の減速に伴い、完全失業率が悪化している等の状況は憂慮すべき事態でございます。そのため国においても、派遣労働者や失業者の改善について、労働法制等の改正が予定されていると承知しております。  いずれにしましても、このような社会状況に対応する上で大切なことは、まず、努力した人が流した汗にふさわしい成果を享受できることを基本にし、その上で、疾病や身体的理由などから援助が必要な人に対するセーフティーネットが整備されることであると考えています。  次に、区の事業における人材派遣契約による業務についてのお尋ねですが、二十年度の人材派遣は、保育園の保育士、中学校の水泳指導補助員などの五業務で行われ、約百人が従事しております。  私からの最後になりますが、保育園、児童館の非常勤職員の報酬についてお答えします。  嘱託員の平均時給は千四百八十円、平均年収は約二百二十七万円。パートの平均時給は千二百円、平均年収は約百八十七万円。アルバイトは時給千二十円ですが、短期任用のため、年収としての集計はしてございません。  私からは以上でございます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 環境清掃部長。      〔環境清掃部長(原 隆寿)登壇〕 ◎環境清掃部長(原隆寿) 私からは、ごみの戸別収集と有料化に関してのご質問にお答えいたします。  まず、拡大生産者責任につきましては、ごみの発生抑制を図る上で必要かつ基本的な立法政策の問題でございますので、区としても、全国市長会などを通じて、継続して国に法改正を求めているところでございます。  次に、戸別収集と家庭ごみの有料化につきましては、ごみの自己管理と排出者責任を明確にし、ごみの減量化を図る上で有効な手段であると考えております。  ただ、家庭ごみの有料化は、区民の方々に新たな負担をお願いするものでございますので、制度設計に当たりましては、コストやごみの減量効果の継続性、低所得者への配慮など、区民の方々の理解が得られるよう、今後ともさまざまな角度から慎重に検討してまいりたいと存じます。  次に、戸別収集が近隣関係の希薄化を助長するというお尋ねでございますが、戸別収集は集積所をめぐるさまざまな問題を解消し、区民サービスを拡充するための方策でもあり、ご指摘のような問題はないと考えております。  また、民間委託の推進につきましては、執行方法の効率化の観点から必要な施策として取り組んでいるものでございます。  最後になりますが、資源ごみの委託業務に関してのお尋ねでございますが、委託業務の執行方法につきましては、区と事業者との請負契約に基づき履行されているものでございまして、事業者の責任において適切かつ安全に行われているものと考えております。  私からは以上でございます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 都市整備部長。      〔都市整備部長(上原和義)登壇〕 ◎都市整備部長(上原和義) 私からは、環境と交通安全対策のまちづくりについてのご質問のうち、所管に係るご質問にお答えいたします。  まず、東京外かく環状道路に係る地域PI課題検討会の今後の進め方についてのお尋ねですが、十月四日に開催した第二回課題検討会では、参加者から、再度の検討会開催を求める意見が多数ございました。区ではこれを受け、国及び東京都と調整を進めた結果、参加者の疑問や質問に答えるため、検討会を行うこととし、現在、十二月の開催に向け準備を進めているところでございます。  次に、地下トンネル計画の影響や地下水流動保全工法についてのお尋ねですが、区は国に対し、善福寺池を初め水循環への影響について広範囲な調査を行うこと、また、地下水流動保全工法について、施工事例を検証し、有効性のデータを示すことなどを要望してきました。  これを受け国は、善福寺池周辺での追加調査を行うため、観測井を設置いたしました。また、第二回課題検討会では、地下水流動保全工法の十六事例を紹介し、阪和自動車道などについて、データを示しながら説明を行いました。今後も説明を求める考えでございます。  次に、富士見ケ丘駅前葬祭場に関するご質問にお答えいたします。  まず、葬祭場が建設された場合の周辺道路への交通の影響についてのお尋ねですが、葬祭場予定地の西側を通る富士見ケ丘通りは交通量が多く、葬祭場が建設された場合に、これを利用する車両が周辺の交通に与える影響を予測しておく必要があると考えております。このため事業者に対して、葬祭場を利用する車両台数の想定や具体的な安全対策などについて、近隣住民等に説明を行うよう指導しているところでございます。  私からの最後になりますが、葬祭場の事業者に対する区の姿勢に関するお尋ねですが、区では事業者に対し、斎場設置に関する指導要綱に基づき、昨年七月から開催された住民説明会の都度、丁寧でわかりやすい説明を行うように指導してまいりました。本年五月末に行われた第六回説明会の後も、いまだ説明すべき事項が残っていると考え、近隣住民に対する説明を行うよう、強く求めているところでございます。  私から以上でございます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 危機管理室長。      〔危機管理室長(赤井則夫)登壇〕 ◎危機管理室長(赤井則夫) 私からは、三井グラウンド開発について、所管事項にお答えいたします。  東京都や三井とどのように協議を進めているのかとのお尋ねですが、三井不動産レジデンシャルとは、直接面会したりメール等で協議をしております。  また、東京都とは、避難場所連絡協議会などの場や、都庁舎に出向いて、算定の進め方など具体的なことについても協議をしているところでございます。  次に、建築確認が出されてからでは避難有効面積の確保につながらないとのご質問ですが、覚書の目標値が確実に確保されるよう指導しております。  次に、覚書の防災協定に関するご質問にお答えします。  昨年末に、三井不動産レジデンシャルと地元高井戸町会との間で締結したことを、区は三井側から報告を受けております。内容については、地域住民のための防災倉庫の設置と備蓄する資機材の活用に関するものと伺っております。  次に、避難場所として、災害時どのように周辺住民に開放するのかとのお尋ねにお答えいたします。  マンションなどの建造物は、個々にセキュリティーが確保されていると存じますが、広域避難場所として周辺住民が避難できるところは、敷地内の空地となっております。したがって、周囲には塀やフェンスの設置はされることはなく、災害時に周辺の住民がどこからでも避難できるようになっていると報告を受けております。  私から以上でございます。 ○副議長(小川宗次郎議員) まちづくり担当部長。      〔まちづくり担当部長(大塚敏之)登壇〕 ◎まちづくり担当部長(大塚敏之) 私からは、浜田山駅南口の開設に関するお尋ねにお答えします。  この件につきましては、区はこれまで、鉄道事業者である京王電鉄とともに、駅南側の用地交渉を含め、多々検討してまいりましたが、現在のところ、まだ具体的な計画には至っておりません。  以上でございます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 土木担当部長。      〔土木担当部長(小町 登)登壇〕 ◎土木担当部長(小町登) 私からは、旧環八の大型車両の通行に関するご質問にお答えします。  まず、荻窪団地と松溪中学の工事につきましては、UR都市機構と調整を図りながら進めており、双方の工事車両台数の把握もしております。  次に、旧環八の路線バス運行による騒音、振動など近隣住民からの苦情は、今のところ区には届いておりません。  また、既存路線バスのマイクロバス化につきましては、バス事業者が総合的に判断して決めるべきことと考えております。  なお、ご要望につきましては、バス事業者に伝えてまいります。  私からは以上でございます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 教育委員会事務局次長。      〔教育委員会事務局次長(小林英雄)登壇〕 ◎教育委員会事務局次長(小林英雄) 私からは、教育委員に関するご質問にお答えいたします。  地方教育行政の組織及び運営に関する法律に規定する教育委員の欠格事項についてですが、同法で禁止しておりますのは、政党その他の政治団体の役員になったり政治運動を積極的に行うことであり、ご指摘の行為については、いずれもこの事項に該当しないものと考えております。  以上です。 ○副議長(小川宗次郎議員) 一番けしば誠一議員。      〔一番(けしば誠一議員)登壇〕 ◆一番(けしば誠一議員) 時間の関係で、簡潔に再質問いたします。  まず、区長が久々の登壇で期待したわけでありますが、答弁を聞いてがっかりしました。歴史認識はさまざまな見方があり、その一つとして考えると。事実上、山田区長はこの歴史認識を肯定したと思わざるを得ません。文民統制から批判がされても、政府も区長も、田母神問題の歴史認識に対する批判はないのであります。解任、退職されたというふうに区長は言っておりますが、処分もされていません。問題はそのゆがんだ歴史観であり、しかも、侵略を肯定する思想で自衛隊幹部を教育しているという現状であります。これは、再び自衛隊を侵略軍隊としてつくりかえようとするものにほかなりません。これがつくる会のねらいであります。この歴史認識が問題になっているのであり、マスコミやあるいは世間も、これが今論議の的になっているわけであります。区長はこれが正しいと思うのか間違っていると思うのか、しっかりと再度お答えください。  第二に、教育委員任命問題であります。  区長は、仮定の話であり、お答えできないという答弁でありましたが、私は、現に教育委員である方の活動が明らかに政治的活動であり、政治活動であり、そして政治的団体の役員をしているという事実をもって質問したのでありまして、決して仮定の質問ではありません。現教育委員であり、しかも再任問題が控えておりますので、あえて名前は出しませんでしたが、事実は明らかであります。この点、仮定ではないので、どうなのかということの判断を伺います。  あわせて、教育委員会に対してもここで再質問いたしますが、先ほど、地教行法に書かれている政治活動には当たらないというふうに言っておりますが、では、ここで言う政治活動とかあるいは政治的団体へのかかわりという点は一体どういう団体をいうのでしょうか。  私は、つくる会は明らかに政治団体だというふうに思います。また、つくる会から分かれた教科書を改善する会も、新しい教科書を求めているやはり政治団体であります。こうした団体に所属し、しかも教科書をつくっている団体に所属しながら、自分のその教科書を採択する、これが違法ではないのかどうか。なぜ違法ではないのか、この点、しっかりとお答え願いたいと思います。  第三に、住基ネットでありますが、将来にわたっては十分だとは思えないというふうに部長は答弁されました。法律が制定されたから安全だと一応確認したということでありますが、法が制定されてもなお安全性に関しては十分ではないというふうに明らかに区長は述べ、かつまた裁判でも主張しているわけでありまして、この主張と、法が制定されたから安全だと判断したという、私たち区民が非通知申し出をしたときに、総合的に安全が判断されたときという、この「総合的」というのは一体何だったのでしょうか。私たちはそこを託して非通知申し出をしたのでありまして、その点について、その矛盾を改めてご説明願いたいと思います。そして、私を含む八万四千人の非通知した者たちに対する責任のとり方、改めて問います。  国保証明書についてであります。  杉並区はこの間、かなり慎重に資格証明書については扱っていると。数も他区と比べて比較的少な目ということは理解しています。しかし、短期証は多いんですよね。しかし、この八百六十七名について、悪意なのか、払えなくて払わないのか、ちゃんと調べたんでしょうか。この八百六十七名についてそれを調べたのかどうか。払えない原因は何なのかということを調べた結果取り上げたのかどうかということを伺います。  次に、保育園の倒産問題ですが、民営化によるものではないというふうに答弁されました。それではどのような事情だったのでしょうか。この事業者は一定、人気もあり、評価も高かったというふうに私は聞いています。民間事業者であれば、いろいろな事業に手を出します、利益が目的なんだから。福祉事業が目的じゃなくて利益を上げることが目的なんだから、当然いろいろな事業に手を出します。その結果倒産したとしたら、やっぱり民営化の問題でしょう。その点について具体的な事実を知っているはずです。その理由と、そしてそれが民営化のためではないんだということを立証してください。  次に、派遣労働者の問題ですが、日雇い労働者の原則禁止を柱とした労働者派遣法が十一月四日、提出されました。一定の規制は盛り込まれたものの、不安定雇用や低賃金の温床となっている製造業派遣や高額手数料、いわゆるマージンをめぐる問題は放置されたままで、何一つ解決されていません。労働者側から根本的な救済にならないと反発の声が上がっていますが、やはりここを正すことが根本的に必要であり、国の問題でありますが、自治体として、区民のそして区に働く人たちの暮らしを守る責任を有する区としては、この派遣法の抜本的改正を求めるべきではないかということを改めてお聞きしておきたいと思います。  そのために区は、当然、区に働く非常勤やパートの待遇も積極的に改善に取り組まなければなりません。更新を毎年行うのは法律上やむを得ないということは、私は知っています。だけど、明らかにそこに働く人たちが三千人も恒常化しているわけでありますから、その雇用条件の改善ということは区の責任でありまして、当然それに取り組むときが来ていると思います。その点について改めて具体的に、今行っていることあるいは今後の課題を示してください。  外環問題です。  前回の課題検討会第一回目のときに、地下水位だとか工事中、完成後、工事前のそうしたデータを出せということを要求しながら、二回目に全く出ていないというこの現実。そして次の十二月六日の説明会で納得いく説明がなかった場合、区はどのように対処するのかということが一点。  ところで、十一月二十一日に、六日の課題検討会に向けて地域PI運営会が開かれています。そこでは、十二月六日の第三回検討会の補足の会と、第三回検討会ではなくて補足の会と十二月六日を名づけて、本来二回で終わる予定だったんだけれども、あと補足だけは聞くというような感じで準備されたということを聞きました。補足どころか、地下水、交通問題、大気汚染、トンネルの安全性について、具体的データに基づく説明はほとんどなされていません。補足の会などと名づけて、意見は聞きおいて終わったというふうにしないよう、国や都の姿勢が透けて見えますので、区は、データに基づく十分な説明がなされるまで国や都が責任を果たすよう強く求めるべきだと思いますが、その点どうでしょうか。  その姿勢がもし三回目で感じられなかった場合、そしてまさにそれで国が終わろうとした場合に、事業化へのステップにしようとした場合に、区は、事業化の是非も含めて強い姿勢で臨むべきときが来たと考えますが、区長の姿勢を再確認しておきます。  最後に、三井グラウンドです。  覚書については、実行するように指導しているということでありますが、具体的な説明が全くありません。一体どのように指導し、三井はそれにどう答えているのでしょうか。そして具体的な数字が出ているのでありますから、その具体的な数字を担保するためにどのように具体的に、建築確認の過程でそれでは指導しているのか、より具体的にお答えいただきたいと思います。  浜田山駅前のダイクの閉店で、その後の状況がどうなるかは全くわかりません。事前にいろいろ区の担当、産業経済課等に聞いても、わからないということであります。北側に島のように用途地域のランクアップがなされて、駅周辺がさらに用途地域の変更が進むと危惧するのは当然であります。まちづくり条例の理念からして、当然にも、駅周辺の開発や用途地域の変更は住民主体で進めるべきものと考えますが、この点で区の姿勢を確認しておきます。  最後に、もう一つありました、関東バスです。  先ほど質問の中で、関東バスをこれまでどおり、遠くに行く大型バスは環八を通れという要求で、宮前と荻窪団地と質問したんですが、宮前と南荻窪の方たちが近くなるので大変歓迎しているということですので、これは訂正させていただきます。  車両は把握していると言いますが、最大時、物すごい数量になっています。一日最大時、両方合わせると何台になるのか、具体的に区が把握しているならばお示しください。  バス事業者についての問題だというふうに言っておりますが、バス事業者の問題だというふうに投げてしまえば、問題は解決しません。商店街がひしめいている、そしてそこに今までどおり大きなバスが通るということが、西荻でもそして荻窪でもやはり問題になっているわけで、本当に通る人たちが危険で通れないという現実がある中で、まちづくりの観点からも、こうした課題については、区は課題として検討を始めるときが来たというふうに思いますが、その点いかがでしょうか。  以上求めて、再質問とします。 ○副議長(小川宗次郎議員) 理事者の答弁を求めます。  区長。      〔区長(山田 宏)登壇〕
    ◎区長(山田宏) 私への再質問がございました。  端的に、田母神前空幕長の論文は正しいと考えるか間違っていると考えるか、こういうご質問ですけれども、歴史の問題というのはそう単純じゃないんですよ。時代によって出てくる文書は変わってくるわけですね。ソ連が崩壊してソ連の文書がぱっと出てきたわけです。アメリカのベノナ文書という昔のものが公開されてきたわけです。  そういうようないろいろなものが積み重なってきて、歴史というのは研究されていくわけです。ですから、今この時点で何が正しい、何が間違っているというのは、私は、それは 政治発言としてはわかるけれども、歴史を学ぶ者としては正しい姿勢ではないと、こう考えておりまして、歴史の判断というものは後世の歴史家に任せるべきだと考えております。そういう点で、そういう単純なご質問には答えられないということでございます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 区長室長。      〔区長室長(与島正彦)登壇〕 ◎区長室長(与島正彦) 欠格事項につきましての再度のご質問にお答えします。  一般的なご質問ではございましたが、何事も程度問題ではあろうかと思います。  区におきましての考え方でございますが、先ほど教育委員会次長からお答えしたとおりでございます。  以上です。 ○副議長(小川宗次郎議員) 区民生活部長。      〔区民生活部長(佐藤博継)登壇〕 ◎区民生活部長(佐藤博継) 住基ネットに関する再度のご質問にお答えいたします。  参加につきましては、先ほどもご答弁申し上げましたとおり、安全性については十分確保されていない、そういう状況認識ということで考えておりますけれども、司法の最終判断が下されたことから、住基法に従いまして進めているものでございます。  また、平成二十一年一月予定の住基ネット稼働時までには、より一層の個人情報保護を図るために、第三者機関の設置や緊急時対応策などの安全対策の構築を進めているところでございます。  私から以上でございます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 保健福祉部長。      〔保健福祉部長(遠藤雅晴)登壇〕 ◎保健福祉部長(遠藤雅晴) けしば議員の再度のご質問にお答えいたします。  短期証に関するお尋ねがございました。この短期証は、一斉更新の時期に、おおむね前一年分の保険料が未納であるなどの要件で、更新の都度、取扱要領に基づいて条件を定めて、その取扱要領に基づき適切に処理をして発行しているものでございまして、保険料が払えない等のご事情がある方には分割納付の案内をするなど、窓口で適切な相談対応もしているところでございます。  私からは以上でございます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 子ども家庭担当部長。      〔子ども家庭担当部長(玉山雅夫)登壇〕 ◎子ども家庭担当部長(玉山雅夫) けしば議員の再度の質問にお答えいたします。  他区の認証保育所の経営に関するご質問でございますけれども、当該企業は、資金調達に問題を起こして破綻したものと推察してございます。  施設の閉鎖に関しましては、当該事業者の経営に係る個別の問題と認識してございまして、すべての民間事業者にかかわるものとは考えられませんので、民営化による必然的事態とは考えてございません。  以上でございます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 行政管理担当部長。      〔行政管理担当部長(大藤健一郎)登壇〕 ◎行政管理担当部長(大藤健一郎) けしば議員の再度のご質問のうち、所管する事項についてお答えします。  まず、派遣法等、労働法制の改正等についてのお尋ねですが、先ほど申し上げましたように、ご指摘のような状況、現状については憂慮すべき状況だというふうに認識をしています。国もそういった認識があるがゆえに、今、法改正等の準備を進めているというふうに考えておりまして、適正な改正、改善が行われるということを期待したいと思っております。  次に、区の非常勤職員の問題ですが、これも先ほど申し上げましたように、本区においても、非常勤職員を、従来の常勤職員の補完的な職というものから、常勤職員の役割を担う職へと位置づけを見直す、こういった観点から、適正な任用を進めるという制度改正を進め、その上で業務内容、職責に応じた勤務条件の改善を行う、こういっためり張りのある任用、給与制度への検討を現在進めているところでございます。  私からは以上でございます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 都市整備部長。      〔都市整備部長(上原和義)登壇〕 ◎都市整備部長(上原和義) けしば議員の再度のご質問にお答えいたします。  課題検討会についてのご質問ですが、区民の関心、心配の強い地下水の問題などにつきましては、区として今後も説明を求める考えでございます。  次に、十二月開催に向けて準備を進めている課題検討会につきましては、まさにこれまでの区民の疑問や質問に答える趣旨で行われるものであり、区からも、できる限り実りあるものになるよう、運営については多々要望しているところでございます。  私から以上でございます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 危機管理室長。      〔危機管理室長(赤井則夫)登壇〕 ◎危機管理室長(赤井則夫) 私からは、けしば議員の三井グラウンドの開発について、再度の質問にお答えいたします。  戸建ての建築確認がすべて出された時点で算定をし、有効面積が協定どおり遵守されているかどうか検証し、指導してまいりたいと存じます。  私から以上でございます。 ○副議長(小川宗次郎議員) まちづくり担当部長。      〔まちづくり担当部長(大塚敏之)登壇〕 ◎まちづくり担当部長(大塚敏之) 私からは、駅周辺の開発についてお答えしますが、もし大規模開発や用途地域の変更等がある場合は、当然のことながら、まちづくり条例にのっとって、区民への情報提供を含め、そのようなことで対応していきたいと考えております。 ○副議長(小川宗次郎議員) 土木担当部長。      〔土木担当部長(小町 登)登壇〕 ◎土木担当部長(小町登) 私からは、旧環八の大型車両に関する再度の質問にお答えします。  荻窪団地の工事のピーク台数は、一日往復で約百五十台の見込みでございます。また、松溪中学の工事では、ピーク台数は、一日当たり往復で約百二十台から百四十台を見込んでおります。  今後、UR都市機構と連携を図り、ピーク時の運行調整を行うなどして、交通安全対策に努力してまいる所存でございます。  また、既存バスのマイクロバス化につきましては、先ほど答弁したとおりでございます。  私から以上でございます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 教育委員会事務局次長。      〔教育委員会事務局次長(小林英雄)登壇〕 ◎教育委員会事務局次長(小林英雄) 教育委員に関する再度のご質問にお答えいたします。  一般論としてお答えいたしますが、地教行法で禁止している積極的な政治運動とは、政治上の主義や施策を推進する、もしくは反対するなどの運動を積極的に行うことであり、先ほどお答えしたとおり、教育委員の欠格事項には該当しないと考えております。 ○副議長(小川宗次郎議員) 以上でけしば誠一議員の一般質問を終わります。  九番増田裕一議員。      〔九番(増田裕一議員)登壇〕 ◆九番(増田裕一議員) 民主党杉並区議団の増田裕一です。会派の一員といたしまして、区政一般についての質問をさせていただきます。  本日は、救急医療を主題として、急病医療情報センターについて、夜間小児科診療について、緊急通報システムについてお尋ねいたします。  本年十月初旬、都内に住む女性が妊娠中に脳内出血を発症し、都立墨東病院など七病院に受け入れを断られ、再度要請を行い受け入れられた都立墨東病院に搬送された後、帝王切開にて出産いたしましたが、三日後に亡くなるという事件が発生しました。  都立墨東病院は、リスクが高い新生児と妊婦に二十四時間体制で対応する総合周産期母子医療センターとして東京都から指定されておりましたが、産科医不足で、当直医が七月から土曜日と日曜日、祝日は一人になっておりました。事件当日も土曜日で、一人しか当直医がおらず、一人の時間帯は原則として急患の受け入れを断っていたため、最初の要請に対応できなかったとのことでした。  亡くなられた女性のご冥福を心からお祈り申し上げますとともに、私ごとながら、妊娠中の妻を持つ者の一人として、ご主人のお気持ちをお察しいたします。  また、本年九月下旬にも同様に、脳内出血を発症した妊婦の受け入れ拒否事案が発生しております。慢性的な医師不足が、地方都市ばかりの問題ではなく、東京という大都市にも影響を及ぼしていることに改めて衝撃を覚えた次第であります。  事件後、東京都は、総合周産期母子医療センターの増強や地域内における救急搬送の受け入れ体制の確立、救急医療機関をネットワークで結ぶ新システムの構築などの対応策を矢継ぎ早に示しておりますが、根本的な医師不足の問題は、国の抜本的な対策を待たなければなりません。  そこでお尋ねいたします。今回の一件に接し、区長のご所見はいかがでしょうか。また、救急医療体制の整備に向け、本区における今後の方向性はいかがでしょうか、区のご所見をお尋ねいたします。  救急医療に関連して、以下、何点かお尋ねいたします。  まず、急病医療情報センターについてお尋ねいたします。  平成十七年一月、本区独自の救急医療体制の一環といたしまして、急病医療情報センターが開設されました。情報センターにおきましては、区内に所在する二次救急指定病院とコンピューターネットワークで結ぶ医療機関連携システムによって情報共有を図りながら、急な病気やけがに際して、二十四時間三百六十五日無休で、経験豊富な看護師が医療機関の紹介や応急対応など医療情報の提供、小児中心の急病相談などに対応しております。  そこでお尋ねいたします。急病医療情報センターについて、本区独自の取り組みとして期待するところが大変大きいのですが、センター開設以来、その実施状況はいかがでしょうか。また、これまでに浮かび上がった課題は何でしょうか。その課題解決に向けた取り組み状況はいかがでしょうか、区のご所見をお尋ねいたします。  さて、昨年六月、東京消防庁は救急相談センターを開設しました。相談センターは二十四時間三百六十五日無休で、救急隊経験者や看護師が医療機関の案内や応急手当てなどの助言、救急車の手配などに対応しております。東京消防庁の取り組みは、救急車の適正利用を本来の目的としておりますが、本区における取り組みと大変類似しております。  そこでお尋ねいたします。本区が取り組む急病医療情報センターと東京消防庁が取り組む救急相談センターとの違いは何でしょうか。また、今後それぞれの役割分担をどのように位置づけていくのでしょうか、区のご所見をお尋ねいたします。  東京消防庁が取り組む救急相談センターは、都内全域において短縮ダイヤル♯七一一九を利用し、相談センターへ簡単に電話することができますが、調査によりますと、認知度は約二六%といまだに低く、さらなる周知徹底が必要と考えられます。  そこでお尋ねいたします。覚えやすく、なじみやすい短縮番号を導入し、広報やその他の方法により区民に周知徹底することが、本区独自の救急医療体制を定着する第一歩であると考えられますが、本区における今後の方向性はいかがでしょうか、区のご所見をお尋ねいたします。  緊急性がない場合でも、病院への交通手段がなく、搬送を希望する方に対して、東京消防庁が認定する民間救急事業者や、救命手当ての技能を持つ運転手が乗務しているサポートCabなどを案内する東京民間救急コールセンターがございます。東京消防庁におきましては、救急車の適正利用を図るため、緊急性がない場合の問い合わせ先として東京民間救急コールセンターを紹介しておりますが、本区におきましても、民間救急やサポートCabを利用した際は料金などの負担がかかる旨を明言した上で、コールセンターを案内することも考えられます。  そこでお尋ねいたします。今後、東京民間救急コールセンターとの連携を図る可能性はあるのでしょうか、区のご所見をお尋ねいたします。  冒頭でも述べましたとおり、救急医療を取り巻く環境が厳しくなるに従い、救急医療に対する区民の不安が高まり、本区独自の急病医療情報センターの位置づけも重要性を増すと考えられます。よって、情報センターへの問い合わせが増加することも予想され、その際は受付体制の強化が求められます。  そこでお尋ねいたします。急病医療情報センターの受付体制について、本区における今後の見通しと取り組みはいかがでしょうか、区のご所見をお尋ねいたします。  次に、夜間小児科診療についてお尋ねいたします。  本区における夜間小児科診療は、本区が実施している休日等夜間急病診療所や民間医療機関の協力もありまして、ほぼ毎日診療を受けられる体制が整備されております。特に、民間医療機関である河北総合病院におきましては、火・木・土・日曜日及び祝日は二十四時間診療を実施しており、東京衛生病院におきましても、平日は午後十一時まで、土・日曜日は午後五時まで診療を実施しております。幼い子を持つ親としましては、急な病気やけがに際しても、区内に対応できる医療機関があれば、これほど安心できることはございません。  そこでお尋ねいたします。これら民間医療機関による夜間小児科診療の実施状況はいかがでしょうか。  さて、現状におきましては、月・水・金曜日は午後十一時以降の診療が、残念ながら実施されておりません。さらに申し上げますと、近隣の世田谷区、渋谷区、練馬区、武蔵野市、三鷹市には、東京都が指定する小児科二次救急医療機関がございますが、区内にはございません。民間医療機関による絶大な協力により、現在の体制が整備されたと理解しておりますが、子を持つ親にとりましては、何よりも増して二十四時間三百六十五日安心して小児科の診療を受けられる体制が望ましく、早急に東京都が指定する小児科二次救急医療体制を整備すべきと考えますが、その前に、現状の課題を整理しなければなりません。  そこでお尋ねいたします。さきに指摘した状況にはどのような背景があるのでしょうか。また、小児科二次救急医療体制の整備に向け、本区における今後の取り組みはいかがでしょうか、区のご所見をお尋ねいたします。  最後に、緊急通報システムについてお尋ねいたします。  ひとり暮らし高齢者の孤独死問題は、一九六〇年代後半から取り組まれておりますが、いまだ抜本的な解決が図られていない、古くて新しい問題でもあります。本年三月、本区が実施した高齢者実態調査報告書によりますと、サンプル調査の結果、六十五歳以上のひとり暮らしの高齢者世帯の割合は対象者の約二一%に当たり、全国の平均値と比較しましても、決して低くない数値となっております。本区におきましても、ひとり暮らしの高齢者に向けた対策は喫緊の課題であります。  これらの課題解決に向け、昭和五十九年、東京都全域におきまして緊急通報システム事業が始まりました。本区におきましても、昭和六十年五月、高齢者緊急通報システム事業運営要綱が定められ、事業が始まっております。  緊急通報システムは、六十五歳以上のひとり暮らしの高齢者で、かつ慢性的発作性疾患があるなど、日常生活を営む上で常時注意を要する状態にある方が急病などの緊急事態に陥った際に、ボタンを押すことで、無線によって救急車を呼ぶことができるシステムです。  本区におきましては、実施方式といたしまして、東京消防庁に直接通報する消防庁方式と、区が委託する民間事業者の受信センターに通報し、状況により事業者が東京消防庁に通報する民間方式とがございます。消防庁方式は緊急通報システムの設置に際して、民間方式はサービスの利用時に際して、毎月、所得に応じて費用を負担しなければなりませんが、ひとり暮らしの高齢者にとりましては、生命の安全を得ることができる対策の一つではないかととらえております。  しかしながら、要綱の第六条には、利用対象者が予算に定める予定利用人員を超えた際は、その者を待機者とする旨の記載がございます。よもや待機者が出るような事態はないかと考えますが、高齢者の生命にかかわる問題だけに重要です。  そこでお尋ねいたします。緊急通報システムについて、過去の登録世帯数の推移はいかがでしたでしょうか。  さて、消防庁方式は、緊急通報協力員などの地域協力者が必要とされております。協力員は個人、団体を問いませんが、現状をかんがみると、その確保には大変課題があると認識しております。課題解決に向けた取り組みとして、緊急通報協力員の呼びかけ先として、救命手当ての技能を有する消防団員や本区が認定する救急協力員などもその有力な候補者ではないかと思われますので、ご検討されてはいかがかと存じます。  そこでお尋ねいたします。緊急通報システムの普及に向けまして、民間方式による附帯サービスの充実なども対策の一つとして考えられますが、本区における今後の方向性はいかがでしょうか、区のご所見をお尋ねいたします。  要綱の第三条に規定されている対象者の要件には、「慢性的発作性疾患があるなど日常生活を営む上で、常時注意を要する状態にある者」などといった規定があり、利用者が非常に限定されてしまう可能性がございます。また、要綱の第四条及び第五条に規定されている申請手続をかんがみますと、ひとり暮らしの高齢者にとりましては、とても煩雑であります。  こうした事情があってか、潜在的な需要に比べまして、緊急通報システムの登録世帯数が伸び悩んでいると認識しております。当然ながら、民生委員の方々による支援や通所介護施設における案内なども実施していると存じますが、緊急通報システムの普及に向けまして、さらなる取り組みが必要と考えております。  そこでお尋ねいたします。さきに指摘させていただいた件も含めまして、本区における今後の取り組みはいかがでしょうか、区のご所見をお尋ねいたします。  結びに当たりまして、一言申し上げます。  政治行政が果たすべき重要な役割の一つとして、しばしば国民の生命と財産を守ることが挙げられます。しかしながら、昨今の事例をかんがみると、国や東京都がそうした重要な役割すら満足に果たせない状況が現実に広がっていると痛感いたします。基礎自治体である本区が果たさなければならない役割は、確実に大きくなっているのではないでしょうか。これまで本区が実施してきた救急医療に関する取り組みに敬意を表するとともに、今後もまた、区民の生命を守るため、救急医療体制の整備に向けまして鋭意ご努力していただくことを期待いたしまして、区政一般についての質問を終了させていただきます。
    ○副議長(小川宗次郎議員) 理事者の答弁を求めます。  区長。      〔区長(山田 宏)登壇〕 ◎区長(山田宏) 増田議員の一般質問にご答弁申し上げます。  私からは、先月、脳疾患を発症した妊婦が複数の病院で受け入れられずに死亡された問題についての見解についてお答え申し上げます。  これは、全体としては医師不足の中で起きた問題だというふうに考えております。国や都は、医療従事者の確保、産科を含む救命救急体制の立て直しというものを緊急に図る必要があると考えております。  医者全体の不足ということもありますけれども、もう一方で、やはり少子化に伴う産科・小児科医不足、また診療報酬制度等に伴う問題、さらに医療事故等にかかわる医者の萎縮、いろいろな問題が背景にあろうかなと、こう考えております。  区としても、こういった地域安全・安心の医療を実現していくためにも、国や都に対して、医師不足の解消、また救命救急体制の整備を求めると同時に、今、最後にお話がありましたように、区として独自にできる救命救急体制の構築に、今後も最大限の努力をしていきたいと考えております。  残余のご質問につきましては、関係部長からご答弁申し上げます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 杉並保健所長。      〔杉並保健所長(長野みさ子)登壇〕 ◎杉並保健所長(長野みさ子) 私からは、急病医療情報センターと夜間小児科診療に関してお答えいたします。  急病医療情報センターに関する質問にお答えいたします。  まず、開設以来の実績ですが、平成十七年度二万一千三十五件、十八年度二万七千九百四十件、十九年度三万二千五百七十六件と、着実に増加しております。  次に、現在の課題ですが、複雑で多様な医療相談が増えており、対応できる事業者が限定されていることや、相談員の対応力向上が課題と存じます。  相談対応については、医師会の協力のもとで検証し、改善指導を行っております。また、センター内でも、最新の医学知識習得や接遇向上を目指し、毎月研修を行っており、相談員の対応レベルは、かなり向上しているものと考えております。  次に、東京消防庁が実施している救急相談センターとの違いについてのお尋ねですが、東京消防庁のセンターは広域対応で、原則、二次救急病院を案内しており、救急車の適正利用を進めるため、救急隊経験者がまず相談に応じております。  一方、区の急病医療情報センターは、杉並区を熟知した看護師が相談に応じており、区内の地理や診療所、病院等の豊富な情報を活用して、利用者のニーズに合った医療機関を即座に案内しており、医療相談にも親身に対応しております。したがいまして、区民に身近で医療相談ができる急病医療情報センターの充実と利用促進に努めていきたいと考えております。  次に、東京民間救急コールセンターとの連携に関するお尋ねですが、緊急性がない方の民間救急の利用は、救急車の適正利用の一助になりますので、今後研究していきたいと存じます。  また、急病医療情報センターの周知方法についてのお尋ねですが、電話番号は、ミルヨフミンデキュウキュウオウキュウ、三四二三─九九〇九のごろ合わせで周知に努めております。短縮番号の導入は今後の課題と考えております。広報等についても工夫して、さらなる周知を図ってまいります。  センターの受付体制の強化については、これまで電話相談に対応できる体制を維持してきておりますので、相談状況を見ながら、今後の取り組みを検討してまいります。  次に、小児救急医療体制の質問にお答えいたします。  現在は、一般医療機関の診療時間外について二カ所の病院に委託し、小児科診療枠を確保していただいております。  その実施状況ですが、東京衛生病院では平日二十三時まで及び土日の診療枠で、受診者数は平成十七年度千六百六十二人、十八年度二千四百二十六人、十九年度二千三百二十六人となっております。また河北総合病院では、火、木、土の全夜間と休日二十四時間の診療枠で、受診者数は平成十八年度三千百六十人、十九年度三千五百六十二人と推移しております。  全夜間診療できる小児救急医療体制の整備に向けた取り組みについてのお尋ねですが、これらの病院では、小児科医師や看護師等の医療従事者を十分確保できないことが全夜間に対応できていない背景にあると伺っています。今後、こうした課題も含め、関係機関と協議し、二十四時間三百六十五日対応できる体制づくりを粘り強く進めていく所存でございます。  私からは以上です。 ○副議長(小川宗次郎議員) 高齢者担当部長。      〔高齢者担当部長(長田 斎)登壇〕 ◎高齢者担当部長(長田斎) 私からは、緊急通報システムについてのお尋ねにお答えします。  まず、消防庁方式及び民間方式の登録世帯数の推移でございますが、平成十八年度末、消防庁四百二十三件、民間二百五十九件、合計六百八十二件。十九年度末は、消防庁四百五件、民間二百八十一件、合計六百八十六件でしたが、本年四月以降、新規の登録が増加しており、本年十月末現在では、消防庁四百四件、民間三百九件、合計七百十三件となっております。  次に、今後の方向性についてのお尋ねでございますが、民間事業者による緊急通報サービスでは、付加できるサービスとして、電話健康相談、定期的な電話訪問、室内の状況を感知する機器による安否確認サービスなどがございます。  今後、現在の緊急通報システムに、これらの民間事業者によるサービスの導入を図り、高齢者が必要なサービスを選択して利用できるような方向で検討してまいりたいと考えております。  次に、緊急通報システムの普及に向けた今後の取り組みについてのお尋ねでございますが、昨年度から今年度にかけて、緊急通報システムなど区が行っている高齢者向けのサービスについて、高齢者のみで暮らしている世帯にダイレクトメールを約四万九千通送付するとともに、新聞折り込みでの広告を約十九万部配布しております。また、地域包括支援センターでの相談等の際にも、その高齢者に合ったサービスを紹介し、利用を進めているところでございます。  今後も緊急通報システムの内容の充実等を図るとともに、さまざまな手法を活用して周知、普及を図ってまいりたいと考えております。  私からは以上です。 ○副議長(小川宗次郎議員) 以上で増田裕一議員の一般質問を終わります。  十番安斉あきら議員。      〔十番(安斉あきら議員)登壇〕 ◆十番(安斉あきら議員) 私は、民主党杉並区議団の一員として、区政一般に関する質問をいたします。  質問項目は、今後の環境政策についてと、農業・農地を生かしたまちづくりについてです。  初めに、今後の環境政策について伺わせていただきます。  本年七月、北海道の洞爺湖においてサミットが開催され、最大のテーマとして、地球規模での環境問題が論議されました。議長国である我が国は、主導的役割のもと、京都議定書の約束期間以降の新たな枠組みづくりと国際的な環境協力、さらには技術革新による低炭素社会の構築に向け、クールアース構想を提案しました。  また、国内における地球温暖化対策に関する指針として福田ビジョンが発表され、二〇二〇年までに、二〇〇五年比で温室効果ガスの一四%削減が可能との見通しがされ、具体策にも踏み込んだ内容が打ち出されました。  例として、再生可能エネルギーや原子力などのゼロ・エミッション電源の比率を五〇%以上に引き上げ、太陽光発電の普及率を二〇三〇年には現在の四十倍にすること。また、二〇一二年までに電球をすべて省エネ電球に切りかえること。さらには、ヒートポンプ技術、省エネ技術を組み込んだ家電製品の普及促進、国内排出量取引制度、税制のグリーン化、カーボンフットプリント制度の導入などが示され、低炭素社会への移行に向けた第一歩を踏み出しました。  東京においても、本年六月に行われた東京都議会第二回定例会において、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の一部を改正する条例、略称環境確保条例の一部見直しが行われました。今回の条例改正に当たり、東京都は、より少ないエネルギーの利用で快適な生活が送れるような都市へと転換を進めていく方針です。そのためには、何よりも現在のエネルギー需要のあり方そのものを見直し、ライフスタイル、都市づくりや建築のあり方を含め、社会システムを変革していくことが重要であります。  こうした転換を着実に進める第一歩として、省エネルギー技術の全面的な活用と再生可能エネルギーの利用を大幅に進め、都市を構成する各部門が、都市活動に起因するCO2などの総排出量を確実に削減していくことが必要であると定義をしております。  時期を同じにして、国や東京都において、低炭素社会への中長期な取り組みが示されました。  当区においても、従来から杉並区環境基本計画や地域省エネ行動計画を策定し、先進的な環境政策を実践してきたところでありますが、国や東京都の取り組みとの整合を図る必要があるのではないかと考えます。  そこでお尋ねいたします。平成二十一年度に改定される杉並区環境基本計画の策定に当たり、東京都の環境確保条例の一部改正をどのように取り入れていくのか、お伺いをいたします。  今回の環境確保条例の一部改正の基本的な考え方は、東京から世界に先駆けて低炭素型都市を実現するため、産業・業務、運輸、家庭のあらゆる部分において、大企業、中小企業、官公庁、家庭など、都内のあらゆる主体が役割と責任に応じてCO2の削減に取り組むということです。また、都市機能が高度に集積している東京におけるCO2排出削減を確実に実現していくためには、排出実態と削減の可能性を十分に踏まえた上で、都の特性に合った削減対策を講じていくことが重要とされています。  これらを踏まえて東京都は、温室効果ガスを二〇二〇年までに、二〇〇〇年比で二五%の削減を行うカーボンマイナス東京十年プロジェクトを展開することとしました。一定以上の温暖化ガスを排出する事業所に温室効果ガスの計画的な削減を求める地球温暖化対策計画書制度の改定を行い、二〇一〇年から大規模事業所への温室効果ガス排出総量削減義務と排出量取引制度の導入を実施することといたしました。  対象となる事業所については、温室効果ガスの排出量が燃料、熱及び電気の使用量で原油換算年間千五百キロリットル以上の事業所であり、延べ床面積三万平方メートル、およそ十五階から二十階建ての事業所ビルを想定しており、東京都の試算では、都内に約千三百の対象事業所が存在するとのことです。  そこでお尋ねいたします。区は現段階において、区内における温室効果ガス排出総量削減義務が生じる大規模事業所の把握をしているか、お伺いをいたします。  今回の環境確保条例の一部では、家庭の節電、省エネをさらに進める取り組みも重点項目として位置づけられております。東京都における家庭部門でのCO2排出量は全体の約二四%となっており、着実な温室効果ガスの削減を可能にするためには、家庭部門の削減をより実効あるものにしていかなければなりません。  当区においても、区内における家庭部門のエネルギー消費量が四五%となっており、これまでも、住宅用太陽光発電システム機器の設置助成、レジ袋削減に向けたマイバッグ運動の展開、学校のエコスクール化、環境博覧会開催による区民への環境啓発活動などを行うなど、積極的な取り組みを講じてきたところであります。  東京都は、環境確保条例の一部改正に伴い、家庭部門を対象とした新規テーマについて、これまで以上の省エネ効果を目指した取り組みを、各区市町村と連携を図り推進していくことを検討していると伺っております。  そこでお尋ねいたします。区は、家庭部門における今後の温室効果ガス削減方策をどのように考えているか、お伺いをいたします。  今や、今世紀じゅうに地球規模での環境対策をどのように進めていくかが世界じゅうの国々の共通認識であり、共通の課題となっております。当区においても、区民、事業者、行政がそれぞれの役割と責任の中で、低炭素社会の構築に向けた取り組みを着実に進めなければなりません。そのためにも、杉並区環境基本計画の見直しに際し、従来の取り組みを継承しつつも、新たな取り組みの検討をお願いし、次の質問項目に移ります。  国際的な食糧価格の高騰や食の安全をめぐる問題が発生する中で、農水省の二〇〇七年八月二十二日の発表によれば、日本の自給率は、カロリーベース計算で十三年ぶりに四〇%を割り込み、三九%となりました。主な先進国と比べると、フランス一三〇%、アメリカ一一九%、ドイツ九一%、イギリス七四%となっており、我が国の食料自給率は、主な先進国の中で最低水準となっております。  国は二〇〇五年三月に、新たな食料・農業・農村基本計画において、食料自給率の向上に向け、地方公共団体、農業団体、農業者、食品産業事業者、消費者、消費者団体といった関係者が重点に取り組むべき課題や関係者の役割を明示し、官民を挙げて、関係者一体となった計画の取り組みを推進することにより、カロリーベースで四五%の食料自給率実現を目指しております。  東京の都市農業は、都民に新鮮で安全・安心な農畜産物を届けています。また、豊かな農地は、都市の環境保全や防災、潤い、安らぎの提供など、都民生活に多くの役割を果たしております。  しかし、都市農地は、一九九五年の六千五百ヘクタールから、十年間で、日比谷公園八十六個分に当たる約千四百ヘクタールも減少し、このままでは東京から農地がなくなるおそれがあります。このため、都は国に対し、農地と住宅地が共存できる政策への転換や、都市農地制度・税制度の改善を強く求めるとともに、農作業受委託制度を創設するなど、さまざまな取り組みを行ってまいりました。今後はさらに、都市農業・農地の持つ多面的機能を一層引き出し、農業・農地をまちづくりに生かしていくことが求められております。  そこで、都市と農業・農地の共生をキーワードとする農業・農地を活かしたまちづくりガイドラインを本年三月に策定し、まちづくりを担う区や市が農業・農地を生かす多面的な取り組みを推進していくための指針を示しました。  近年、団塊の世代を初めとして、豊かなライフスタイルを実現するために農業を経験したいという区民が増えております。都会の中でこうした都市住民のニーズにこたえているのが、農家の指導のもとに農作業ができる体験型農園や、労働力不足の農家を手伝う援農ボランティア制度です。  体験型農園は、農家が経営の一環として行う農業のカルチャースクールです。新鮮で安心な農作物を食べたい、農業体験で潤いのある生活がしたいという声に応じて、隣接する練馬区では、平成八年から毎年一園ずつ農園の開設支援が行われ、現在では十三園が開園をしております。  体験型農園は一般の区民農園とは異なり、園主が作付計画をつくり、作業に必要な技術を講習会で伝授をします。このため、初心者でも店頭に並ぶような野菜ができると大好評です。農園では、農作業を通じて園主と利用者、利用者同士の交流が大変深くなり、利用者にとって、農作業や収穫の喜びのみならず、仲間と交流ができる都会の新たなコミュニティになっております。  当区においては、杉並区実施計画(2008〜2010)の中で、都市農業支援として、体験型農園の運営一園と計画をされているところですが、農業経営環境の厳しい中、区民に農園体験や土と触れ合う機会を提供することは、都市農業を育成、支援する観点からも積極的な取り組みが求められると考えております。  そこでお尋ねいたします。区としてみどりの保全と都市農業の育成、支援の観点から、農業事業者と協働で体験型農園の拡充を図っていく考えがあるか、お伺いをいたします。  国分寺市と農業協同組合が運営する市民農業大学は、農家が講師となり、市民が農業を学び、体験できる手づくりの学校です。年間を通じて種まきから収穫までの作業実習や技術講座などを行い、これまでに六百五十人の卒業生を送り出してきました。  市民農業大学では、同時に援農ボランティア技術習得講座実習を開講しています。この講座を終了した市民は、ボランティアとして市内農家の農作業の手伝いが可能です。直売を主体とした農業は多品目生産が求められ、多くの労働力を必要としていることから、援農ボランティアは農家に大変歓迎をされております。国分寺市の援農ボランティア制度は育成と紹介を柱にしており、毎年八十人以上のボランティアを農家に派遣をしております。今、援農ボランティアは農家を支える応援団体的存在となっております。  当区においても、杉並区実施計画(2008〜2010)の中で、農業ボランティアの推進を三カ年で六十名と示しております。杉並区産業振興計画、農家の実態調査アンケート結果によると、将来を含めた農業継続意向は全体の七割となっております。しかし、一方では、後継者、担い手がいないなどの問題が深刻化しており、農業の継続が困難であるとの声もあります。このような現状を考えれば、援農ボランティアの促進は、農業保全と農地保全の重要な施策と考えます。  そこでお尋ねいたします。杉並区として農業再生に向けた援農ボランティアのさらなる推進を検討する考えがあるか、お伺いをいたします。  区民が心身を健康に保ち、豊かな人間性をはぐくむためには、自然との触れ合いが大切です。都市農業・農地は、農作業体験を通して子どもたちが自然や農業、食べ物などを学ぶ食育の場として極めて有効な手段であると考えます。このため、小中学校と地域の農業者、保護者、行政などが連携をして、学童農園の設置や学校給食への地場農産物の活用など、地域への取り組みを進めていくことが必要であると考えます。  当区においても、一部の公立小中学校で、農業従事者と連携を図り、総合学習の時間の中で農業体験を通じた食育を進めていると伺っております。食育基本法の施行により、学校教育の中で農業に対する理解や食に対する正しい知識を深めていくことは重要であり、さらなる取り組みが必要であると考えます。  そこでお尋ねいたします。農業事業者と連携を図り、公立小中学校の全校において、種まきから収穫まで、区内農地を利用した農業体験などの施策を促進していく考えがあるか、お伺いをいたします。  当区では既に、地産地消の考えに基づき、区内の公立小中学校では、東京都内で収穫された農産物を給食の食材として利用しています。昨年度の実績では小学校二十三校、中学校十校と、全体の半数が都内産の農産物を学校給食の食材として使用しており、食育に対し積極的な取り組みを行っているところであります。  そこでお尋ねいたします。区内の公立小中学校の全校において、地産地消の考えに基づき、区内で収穫される農産物を学校給食の食材として積極的に導入していく考えがあるか、お伺いをいたします。  市街化が進み、緑地空間が減少している地域では、都市農地は貴重なオープンスペースや緑地となっており、大きな災害時には、身近な避難場所などとしての役割を果たすことが期待をされております。  国分寺市では、災害時に農地を避難場所として活用し、市民に野菜などを提供するため、市と農業協同組合の間で、災害時における農地の使用及び生鮮食料品の調達に関する協定を結んでおります。同市では、十六の公立小中学校を避難場所、十カ所の公園などを広域避難場所、緊急避難場所、四十四カ所の農地を地区災害時退避所、そして十七カ所の地域センターなどを二次避難所として指定をしております。  地区災害時退避所とは、災害時に市民が避難場所に行く際、安全を確保するために緊急に退避することができる場所で、当該農地には看板が設置をされるとともに、ホームページやマップで市民に公表をしております。また、災害により食料の確保が困難になった場合に備え、農業協同組合は、組合員が生産した生鮮野菜などの提供に協力することとしております。  当区においても杉並区地域防災計画の中で、二〇〇〇年に、災害時における東京中央農業協同組合の協力に関する協定を締結しております。この協定は、災害時に仮設住宅建設用地及び復旧資材等置場に使用するために、農業協同組合の組合員が所有または管理する生産緑地のあっせん及び災害時に必要な農作物の提供を受ける内容となっております。  しかしながら、当区の協定書には、農地を災害時における地区退避所としての位置づけはされておりません。直下型地震発生時には、本震による強い大きな揺れの後も、本震に近い余震が断続的に続く状況が考えられます。円滑な避難誘導を目指すためにも、従来の協定を見直し、退避所として農地の活用を進めていく必要があると考えます。  そこでお尋ねいたします。区は、農地が持つ防災機能をどのように認識しているのか。また、杉並区地域防災計画の見 直しに際し、農地を災害時の一時退避場所として活用する考えがあるか、お伺いをいたします。  杉並区の農地は、杉並区農業経営実態調査によると、二〇〇七年四月現在五十三・八ヘクタールであり、区面積の約一・六%となっております。また、これらの農地のうち三十八・七ヘクタールが生産緑地の指定を受けています。農地面積については、一九八五年度を一〇〇とすると、二〇〇七年度では五三・七、面積比で約半数にまで減少しております。農家の戸数についても、一九五八年度四百三十戸に対して二〇〇七年度は百八十戸と、半数以下にまで減少しております。  このような状況の中、杉並区を含め東京都内三十三区市と東京都でつくる都市農地保全推進自治体協議会が本年十月二十九日に発足をしました。協議会の目的としては、減少し続ける農地に歯止めをかけ、農地の現状維持を図るため、都市の自治体が連携をし、都市農地にかかわる法制度や税制度の見直しを国に対して強く要望していくこととしております。  また、隣接する練馬区では、都市農地の保全を推進するため、まちづくり施策との整合性を図る観点から、公募区民や学識経験者から成る都市農地協議会を設置し、都市農業・農地の多面的な役割を評価するとともに、区のまちづくりの活用方法を検討しています。設置に当たっては、農業分野以外のまちづくり専門家の方も交え、都市計画や環境保全の視点も十分に考慮した協議会運営を目指していると伺っております。当区においても、このような新たな取り組みは有意義ではないかと考えているところであります。  都市農地が果たす役割は、ヒートアイランド現象の緩和などの環境保全機能、学童農園などの教育機能、防災時の避難所、洪水防止などの防災機能、新鮮で安全な農作物提供などの農作物供給機能、農業体験型農園などのレクリエーション・コミュニティ機能などの役割が期待され、区民一人一人の協力や発想によって幾つもの効果が期待できます。杉並区においても、多面的な役割と機能を持つ農業・農地をいかにまちづくりに活用し、現在の農地保存を進めていくかが重要と考えます。  そこでお伺いをします。今後の農地保全と農地の多面的な活用について区はどのように考えているのか、最後にお伺いし、質問を終わります。 ○副議長(小川宗次郎議員) 理事者の答弁を求めます。  区長。      〔区長(山田 宏)登壇〕 ◎区長(山田宏) 安斉議員の一般質問にご答弁申し上げます。  私からは、議員からの農業・農地を生かしたまちづくりについてのご質問のうち、学校給食の食材に関するお尋ねと、農地保全、農地の多面的な活用についてのお尋ねにお答えいたします。  ご質問をお聞きしながら、私自身も議員の考えに全く同感でございます。一時期、地価が非常に高騰したときには、都市農地に対しては宅地並み課税をかけるべきだというような声が非常に強くなっていまして、地域でも農業委員会を廃止するところも都市部では増え、農業というものに対して非常に厳しい風当たりがあった時期が一九九〇年代の前半にございました。  それから地価が落ちついてまいりましたけれども、今日では、今お話があったように、農地の多面的な機能、区民と農業との触れ合い、食育の場、また緑地や環境、防災面、そういう多面的な価値に注目をして、これを保全するという動きになっております。  特に昨今では、食品の安全・安心というものについて非常に強い関心が高まっている中で、口に入るものはなるべく身近なところで生産したほうがいいというようなことは、安全・安心のみならず、環境保全といった意味でも非常に大事だというふうに言われるようになってまいりました。そういった流れの中で、区としては、農業というものを区民生活に密着した産業としてこれから育成をしていくということが基本的な考え方であります。  その中で、まず、学校給食への地産地消の考え方に基づいての活用ですけれども、学校の数に比べて農地の面積、またその場所の偏在、こういったものを見ていますと、すべての学校で地域の食材を使うということが物理的に可能かどうかという問題は今後あろうかと思いますけれども、できる限り区内また都内の農産物を学校給食に取り入れていかなければいけない。  今年度は、教育委員会と連携をしまして、地元野菜デーというのを設けて、地域の子どもたち、児童生徒と、都市農業への理解、また食育の推進ということを図ろう、こういうことで実施をしております。今後、全校までいけるかどうか、とにかく地産地消の考え方に基づいて、どこまで都市農業の生産物を給食の場でも活用できるかということは、十分検討していく必要があると考えております。  また、今後、そうはいっても、相続などの契機とか都市化の流れなどで、農地が長期的に減少しているということは今歯止めがかからない状況にあります。このことに対しては、いろいろな意味で、もう少し国も税制面で、また地域も、農業・農地の多面的な機能というものをもっと積極的に評価した政策が必要だというふうに考えております。区としても、今練馬の例を出されましたけれども、そういった視点で、もう一度農業のあり方というものを考えてみたい。
     また、国に対して、都に対しても、都市農地を保全するための要望というものを関係自治体で協力をして行うとか、また議会の皆さんと一緒に行うとか、そういったことで声を盛り上げていく必要があると考えております。  私からは以上でございます。残余のご質問につきましては、所管の部長からご答弁申し上げます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 環境清掃部長。      〔環境清掃部長(原 隆寿)登壇〕 ◎環境清掃部長(原隆寿) 私からは、環境政策についてお答え申し上げます。  まず、環境基本計画の改定に当たり、都の環境確保条例の改正をどのように受け入れていくのかとのお尋ねでございますが、環境基本計画の改定につきましては、現在、環境清掃審議会において審議中でございまして、本年度末までに答申をいただく予定となっております。  また、環境確保条例の改正は、ご指摘のとおり、CO2を初めとする温室効果ガス排出総量の大幅な削減を制度化するとともに、省エネ対策の徹底などを主な内容としているものでございます。したがいまして、今後、環境清掃審議会の答申を踏まえ、条例改正による新たな課題に対して的確に対応できるよう、必要な検討を行ってまいりたいと存じます。  次に、区内におきます温室効果ガス排出総量の削減義務が生じる大規模事業所数についてのお尋ねでございますが、現行条例に基づく地球温暖化対策計画書制度による対象が、区役所本庁舎を含め八事業所となっておりますので、今後、これらが改正条例の対象となる大規模事業所として位置づけられるものと考えているところでございます。  最後になりますが、家庭部門における温室効果ガス削減の方策についてのお尋ねでございますが、ご指摘のとおり、杉並区では、温室効果ガスの総排出量に占める家庭部門の割合が大きいことから、これまでも、再生可能エネルギーの利用拡大を図るための支援強化とともに、家庭での省エネ対策や環境配慮行動の普及啓発に努めてまいりました。  今後、家庭における省エネ対策の一層の普及促進を図るための施策のあり方については、国や東京都の動向を見きわめながら、環境基本計画の改定の中で検討してまいりたいと存じます。  私からは以上でございます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 区民生活部長。      〔区民生活部長(佐藤博継)登壇〕 ◎区民生活部長(佐藤博継) 私からは、体験型農園と援農ボランティアについてお答えいたします。  まず、体験型農園の拡充でございますが、体験型農園は、区民に農業体験や土と触れ合う機会を提供し、農業への理解を深めることを目的として実施している事業ですが、現在、議員ご指摘のとおり、区内に一園百区画を平成十六年度から開設しております。区民の希望が高い事業ですので、ご協力いただける農家を募りながら、増設に努めてまいりたいと考えております。  次に、援農ボランティアでございますが、現在、区内には四十名の援農ボランティアが活動しておりますが、ボランティア希望者に対して受け入れ農家が少ないという状況がございます。ボランティアの受け入れにつきまして、農家への呼びかけに努めてまいりたいというふうに考えてございます。  私から以上でございます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 危機管理室長。      〔危機管理室長(赤井則夫)登壇〕 ◎危機管理室長(赤井則夫) 私からは、農地の防災に関するご質問にお答えいたします。  まず、農地が持つ防災機能のお尋ねですが、震災時において、避難者の安全確保と火災の延焼阻止のため、市街地の中のオープンスペースとして重要な役割を担っていると認識しております。  また、地域防災計画の見直しに当たって、農地を災害時の一時退避所として活用していくことについてのご質問ですが、ご指摘のように、現在、JA東京中央との防災協定の中で、仮設住宅用地等として農地を活用することとなっております。今後、一時退避所についても検討してまいりたいと存じます。  私から以上でございます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 教育長。      〔教育長(井出隆安)登壇〕 ◎教育長(井出隆安) 私からは、学校における農業体験についてのご質問にお答えをいたします。  現在、敷地内の学校園あるいは修学旅行における農業体験など、さまざまな工夫により体験活動を行っておりますが、学校近隣に適当な農地がないこと等、区内の農地を活用している学校は、小学校七校、中学校二校にとどまっております。  子どもたちが実際に農作物を育てたり収穫をしたりする活動は、食に対する興味、関心をはぐくみ、農業に対する理解あるいは感謝の気持ち等、豊かな心を培っていくという大切な活動であると認識をしております。  今後とも、可能な限り区内農地の活用を広げていくとともに、農業事業者をゲストティーチャーとして招いた食に関する学習や、区内農家での中学生による職場体験など、多様な体験活動を今後とも推進してまいりたいと考えております。  私から以上でございます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 以上で安斉あきら議員の一般質問を終わります。  ここで午後一時五分まで休憩いたします。                   午後零時〇五分休憩                   午後一時〇五分開議 ○副議長(小川宗次郎議員) 休憩前に引き続き会議を開きます。  四番北島邦彦議員。      〔四番(北島邦彦議員)登壇〕 ◆四番(北島邦彦議員) 都政を革新する会の北島邦彦です。  区政一般についての質問を行います。きょうは二点ほど、区長の政治姿勢についてと、それから民営化の政策について質問をいたします。  まず最初に、区長の政治姿勢についてです。  昨年の夏から全世界に激震を走らせたサブプライムローン問題を契機にして、帝国主義経済は、世界金融大恐慌から実体経済の底なしの崩壊へと進んでいます。資本主義は終わった、こういう時代認識が、今やだれにとっても鮮明なものとして実感されつつある状況です。資本主義という三百年にわたって続いてきた経済システムが、もうこれ以上この社会を維持していくシステムとしての有効性を持っていないことが、経済の現実をもって明らかにされているのではないでしょうか。こうした資本主義のどん詰まりの破綻を、資本はさらなる労働者への犠牲転嫁、首切りあるいは民営化、規制緩和で乗り切ろう、乗り切れると考えているようです。  アメリカのシティグループは五万人の首切りを発表しており、ビッグスリーの首切りは、今後百万人単位になるとも報じられています。既に日本の自動車産業においても、派遣労働者の契約解除という形で首切りのあらしが吹き荒れています。  資本主義が破綻した責任はだれにあるのか。労働者には一切の責任はなく、すべての責任は、資本とそれに一体化している政治権力にあります。にもかかわらず、労働者へのさらなる犠牲転嫁によって崩壊しつつある資本主義の延命を図るなど、絶対に許されないことです。  労働者階級の怒りは、今世界じゅうで渦巻いています。先月下旬には、イタリア、ギリシャ、ドイツで四百万人の労働者がストライキに入りました。フランスでは鉄道労働者が三十六時間ストを打ち、フランスの新幹線TGVでさえ七〇%が運休する、こういう状況になっています。  日本の労働者の怒りも燃え盛り始めています。既にメディアでも報じられているところですけれども、自動車産業の下請工場で働く派遣労働者が団結して労働組合を結成し、ストライキを初めとする闘いに立ち上がっています。  そうした怒りに燃える労働者五千七百人が十一月二日、日比谷野外音楽堂に結集し、資本主義の最後のあがきであった新自由主義は破綻した、今こそ資本主義を打倒して労働者階級が主人公となる社会をつくろうと、全世界の労働者にアピールをしました。その参加者の四〇%近くは三十代以下の青年労働者でした。十一月二日の労働者集会は、韓国、アメリカから来日した労働者や滞日アジア・外国人労働者とともに、国際的に連帯した労働者による国際階級闘争の爆発的推進を誓うものでもありました。また、これから本格化する資本の首切り攻撃に対して、生きさせろ、あるいは大幅賃上げを掲げたゼネラルストライキ情勢を切り開く闘いの宣言の場でもありました。  市場原理とかあるいは自由競争、こういうものを掲げた新自由主義は、民営化、規制緩和、労働組合の破壊と戦争に向かう政策であり、そのすべては労働者の権利剥奪などの攻撃としてあらわれてきました。しかし、その全体が完全に破綻したのです。きのうまで、競争こそ社会の活力とか競争からの脱落は自己責任だと、こういうふうに言ってきた者たちが、きょうに至って公的資金による救済を訴えるなど、絶対に許せません。  山田区長は常々、豊かな者から貧しい者に与えて平等化を図っていては社会の活性化はないという趣旨のことを議会の答弁、その他の発言の場で述べておられますけれども、これこそ新自由主義の思想そのものではないでしょうか。スマートすぎなみ計画は、この新自由主義を自治体行政において実現しようとする最悪の政策でした。現在の情勢あるいは時代の推移は、山田区長の思想である新自由主義が破綻したことを証明していると思いますけれども、この点について区長の見解を述べてください。  資本主義が終わったという体制崩壊の時代認識は、絶望的危機感に駆られた右翼ファシストの衝動を噴出させています。その典型的な表現が田母神前空幕長による論文や国会での暴言でした。田母神発言は、自衛隊はいつでもクーデターに決起するというに等しいものではなかったでしょうか。徹底弾劾されるべきものであり、これに同調するかのような言説は、団結した労働者の闘いで断固粉砕されなければなりません。  この田母神前空幕長発言は、実は麻生首相その人の歴史観、国家観でもあります。これまでの数々の麻生首相の暴言は、日本帝国主義のアジア侵略によって肥え太ってきた財閥資本の末裔ゆえの本音が噴出したものではないでしょうか。来年通常国会には、日本の軍隊をいつでも、どこにでも派兵するための海外派兵恒久法案の提出がねらわれています。憲法九条をあらかじめ踏み破り、泥靴で踏みにじる許しがたい暴挙です。田母神発言を弾劾するとともに、改憲と戦争に突き進むことで政権の危機を突破しようとする麻生政権を打倒しなければなりません。  山田区長は事あるごとに、かつての戦争は侵略戦争ではないとか、欧米の支配からアジアを解放したのであるとか、あるいは国益を守るための自衛戦争であったなどの発言を繰り返しています。これは、田母神前空幕長発言に表現された歴史観、国家観とまさに寸分たがわぬ同一の思想です。侵略戦争の歴史的評価に関して、山田区長の誤った歴史観、国家観に基づく発言を撤回すべきだと考えますが、区長の見解を述べてください。  世界金融大恐慌情勢のもと、減税自治体構想研究会の報告書が発表されました。しかし、私たちの目の前にある情勢は、歳入の一〇%、百五十億円を国債中心に一・五%の利率で運用する、こういう前提そのものが崩れてしまっているのではないでしょうか。  そもそも、減税自治体構想のもとになっている無税国家論とは何でしょうか。あたかも労働者階級にとって負担のない善政であるかのように言われていますが、全く違います。この発想の根本には、労働者階級が政治の主体である、こういう発想が全くありません。労働者階級は常に、政治経済をリードするエリート集団のもとにあって、実直に自らの分をわきまえて生活していればいい、そうすれば優秀なエリート集団が善政を施してくれて、安穏に人生を全うすることができる、こういった思想に貫かれているのが無税国家論であり、それを下敷きにした減税自治体構想です。これは、別の側面から見れば無責任国家論でもあります。税の付託という労働者階級からの縛りから自由になることによって、労働者階級に責任を全く持たない政治の運営という階級支配の本質をあからさまにし、それを正当化することさえやろうとしていると言わざるを得ません。世界金融大恐慌、資本主義の終わりといった事態にありながら、なおかつ減税自治体構想を推進していくつもりなのでしょうか、区長の見解を述べてください。  二点目、民営化政策についてです。  さきの決算特別委員会での民間事業化提案制度に関する質疑の中で、提案数が三年目にして半減していることについて、担当課長から、制度を見直していく必要がある旨の答弁がありました。これを受けて山田区長は、民営化政策について、量から質への転換を図る必要がある、課全体を民営化するような提案がなぜなされないのか、民営化についての考え方をワープさせなければならない旨の答弁をしています。  協働化六〇%を掲げるスマートすぎなみ計画は、まさに民営化政策の量のみを追求する政策です。そこには、自治体行政はどうあるべきか、民営化政策によって自治体労働者の労働環境がどうなるか、あるいは民営化された事業に従事する民間労働者の労働条件はどうなっていくか、こうした点についての視点が一切失われています。それは、この間の区議会における質疑、現場の状況を実際に見れば明らかです。民営化の矛盾は、さまざまな業務事故の発生によっていよいよ噴出しようとしているのではないでしょうか。ことしの夏に起きた和田中における給食調理員の一酸化炭素中毒事故は、大事には至らなかったものの、その一つの兆しだと私は懸念をしています。  以上に指摘した点の総括と反省なしに、さらに民営化政策についての考え方をワープさせるとはどういうことを意味しているのでしょうか。ワープとは時空間移動ということを意味していると思いますけれども、民営化政策における考え方のワープとはどういうことを指し示しているのか。私には、破綻した民営化政策をさらに絶望的に進めていく、何がどうあっても民営化推進を自己目的化しているとしか思えません。区長の見解を述べてください。  民営化政策は破綻している、そのことをはっきり確認する必要があります。資本主義が社会そのものの維持と再生を破壊し、労働者をもうこれ以上生きさせていくことができなくなっている事態が、現在の世界金融大恐慌情勢です。資本主義それ自体が社会の桎梏になっているのです。資本主義は、その発生と同時に労働者を制約なしに搾取し尽くす、こういう論理の貫徹によって労働者階級を絶滅させ、社会の再生産を不可能にしていく事態に直面しました。それに対して、さまざまな社会保障政策などの採用で階級対立を覆い隠し、労働者の怒りを抑圧し、国家独占資本主義政策によって資本の延命を図るなどしてきました。しかし、それがとうとう限界に達したのが今の時代です。  資本の論理には包摂できないけれども、社会を維持していくためには必須不可欠な政策を行政の責任という形で取り繕ってきたのが、これまでのあり方だったのではないでしょうか。もはや資本主義がその限界に達し、資本の論理によっては労働者階級の生存さえ危ぶまれる時代にあって、どうして民営化政策が妥当性を持つと言えるのでしょうか。山田区政における杉並丸ごと民営化政策の破綻を認め、政策の撤回を求めるものですが、区長の見解を述べてください。  以上、都政を革新する会・北島邦彦の一般質問といたします。 ○副議長(小川宗次郎議員) 理事者の答弁を求めます。  区長。      〔区長(山田 宏)登壇〕 ◎区長(山田宏) 北島議員の一般質問にご答弁申し上げます。  私からは、田母神前航空幕僚長発言と私の国家観、歴史観についてのお尋ねですが、今いろいろと私の発言とされたものというような発言内容、それは正確ですかね。  私がここで答弁を申し上げたことは、まず柱として、歴史というものは後世の歴史家が判断すべきものであって、政治家が政治論争すべきものではない、こう考えております。なぜならば、歴史の事実というものは時代を経るに従って新しい事実が判明してきて、そこの中でまた新しい解釈が生まれてくるものでして、歴史学会で議論するならばいろいろ議論もなりますけれども、そういう一面的、短絡的な議論というものは大変危険であるというふうに私は考えております。  そういった意味で、ここでこれまでいろいろ発言してきた趣旨は、いろいろな考え方がありますよ、また時代によって考え方も変わりますよということを申し上げてきましたことですから、そういったご趣旨のような考えを示してきたわけではありません。ですから、これらの発言について、もしあれば、撤回する考えはございません。  以上です。残余のご質問につきましては、関係部長からご答弁申し上げます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 政策経営部長。      〔政策経営部長(高 和弘)登壇〕 ◎政策経営部長(高和弘) 私からは、金融危機に関連したご質問にお答えいたします。  まず、現在の経済情勢の認識についてでございますが、アメリカのサブプライムローン問題に端を発した今回のような世界規模の金融不安には、さまざまな要因があると言われており、資本主義が終わったという時代認識は、表層の現象を極めて一面的にとらえたものであると認識してございます。現在の経済情勢によって、この間、区長初め私どもが進めてきた、市場に任せるものは市場に任せ、小さな政府でよりよき社会を築いていく、そういった考え方が否定されたという結論は、余りにも短絡的であると考えます。  次に、現在の経済情勢と減税自治体構想との関連についてのお尋ねですが、常に経済情勢は変動し、景気には波がございます。だからこそ、景気の変動に左右されない強固な財政基盤を確立し、中長期的に安定的な財政運営を行うことが、区民サービスの向上を図るために不可欠であると考えてございます。現在研究を行っている減税自治体構想は、まさにそれを実現する政策であり、今後、研究会の報告を踏まえ、具体化に向けた検討を進めてまいります。  私からは以上でございます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 行政管理担当部長。      〔行政管理担当部長(大藤健一郎)登壇〕 ◎行政管理担当部長(大藤健一郎) 私からは、民間事業化提案制度に関するご質問にお答えします。  民間事業化提案制度は、民間らしい着眼点と発想を生かした提案で大規模な行財政改革につなげることを目的に、導入したものでございます。こうした目的を達成するためには、従来の区の発想を超えた大胆な提案を促すために、実施方法を見直すなど、これまでの取り組みを総括し、制度の充実改善を図ることが必要です。さきの決算特別委員会での区長の答弁は、このような認識を述べたものであり、現在、制度の再構築に取り組んでいるところでございます。  私からは以上でございます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 四番北島邦彦議員。      〔四番(北島邦彦議員)登壇〕 ◆四番(北島邦彦議員) それでは再質問をいたします。  まず最初に、田母神空幕長の発言について、山田区長の答弁がありましたけれども、いろいろな考え方があるということを紹介はしたことがあるというような趣旨の答弁だったように思いますけれども、いろいろな考え方は紹介されてないのが事実ではないでしょうか。特に、かつてのいわゆる太平洋戦争と呼ばれる第二次大戦中の戦争について、山田区長は、明らかに私が先ほど述べたような評価を、一つの考えというふうに言い抜けられるのかもわかりませんけれども、それのみを紹介するというか、発言をするということにおいて、はしなくも山田区長ご本人の歴史観、国家観を指していらっしゃったのではないかと思います。  ちなみに、私が議員になる前だったと思いますけれども、かつての太平洋戦争について、これは日本の自衛戦争であるということを、当時のマッカーサー元帥のアメリカの議会での議会証言を引いて説明をされていたように思いますけれども、それなども、いわゆるセキュリティー、安全保障の戦争だったんだというふうに、アメリカの元帥自身が、指揮者自身が認めているではないかというような答弁というか、発言をされていたように記憶をしています。  これなども、一つの帝国主義観の戦争によって、アジアの国々が日本や帝国主義の戦争によって侵略をされていって、二千万、三千万の人たちがその戦争によって命を奪われていったというような、まさに帝国主義の戦争というような考え方が一切欠落したような議論ではなかったかと思います。改めてそういう点について、歴史は後世の人間が評価をするもので、この場で議論すべきではないとおっしゃられるのであれば、逆に、かつてのそういう発言こそ撤回されるべきではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。  それから、金融恐慌情勢についての認識についてですけれども、政策経営部長から、景気には波があるからこそ、だからこそ減税自治体構想という答弁がありました。しかし問題は、今の事態をこれまでの景気循環と言われるような一つの局面として考えるのかどうかということが、政策経営部の責任者として問われているのではないでしょうか。これは区長に対しても同じですけれども、まさにこれまでと同じような一つのあらわれというふうに考えているような認識自体が極めて表層的であって、私は問題が非常に多いというふうに思っています。先ほど政策経営部長の答弁にもありましたけれども、市場に任せておけば云々ということについて、そういうふうな考え方を取り消すような気持ちはないというような答弁がありましたけれども、まさにそういうこと自身が、市場が今どういうふうな状況になっているかということをしっかりと見据えていただきたいと思いますが、改めてこの点についてお考えを述べてください。  それから、民営化政策についてです。  従来の区の発想を超えるというような、そこの具体的なことをもっとはっきりとさせていただきたいと思います。従来の区の発想を超えるというのが具体的にはどういうのか想像がつかないわけでもありませんけれども、そうした民営化の進め方自身が、現在の経済情勢や時代情勢、それから労働者が置かれている状況、こういうことに対して、すべてにおいてマイナスの作用しかもたらさないのではないのかという視点から、この民営化政策の撤回ということを求めたわけですけれども、この点についての答弁を求めて、再質問といたします。 ○副議長(小川宗次郎議員) 理事者の答弁を求めます。  区長。      〔区長(山田 宏)登壇〕 ◎区長(山田宏) 北島議員の再質問にご答弁申し上げます。  この間の、その速記録があればいいんですけれども、ご質問は、たしか日本の戦争は侵略戦争だったんだと、こういったご質問だった、どう考えるか、こういうようなご趣旨でした。その場合、侵略の定義というものが一定されてない。特にその時代の侵略定義というものはないに等しい。あったのはパリ条約でして、パリ条約は、侵略かどうかはその当事国が、自衛かどうかを当事国が決めるという、その程度のものでした。ですから、当時はそういった定義は存在しなかった。これは、パール判決書の中でもそのようにパール判事は述べています。  しかし、そういった中で、そういう形で短絡的にすべてを断罪するのではなくて、その一例として、我々が戦った当時の敵国の大将ですら、マッカーサーのことですけれども、日本の戦争についてはそのような評価をしている。いろいろな評価があるんだ、こういうことで、そういうご質問でしたからこの例を出したのであって、さまざまな考え方はあるでしょうということだというふうにご認識をいただきたい、こう思っておりまして、そういった意味では、前の発言を撤回する考えは毛頭ございません。  残余のご質問につきましては、関係部長から追加答弁をさせていただきます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 政策経営部長。      〔政策経営部長(高 和弘)登壇〕 ◎政策経営部長(高和弘) 経済動向に関する認識についての再質問にご答弁申し上げます。  景気には基本的に波がございます。今回の金融不安について申し上げれば、サブプライムローン、そしてバブル、グローバル化した市場、IT、加えて投資マネー等々さまざまな、かつてなかった要因がございました。歴史を振り返ってみても、市場はその中で行き過ぎたものを調整し、市場を賢く誘導していくことで健全な経済が発展していくものだ、かように考えているところでございます。  私からは以上でございます。
    ○副議長(小川宗次郎議員) 行政管理担当部長。      〔行政管理担当部長(大藤健一郎)登壇〕 ◎行政管理担当部長(大藤健一郎) 北島議員の再度のご質問にお答えします。  従来の区の発想を超えるとは何かということですが、私を含めた従来の公務員の発想を超えるということですので、具体的には今この場ではなじまないかなと思いますが、民間ならではの着眼点と発想というものの中で行財政改革を進めるということです。  いずれにしましても、民間の持つよさと発想を生かすということは、効率的な小さな区役所づくりというのみではなくて、五つ星のサービスを提供するという点でも重要と考えておりまして、これからの自治体経営改革に不可欠なものだというふうに認識をしております。  私からは以上でございます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 以上で北島邦彦議員の一般質問を終わります。  四十三番大泉時男議員。      〔四十三番(大泉時男議員)登壇〕 ◆四十三番(大泉時男議員) 私は、自由民主党杉並区議団の一員として、区政一般について質問いたします。  初めに、景気対策についてお伺いいたします。  米国のサブプライムローンの破綻に端を発した世界的な金融不安は、またたく間に国際金融市場と各国の経済に多大な影響を与え、今や百年に一度という金融危機が訪れているのではないかという不安が世界じゅうを覆っております。  我が国においても、政府が緊急経済対策を出しておりますが、株価の下落とともに消費の落ち込みが激しく、地域の中で多くの事業者が不安を抱いております。  杉並区内においても、中小零細企業は、売り上げの減少もさることながら、投資設備にかけた資金の返済に大きな不安を感じている企業が多く、私のところにも苦情が寄せられてきております。特に借入利息の低減や返済期限の延長など、金融機関に対して公的な要請が図れないのだろうかという要望が強くなってきております。  我が区においては、この金融危機が起こるのと前後して、先月一日に原油価格の高騰に対応した中小企業対策を発表し、原油高対策の特別融資や経営支援策に関する説明会、また、融資や経営に関する特別窓口の設置などの対策がとられましたが、今回の金融危機の中小企業への影響は原油高の比ではなく、すべての業種に厳しい状況が見られ、あすにも知れない日々を送っている現状ではないでしょうか。  そこで質問させていただきますが、区は、区内の中小零細企業の現状をどのように把握しているのか、まずお伺いいたします。  また、国の緊急経済対策に加えて、東京都の対策も出ていると思いますが、これらの取り組みがどのようなものなのか、あわせてお伺いいたします。  ところで、ただいま申し上げましたとおり、我が区では、ガソリンの急激な高騰によって影響を受けている業種については、無利息の緊急融資などの手当てがなされておりますが、それに該当されない業種においても、厳しい経営を強いられている現状は同じであります。例えば先日リフォーム会社の経営者が訪ねてきて、金融機関が厳しいときは公的資金の投入で危機を逃れてきているのに、我々の危機のときには金融機関は冷たい仕打ちをしてきます、我々にも公的な支援をぜひお願いしますという切迫した要望が寄せられました。そのときの話によると、今売り上げの落ちているときに借入金をこれ以上増やしたくはない、借入金の毎月の返済額を減らして経費に充て、何とかやりくりしてこのあらしをしのいでいきたいので、借入金返済の繰り延べと金利の低減方策を考えてほしいとの依頼がありました。  今、区内の中小零細企業はあえいでおります。このまま放置しておけば、倒産してしまうか廃業してしまう企業が増えてきてしまいます。ぜひ区の温かい対応をお願いいたします。  特に、中小企業の皆さんのお話を聞いていると、既に行われている対策も含めて、国、都そして区が行っている対策の全体像が十分に伝わってないように思えます。新聞をチェックしていても、ある日には国の対策が載り、ある日には都の対策が載っている状況で、これらの政策が関連しているのかばらばらなものなのか、読み手である事業者の皆さんにはわかりにくいのではないでしょうか。もっと国、都、区の対策を事業者にとってわかりやすく総合的にPRしてもらいたいと思います。広報の一面で大きく取り上げてもらうことも含めて、事業者向け対策の総合的なPRに早急に取りかかっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。今後の中小企業への対策を含めまして、中小事業者を守ろうとする強い区の姿勢と対応についてお伺いいたします。  次に、我が区の医療環境の整備についてお伺いいたします。先ほど他の議員より関連質問がありましたが、角度を変えて改めて質問をさせていただきます。  十月二十二日の夕刊各紙は、都立墨東病院での妊婦受け入れ拒否事件を報道し、都心の救急医療体制のほころびを指摘し、早急に改善する必要性を訴えました。それは、江東区に住んでいる妊娠中の女性患者が十月四日に体調不良を起こし、患者のかかりつけ産婦人科医院に救急車で運ばれました。医師は、脳内出血の疑いがあったため緊急措置の必要を感じ、妊婦や胎児の緊急治療に対応する総合周産期母子医療センターに連絡をいたしました。都の指定を受けているER病院の都立墨東病院に緊急連絡をしたところ、救急患者の受け入れを制限しているため、受け入れを拒否されました。他の周産期医療センターに連絡をとったものの、七つの病院に受け入れを断られたため、初めに連絡をした墨東病院に再度連絡して、やっと受け入れを認められ、救急車で患者を搬送した出来事であります。  午後七時ごろ各周産期医療センターに緊急連絡を始めて、墨東病院に搬送して手続が始まったのは、二時間半後の午後九時三十分ごろでした。まず帝王切開で赤ちゃんを出産させ、続いて脳内出血に対する手術をいたしましたが、赤ちゃんは無事でしたが、母親は三日後に亡くなってしまいました。  私は、この出来事にはいろいろな問題が内在していると考えています。  まず一番目に、妊婦や胎児の緊急治療に対する最後のとりでとも言われる、都内に九つある総合周産期母子医療センターがなぜ機能しなかったかという問題。  二つ目に、都の周産期医療情報ネットワークがなぜ機能しなかったかという問題。  三つ目に、妊産婦の死亡原因の第二位を占める脳内出血をなぜ予見できなかったのか、また、産科と脳外科との連携がなぜスムーズにとれなかったのかという問題であります。  四つ目には、都は、都立墨東病院を総合周産期母子医療センターに指定しておきながら、平成十六年以降、産科医の常勤定員である九名を割っても補充せず、以来、医師不足が進み、十八年には予約分娩を中止し、本年七月以降は、土日、祝日の当直医を二人から一人に減らし、母体搬送の受け入れを原則断るようになったとのことですが、それでなぜ総合周産期母子医療センターの看板を出していられるのか、問題であります。  これらの問題は、江東区や墨田区だけの問題ではありません。杉並区においても、高度医療については都の指示に従っているわけですから、人ごとではありません。都立病院がこのような状況になっているのは、杉並区を初めとして、各区の医療体制にも安全上大きな影響が出ているのではないでしょうか。医療は都の行政と言われますが、その責任が果たせない状況では、医療に対する安全と安心の確保はできません。東京都の医療行政に対する責任を追及すべきではないでしょうか。  また、都にとって、産婦人科医の不足解消は喫緊の課題ですが、都はどのような解決方法を考えているのか、明らかにさせるべきだと思います。  さて、私は、杉並区の医療問題について、十年ほど前から議会で訴えてまいりました。初めに、五十二万都市に公立病院がない状態では区民の命を守る責任が果たせないのではないかと訴え、次には、救急救命医療に対する総合病院の区内誘致を訴え、そして現在は、区民の命を守るためには、少なくとも脳疾患、心疾患、そして小児医療などの緊急を要する病気に対しての初期医療ができる救急救命病院を区内に誘致できれば、区民は安心して生活ができるのではないでしょうかと訴えてまいりました。  今、私ははっきり言うことができます。それは、もはや医療の問題は東京都に任せておいてはだめだということです。五十二万区民の命は、杉並区の責任で守らなければなりません。喫緊の課題として、杉並区では、一分一秒を争う急患への対応に十分に気を使っていただきたいと思います。今回の妊娠中に脳内出血を起こした女性に対する都の対応は、各方面から非難されても当然だと思います。女性の夫はかかりつけ医に、二度と我が子の顔を見られないお母さんをつくらないでほしいと話していたようですが、杉並区でそのようなことのないよう、充実した医療環境を整えてほしいものです。  そこでお伺いいたしますが、年金や介護と並んで、区民の暮らしのセーフティーネットとして欠かせない医療問題について、区民の安全を第一義に守る立場にある基礎的自治体として、区は、どのように充実をさせていこうとお考えなのか、これまでの取り組みの総括とともに、今後に向けての基本的な考え方をお尋ねいたします。  また、我が区を取り巻く周辺区では、練馬区に順天堂練馬病院が三年前に誘致され、中野区でも警察大学校の跡地に警察病院が建設されました。これらはいずれも、二次救急医療機関に三次の要素も付加した、いわば二・五次医療とも呼べる医療機関ですが、こうした医療機関は、区内では阿佐谷に河北病院があるにすぎません。地域医療の中核的機能を、救急医療、高度医療、さらには災害時の拠点としての機能を有する医療機関が身近にあることは、区民の安心・安全を向上させる上で大変大きな役割を果たしておりますが、私が住む井の頭線沿線を初めとする区の南部には、こうした医療機関が存在しません。もちろん都の計画により、周辺区にある医療機関を含めれば、こうした地域もカバーする医療圏が設定されていることは承知しておりますが、同じ区内にないというのは、やはり不安であります。  そこでお伺いいたしますが、私の意見としては、区内の南部地域に、河北病院や警察病院のような二・五次救急の医療機関を誘致するなり設置していくことが必要だと思うのですが、この点、区の考え方はいかがでしょうか。  また、私がよく病院の話をすると、どこに建設するのですかと尋ねられますが、私は、今はその必要性を訴えておりますが、建てようと思えば用地はありますよと言っております。民間企業の遊休地の買い取り、国や都の払い下げ地、学校の統合などによる用地なども有効に利用できるのではないでしょうか。この点、区の見解はいかがなものか、あわせてお尋ねいたします。  以上、私がここまで述べましたように、医療問題については、山田区長が安全・安心を区の重要施策として掲げられているのであれば、区は、もっと自らの問題として主体的に考え、解決に向けて努力していく必要があると思います。そろそろ具体化に向けた取り組みを始める時期になっているのではないかと思うのですが、ご見解をお尋ねいたします。  人は、だれもが天命を全うし長生きしたいと願っているものだと私は思っておりますが、自分の意思ではどうにもならないことがあります。それは、病気やけがで命を落としてしまうことです。五十二万区民が病気やけがで命を落とさずに最後まで生を全うすることができるように、杉並区の医療環境を確立していただきたいと願うものであります。最後に、杉並区の医療確立に向けた区長のご所見をお伺いして、質問を終わります。  ありがとうございました。 ○副議長(小川宗次郎議員) 理事者の答弁を求めます。  区長。      〔区長(山田 宏)登壇〕 ◎区長(山田宏) 大泉議員の一般質問にご答弁申し上げます。  私からは、まず、区内の南部地域への高次機能を有する救命救急病院を設置することについてのご質問にお答えいたします。  この地域には大病院が少ないために、そのような病院の設置は地域の安全・安心に大きく寄与するものと、こう認識しています。ただし、委員今ご指摘いただいてきましたとおり、医療法に基づき二次医療圏ということで基準病床というものが決まっていまして、杉並区の属する新宿、中野、杉並の保健医療圏では、大幅な増床は困難な状況である、こう言えます。  しかし、病院の統廃合なども進んできておりまして、実際の病床数には変動があります。また、その中でゆとりが出る可能性も出ております。また、高度ながん治療、診療や周産期医療にかかわる特定病床が不足する地域や、人口の著しい増加に対応した病床整備などには特例的な扱いが認められておりまして、こうした事例も含め、多角的に検討していきたいと考えております。  次に、杉並の医療の確立に向けた決意というご質問がございました。先日の痛ましい事件に対しては、本当にああいったことを二度と起こしてはならない、こう思っておりますし、これは国が悪い、都が悪いと言っていてもなかなか、地域というものから考えますと、要望していれば済むというものではないなという感じを持っております。  また、がんなどについても、最近は放射線治療などは通院でできるような時代にもなってまいりました。そういった意味で、わざわざ臨海部まで行かなくても済む、こういった時代にも入ってまいりました。こういった治せるものが技術の進歩、医療の進歩によって広がってきております。私は、そういった時代の変化なども含めて、今日の医療の問題は、単に東京都や国に任せるだけではなくて、区としても、基礎的自治体として、杉並区の総力を結集して取り組みをしていかなければいけない、こう考えております。  二十四時間三百六十五日、区民が安全・安心に暮らせるように救命救急体制、地域医療体制の確立に向け、今申し上げました認識のもとでグランドデザインを描くときに来ていると痛感しておりまして、そのための取り組みを検討していきたいと考えております。  残余のご質問につきましては、関係部長からご答弁申し上げます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 区民生活部長。      〔区民生活部長(佐藤博継)登壇〕 ◎区民生活部長(佐藤博継) 私からは、景気対策についてお答えいたします。  最初に、区内中小零細企業の現状に関するお尋ねでございますが、区内中小企業者からは、窓口や電話などでの相談を通じて、売り上げ減少や資金繰りなどについて厳しい状況にあるとの声が日々寄せられております。事業者のこうした声は、区内の中小企業を取り巻く経営環境が、企業業績の悪化や需要の停滞などにより極めて厳しい状況に置かれていることの反映であると受けとめております。  次に、国や東京都の対策についてのお尋ねでございますが、中小企業者の資金調達の一層の円滑化を図るための支援策として、国では十月三十一日から、緊急保証制度として、従来のセーフティーネット保証制度の対象業種を百八十五業種から五百四十五業種に拡大し、さらに十一月十四日には六百十八業種に拡大いたしました。杉並区内約二万事業者のうち、約一万五千事業者がこの対象となりました。  また、東京都では十月から、都制度融資の経営支援融資における保証料補助の拡充や連鎖倒産防止のための共済掛金補助制度の新設などを実施しております。  次に、事業者向けの総合的PRについてでございますが、現在、区公式ホームページ上のすぎなみワークインフォメーションにおいて、区を初め国、東京都の中小企業支援施策をご案内しておりますが、今後とも、中小企業支援のためのさまざまな制度を事業者に広く活用していただくために、区広報やパンフレットなどのほか、東京商工会議所杉並支部や区商店会連合会などの関係団体を通じまして、一層の周知に努めてまいります。  また、区の対応についてのお尋ねでございますが、区内中小企業を取り巻く経営環境がさらに厳しさを増す中で、区は、その経営を支援するため、原油高対策特別融資や年末運転資金融資を実施し、あわせて融資相談体制の整備を図るとともに、十二月から土日の融資相談窓口を開設するなど、経済状況の変化を注意深く見ながら、状況に応じて適時必要な対策を講じてまいります。  私から以上でございます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 杉並保健所長。      〔杉並保健所長(長野みさ子)登壇〕 ◎杉並保健所長(長野みさ子) 私からは、医療問題に関するご質問にお答えいたします。  これまでの取り組みですが、平成十六年に救急医療システム検討専門家会議報告を受け、杉並独自の救命救急体制構築を目指し、三つの重点項目を掲げ、取り組んできました。  第一に主要な救急ニーズに対応できる体制、第二に小児夜間救急に対応できる体制、第三に区民参加による初期救急対応力の向上を目標としました。そして、関係機関と救急医療連絡協議会を設置し、情報共有の場を整えました。その後、二十四時間三百六十五日医療機関案内や相談を受けられる電話サービス、急病医療情報センターを開設し、さらに二つの病院に夜間小児診療枠を確保しました。また、AED配置と救急協力員の養成等、独自施策を着実に進めてきました。  今後は、こうした取り組みをさらに前進させる所存ですが、昨今の救急医療を取り巻く情勢をかんがみ、杉並改革総点検で、社会経済状況の変化に対応し、新たな視点を持って取り組むべき課題として、地域医療体制の充実を取り上げたところです。医療に対する区民の不安を解消するため、今後の地域医療体制の確立に向け、区を挙げて全力で取り組みたいと考えております。  次に、施策の具体化に向けた見解についてのお尋ねですが、二十四時間三百六十五日命の安全・安心を確保することは、区の最大の使命だと考えております。そのため、現在取り組んでいる杉並独自の取り組みをさらに進め、区内七カ所の二次救急医療機関や医師会等で構成する救急医療連絡協議会には、東京警察病院も加えて拡充し、情報の共有やネットワークの強化を図る所存です。  また、高次機能を有する救急病院の設置等の医療基盤整備についても、関係部署で連携してさまざまな条件を十分に調査し、検討を進めていきたいと存じます。  私からは以上です。 ○副議長(小川宗次郎議員) 政策経営部長。      〔政策経営部長(高 和弘)登壇〕 ◎政策経営部長(高和弘) 私からは、病院用地として有効利用できる土地の可能性についてのお尋ねがございました、それにお答え申し上げます。  現在、国においては、ここ数年の間に公務員宿舎等の国有地払い下げの動きがございます。また、民間の企業グラウンドにつきましても、社会経済状況の変化の中で、これまで以上の動きが出てこようかと存じます。加えて学校適正配置等の動向もございます。  こうした中で、病院用地として利用できるような土地が出てくることも十分に考えられることと存じます。  私からは以上でございます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 以上で大泉時男議員の一般質問を終わります。  三十六番鈴木信男議員。      〔三十六番(鈴木信男議員)登壇〕 ◆三十六番(鈴木信男議員) 日本共産党杉並区議団を代表いたしまして、歴史的認識等について、大きく七項目について質問をいたします。  第一は、従軍慰安婦にかかわる問題であります。  二〇〇七年の七月、アメリカ下院本会議で、日本政府に対し、従軍慰安婦に謝罪要求を超党派による決議がされております。決議は、慰安婦制度が日本政府による強制的な軍事売春であり、その残酷さと規模の大きさにおいて前例がない、二十世紀における最大の人身売買と指摘をしております。また、日本の学校で使われている新しい教科書の中には、慰安婦の悲劇、第二次世界大戦中のその他の日本の戦争犯罪を軽視しているものもあると批判、旧日本軍の関与を認め、おわびと反省を示した九三年の河野官房長官談話を弱め、撤回する動きが日本政府にあったことも挙げております。  さらに、日本政府に対し、一、明確であいまいでない方法で認知し、謝罪し、歴史的な責任を公式に認める、二、首相が公式声明で謝罪を表明する、三、従軍慰安婦はなかったという主張を明確に公に否定をする、四、現在と将来の世代に教育をすることを求めてもおります。  同じく二〇〇七年十一月にはオランダ、カナダでも謝罪決議がされております。同じく十二月にはEU議会で決議がされ、慰安婦(アジアにおける第二次世界大戦の戦前・戦中の性奴隷)のための正義に関する二〇〇七年十二月十三日の欧州議会決議であります。同決議は、謝罪、賠償、責任を公式に認める、史実を現在、未来の世代に教育することなどを勧告しております。この決議を加盟国の政府と議会、日本政府と国会、国連人権委員会、ASEAN諸国の政府、朝鮮民主主義人民共和国、大韓民国、中華人民共和国、台湾、東ティモール民主主義共和国など、それぞれの政府に送付することを欧州議会議長に命ずるとなっております。  ことしに入りまして、二〇〇八年の十月二十七日には、韓国国会で慰安婦決議を全会一致で採択をし、日本に謝罪と賠償などを求めております。同じく二〇〇八年十月三十日には、国連自由権規約委員会が謝罪と補償、責任者の処罰、教科書への記載、被害者を傷つける発言への適切な対応を、直ちに効果的な立法及び行政的な措置をとるよう勧告をしております。同じく二〇〇八年の十一月十一日には、台湾の国会に相当する台湾立法院が、公式謝罪と賠償を求める議会決議をしております。  国内のほうの動きとしては、二〇〇八年の三月に宝塚市で、日本政府に誠実な対応を求める意見書を可決し、同年六月には清瀬市で同趣旨の意見書が可決もされております。そしてこの十一月には札幌市で、慰安婦に関する意見書を提出してもおります。  そこで一連の国内外で早期の公式の解決が求められております。この流れを山田区長及び教育委員会はどのように見ていらっしゃるのか、見解を求めておきます。  大きな二点目は、一九九三年の政府の河野洋平官房長官の談話に関してであります。  日本軍慰安婦問題は、葛藤と対立の二十世紀を克服して平和な二十一世紀を迎えるために解決すべき象徴的な問題であります。一九七〇年代から日本軍慰安婦問題が社会化をし、被害者の沈黙から証言へなど、世論の動向の中、事実が明らかにされ、国際的な圧力も強まってまいりました。  一九九三年、河野洋平官房長官は、政府のいわゆる公式な調査結果に基づき談話で、慰安婦の募集、移送、管理等も本人たちの意思に反して行われた、いわゆるだまし、誘拐、拉致、人身売買等であります。当時の軍の関与のもとに、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題と強制性を認めた上で、心からのおわびと反省を表明したわけであります。  これは今日の政府の見解でありますけれども、山田区長及び教育委員会は、九三年河野洋平談話の立場であるのかどうか、改めて確認をしておきたいと思いますので、答弁を求めます。  大きい三項めは、大藏教育委員会委員長にかかわる三項目についてであります。  第一は、二〇〇〇年六月のアメリカ・モンタナ大での発言に関連してであります。  大藏氏のアメリカ・モンタナ大での発言、現教育委員長であります大藏氏の、二〇〇〇年六月の国際フォーラムで、いわゆる従軍慰安婦は売春婦だったと発言をした問題であります。区長と助役ほかは、本人は事実無根と言っている、本人を信じると、繰り返し議会で答弁をしてまいりました。例えば二〇〇一年の三月十三日の予算特別委員会などでの答弁であります。  また、統一日報の報道、二〇〇一年四月十日付によりますと、二〇〇〇年十二月十一日、区長応接室で区議立ち会いのもと、在日本大韓民国民団東京杉並支部と婦人会は、大藏氏と話し合いを持ち、従軍慰安婦は売春婦発言との誤りを強く抗議をした記事を掲載いたしました。  そのやりとりの主なものは、支部の副議長が、知らないのに歴史を書くな、歴史の教育をするなと抗議をし、大藏氏は何度も謝って、もう書かない、こういうことになるとは夢にも思わなかったと述べ、大藏氏は自分の歴史事実の誤認を認め、今後はこういう過ちを繰り返すことがないように反省の弁を述べ、謝罪をした。さらに、学者は常に体制に流されることなく弱者の味方にならなければならないとも言った、以後は誤解を招くような発言は一切慎むことをはっきり約束をしたなどであります。  その後、我が党の調査により、二人の立ち会いをした区議はだれであったのか、教育委員を一期四年でやめると約束をしたこと、売春婦と発言をしたことを謝罪し何度も謝ったこと、歴史の事実を誤認したことなど明らかになり、記事の内容に誤りがないことを何人もの証言を得ております。  私は、この国際的重大問題は何度も取り上げてきております。当時シンポに参加をした大藏氏に、事実無根の発言は許されないと抗議をした複数の証人もいます。また、機会がつくられれば公開の場で大藏氏といわゆる対決し、発言が事実であることを証明できると証言も得ているところであります。  従軍慰安婦は売春婦との発言が事実無根なら、なぜ民団の方々に大藏氏は何度も謝ったのでしょうか。また、アメリカ・モンタナ大は、この発言を議事録から削除しましたけれども、これらのことに矛盾をするわけであります。区長が言いますように決着済みなどという問題ではありません。この「決着済み」という区長の発言は、二〇〇六年二月二十一日の私の代表質問に対する答弁であります。  そこで、大藏氏は現在、杉並区の教育行政の最高責任者であります。さきに示した国内外の動向から、住民と議会、教育委員会の名誉にかかわる重大な問題であります。真相を明らかにするよう、大藏教育委員長の答弁を求めるものであります。  第二は、さきの国際会議での虚偽報告等についてであります。  大藏氏は、つくる会の新しい歴史教科書をつくる必要性について納得をしたこと。また、高嶋教授の名誉毀損にもなりかねない虚偽の発言、高嶋氏がマレーシアに行って、ありもしない虐殺を証言させているなどと発言。これに対して高嶋氏らが、証言が捏造されたと反論。その報告文に反論できないでいるなど、資格にかかわる、この国際会議の場での許されない虚偽の報告など、私は二〇〇一年の三月十三日予算特別委員会で明らかにいたしました。
     助役は、「もう一度私ども確認する用意はございます」と答弁されたわけであります。今日まで調査、確認がされたのかについて、再度答弁を求めておきます。  三点目は、二〇〇五年八月のときの教科書採択時の公平公正な審議にかかわって二点を問いたいと思います。  第一は、二〇〇〇五年の九月十四日の一般質問でも私、取り上げてまいりましたことでありますが、教科書の公平公正な審議をするためには、三つの縛りが、法律を含めたものがあります。第一は教科書出版業界の自主規制、第二は文科省の指導、第三は公正取引委員会の特殊指定という項目であります。  杉並区は、採択事務に当たって、他の自治体と比べ審議の環境が極めて異常であったこと。これは、つくる会の副会長で採択推進本部長の藤岡信勝代表執筆者の公開質問状という事件が起きたわけであります。教科書の決定前に質問状で直接教育委員に関与をする、これはあってはならないことで、他の自治体にはないわけであります。ですから、教育長も非常に残念であると意思を表明せざるを得なかったわけであります。  第二は、このつくる会の副会長が傍聴していたこと。これは、私どもの調べではほかの自治体にはないことであります。しかも、公開質問状について、審議の当日、大藏委員が審議の場で、私も読んだ、安本さんはまだ答えていない、答える必要がある、こう言って、藤岡氏にかわって代理の感じで直接関与をしたということであります。この公開質問状は、期日までに回答がなければ法的に訴えるということを、本人のみならずマスコミ等にも送付する、いわゆる倫理違反行為まで行ったわけであります。これらの状況は、教科書審議の場で、二人のつくる会副会長が直接間接に関与し、参加したものと言える状況であったということであります。  私の問いに前室長が答弁で、教育委員会が法律に基づきその責任のもと検討され、決定されたなどとして、この問題の直接答弁を回避してまいりました。このような状況で、どうしてこれが公正公平な審議環境だと言えるのでしょうか。直接関与するなど、ほかの自治体にはなく、極めて異常なことであります。  以上の二点について、改めて教育委員会の答弁を求めておきます。  大きな四点目は、日本は侵略国家であったのか、侵略国家を規定する基準についてであります。  まず、大きな波紋を引き起こし、更迭されました航空自衛隊の田母神俊雄前航空幕僚長の論文は、そのタイトルどおり、「日本は侵略国家であったのか」を主題とし、我が国が侵略国家だったなどというのは、まさにぬれぎぬであると結論づけております。  自衛隊の統幕学校で、侵略戦争美化の歴史教科書づくりを進める新しい歴史教科書をつくる会、八木秀次会長と福地副会長、高森事務局長の三人の正副会長らが講義をしていたことも明らかにもなりました。同じ懸賞論文に幹部自衛官が九十四人も応募していたことも明らかになり、組織ぐるみの事件に発展をしております。まさに言論によるクーデターと言える事態となっております。なぜぬれぎぬなのか、同氏は何点か列挙しておりますけれども、同氏の自分勝手な基準を持ち出して侵略国家ではないなどと言っても、通用するものではありません。  侵略とは何か、今日の世界では明確な基準があるわけです。例えば一九七四年に国連総会が採択をした侵略の定義に関する決議は、侵略とは、国家による他の国家の主権、領土保全もしくは政治的独立に対する武力の行使だと規定をしております。具体的には、一国の軍隊による他国の領域に対する侵入もしくは攻撃、軍事占領、併合、一国の軍隊による他国の領域に対する砲爆撃、他国の港または沿岸の封鎖などを侵略行為だとしております。  このような基準に照らせば、日本が起こした戦争が領土拡張を目的とした侵略戦争であったことは、当時の戦争を計画し実行した政府の幾つもの公式文書などで、明確に実証されております。第二次世界大戦終了時にできた国連憲章自体が、日本、ドイツ、イタリアなどを敵国と定め、これら敵国における侵略戦争の再現、これは五十三条でありますけれども、この防止に言及し、日本やドイツが侵略国であった事実を前提条件としております。  戦後の平和秩序は、このような侵略政策の断罪の上に立ち、特定の場合を除いて、国際紛争解決のための武力行使を認めないことを決めたわけであります。日本国憲法九条は、その理念をさらに徹底をさせ、軍隊の保有も交戦権保持も放棄を定めました。田母神論文は、これを真正面から否定をするものであります。  二〇〇一年の六月四日、私は区長の歴史認識について問い、一九三一年の中国東北部侵略から始まった太平洋戦争終結までの十五年間の戦争はむき出しの侵略戦争であったこと、だからこそ、世界は日本の行った戦争を世界征服が目的だったと規定し、日本が受け入れをしたポツダム宣言の六項は、このことを明記しているなどを示して、区長の歴史認識を問うたのであります。  区長は、太平洋戦争に関する認識はさまざまな見解がある中で、平成七年八月十五日に出された村山総理大臣談話が現在の政府の見解と承知をしており、その見解に従っていきたいと答弁をいたしました。ところが、二〇〇四年、平成十六年十一月二十六日の我が党山崎議員の質問に対する答弁では、太平洋戦争というか、日本の過去の戦争についての判断は、やはり歴史家が判断していくもの、政治家が判断すべきものではないとして、さらに、侵略戦争の定義、そういう定義が一体どういうものなのかということがないと、政治家が発言する場合は控えなければならないなどと、答弁を後退させたわけであります。  侵略戦争を規定する基準を私は今示しましたが、日本の少なくとも一九三一年の中国東北部、満州侵略から太平洋戦争終結までの十五年間の戦争は侵略戦争であったのか、区長の歴史認識を改めて問うものであります。答弁を求めます。  大きな五点目は、つくる会教科書に関連してであります。  二〇〇五年の教科書採択では、つくる会の歴史教科書は〇・三九%、公民は〇・一九%で、みじめな結果に終わりました。これは、全国各地の子どもたちに歴史の真実をと願う広範な住民とアジアの人々などとも連携した民主的な運動の結果であったわけであります。  つくる会は、二〇〇六年一月内紛状態が激化し、西尾幹二名誉会長、藤岡信勝副会長グループと八木秀次会長グループに分裂をいたしました。つくる会を脱退した八木秀次会長グループは、新組織、日本教育再生機構を発足させ、理事長に就任をいたしました。  二〇〇六年十一月より、教育再生タウンミーティングを全国各地で開始をしております。このタウンミーティングは、全国各地でいわゆるやらせ発言が発覚をして、社会的に大問題になったわけであります。再生機構イコール教科書改善の会であり、これに大藏現教育委員長もいわゆる賛同しているとの情報もあります。  二〇〇七年、昨年の十二月七日には東京で開催がされ、山田区長も八木理事長らと登壇をしております。区長のタウンミーティング参加の経緯、目的について明らかにすることを求めるものであります。  つくる会の新会長に就任した藤岡信勝氏は、二〇〇七年五月、会長声明を出しております。その中で、扶桑社自身が、つくる会教科書は各地の教育委員会の評価が低く、内容が右寄り過ぎて採択がとれない教科書と認めていると、絶縁理由を述べております。  また、「歴史と教育」二〇〇七年五月号で、出版会社も教科書名も変わり、執筆責任者と執筆者を入れかえ、教科書の内容を全面的に書きかえるのであるから、これは新しい歴史教科書の改訂ではなく、新しい歴史教科書を廃刊にするという決定です、屋山氏は率直に、つくる会の教科書がなくなるのだから雲散霧消する、(中略)西尾の書いた部分はどんなに金がかかっても全部書き直しをする(フジテレビ役員)、教科書発行は藤岡を執筆者から外すことが絶対条件である(片桐扶桑社社長)といった発言が伝えられている、大部分を執筆している西尾、藤岡両氏を排除した、などであります。つまり西尾氏、藤岡氏が書いたものは全部だめだと、フジサンケイグループと扶桑社が主張し、扶桑社及びフジサンケイグループは、現行のつくる会教科書は右寄り過ぎて教育委員会の評価も低いために採択がとれない、だめな欠陥教科書だと考えているということが明らかであります。  これは極めて無責任なことであります。版元の扶桑社自身が、現行のつくる会教科書(扶桑社版)はだめな教科書だと主張しているわけで、この教科書の採択を主張した大藏、宮坂両委員、採択した杉並の教育委員会の責任も問われることになるわけであります。教育委員会の答弁を求めます。  六点目は、宮坂公夫現教育委員長職務代理発言に関連して、五項目問いたいわけであります。本来なら本人に答えてもらいたいところでありますけれども、ここに出席をされていません。しかし、教育委員会の姿勢として問われる重大な問題であります。  二〇〇五年の教科書採択時のことでありますけれども、もちろん言論、表現の自由は、当然憲法の理念に基づいて保障されることをまず述べておきます。  第一は、教育委員会の信頼にかかわる問題、産経新聞紙上でのデマ証言についてであります。  これは、二〇〇三年三月六日の予算特別委員会文教分科会で私は質疑で取り上げをしたものでありますけれども、二〇〇二年の四月八日、産経新聞一面のトップに大きく、紙面の面積でいうと約四分の一以上使って、「歪められた教科書採択 家族にも嫌がらせ・脅迫」という形で記事が載ったわけであります。これは、国会議員でつくる歴史教科書問題を考える超党派の会というそこのところに、実名が載っていて、三人の人が呼ばれたわけです。そこで、杉並区の宮坂公夫教育委員も呼ばれ、杉並の実態について話をしたわけです。その中で宮坂公夫委員は、現場で感じた恐怖について証言をしたと書かれていて、教育委員のところにかみそりの入った封筒が送られたという話をしたわけです。  私は、さきに述べた委員会で、杉並の教育委員にこのようなことがあったのかと質問をしました。当時の教育長は、各委員に確認をいたしましたが、そのような事実は全くございませんと、答弁をいたしました。しかし、区長は、後日、詳細は存じ上げないとした上で、本人に聞いているとして、他の地区の教育委員に行われたことで、何ら不正直な話ではないと、質問趣旨を歪曲して弁護をいたしました。これは二〇〇四年十一月二十六日の私の質問に対する答弁であります。  これまでこのようなことを行ってきたような教育委員は、約五十年間、私は先輩などからいろいろ聞きましたけれども、杉並にはいなかったわけであります。真実を願う杉並の区民、議会、教育委員会の名誉、信頼にかかわる重大な問題でありますので、真実のほどが今問われているわけであります。  そこで、第二の、教科書採択の事務の基準についても問うておきたいわけです。  宮坂委員は同じ新聞紙上で、扶桑社教科書の市販本は六十万部も売れているのに、採択がほとんどされないのは不自然だと訴えたとあります。教科書の採択事務を審議しているそのときにその本が売られる、これは違法行為等でもあるし、あってはならないことであります。本来こういうことが行われれば、教科書を公平公正に採択をするのに支障が出るので、他社には見られないこういった販売等の行為があった会社については、むしろやめてほしいというのが正論ではないんでしょうか。  公正公平な採択事務を行うために守らなければならない最低限の三つの行為、独占禁止法の特殊指定など、さきに示し、私は問いをしたわけです。指導室長は、他社の販売等はなかった、公正獲得に関する規制等、独占禁止法特殊指定の部分、これらに照らして考えるべきと答弁したところであります。  ところが区長は、二〇〇四年の十一月二十六日、さきに示した本会議での答弁で、独占禁止法違反ならば公取委が摘発するはず、違反でないから今のままになっていると答え、摘発されなければ違反ではないとの考えを示しました。この区長の論理に立てば、違反していても摘発されなければ何ら問題ないということになるわけであります。果たしてこういったことでいいのかどうかということであります。  そこで、公正公平、厳格な採択事務の最低限の基準、モラルに照らして、区長がこうして弁護することは極めて重大というふうに言わなければなりません。  この項の三点には、憲法と平和の問題に対してであります。  平和志向の強い教科書はだめだと、国語の教科書採択で宮坂委員が発言をいたしました。平和志向の強いものは避けるべきではないのか、そして避けるべきとする文学作品を次々と挙げたのが、どれも戦争や平和をテーマとする作品です。作者はあまんきみこさん、野坂昭如さん、井上ひさしさんらであります。また、核兵器廃絶への思いを書いた吉永小百合さんのエッセーも、教科書としてふさわしくないと断じたわけであります。これでは私は、まるでナチスが自分たちの気に入らない本を焼いたあの焚書という事件がありましたけれども、これと同じ発言と言わなければなりません。広島と長崎がある国で、世界唯一の被爆国で原水爆禁止署名運動発祥の地この杉並で、核兵器廃絶の思いのエッセーは教科書としてふさわしくないで、果たしてこれでいいのかどうか、私は断じて許されるものではないと思います。  そこで、憲法は、さきの戦争のつらい体験から、恒久平和を基本理念としております。先ほどの平和志向の強いものはだめだという、この逆の言い方をすれば、平和志向の強いものの対極は、暴力と戦争志向の強いものであります。そういう教科書はよいということになるのか、憲法の理念及び擁護義務上からも重大な問題と言わなければなりません。  第四点目は、国際関係に関連して問いたいわけです。  扶桑社に対する海外からの批判があるのは知っている、韓国、中国がうるさいから見送ろうというのは、反対に韓国と中国に対する最大の侮辱である、こうも宮坂委員は発言をいたしました。そうすると、扶桑社の教科書を採択しなかった、例えば二十三区では杉並区以外の二十二区はこういうことになるのか、また、ほかの採択しなかったところはみんな侮辱したことになるのかということであります。三多摩の全市町村もみんな不採択をしたわけであります。このところもみんな中国や韓国の人たちを侮辱したことになるのでありましょうか。全国ももちろん当然であります。  そこで、二〇〇五年の教科書採択事務で、全国五百八十四地区で扶桑社の教科書を採択したのは、さきにも示したとおり、極めてわずかな採択に終わりました。採択しなかった全国ほとんどの地区は、宮坂委員が言うように、中国、韓国などを侮辱、いわゆる相手を見下し、ばかにして、ひどい扱いを行う、こういうことをしたのかどうか、求めたいものでもあります。  五点目は、教育現場の教員の意見との関係であります。教育現場の意見、区民の意見が生かされないという問題であります。  当時の教育長は東京新聞の紙上で、現場の教師の意見や区民の意見を尊重、しんしゃくして発言をした、こう語っております。しかし、採択の結果は、教員意見と全く正反対の意思決定が行われたわけであります。  教育現場の意見が生かされていない。教科用図書調査委員会報告の総合所見などによれば、つくる会の教科書を批判がなく肯定的に評価したのは、二十三校中一校のみであります。若干の批判を含めたものを数えても三校のみであります。他の二十二から二十校は、この教科書は国際的に通用しない、教科書としてふさわしくない、こういう内容のものであります。当時、極めて評価の低い扶桑社の教科書がなぜ採択されたのか、NHKの「クローズアップ現代」でも報道がされ、大変大きな反響を呼んだわけであります。  また、ユネスコ勧告六十一条で、教員の不可欠の役割等が強調され、与えられているなどもあります。宮坂公夫委員は、この場合は大藏委員も含まれますけれども、現場教員の調査意見やユネスコ勧告をどのように位置づけをされているのか、単なる参考資料で済まされるのかどうか、改めて問題と言わなければなりません。  最後の大きい七番目としての問題であります。最後に、関連する事項について問うてまいりましたけれども、教育委員会の基本的認識、位置づけについて、四点問うておきたいと思います。  第一は、戦争に関してであります。一九三一年、日本軍の中国東北部侵略、満州事変から太平洋戦争を終わるまでの十五年間の戦争の基本的認識であります。侵略戦争であったかどうか。  第二点目は、従軍慰安婦にかかわる一九九三年の河野洋平官房長官の談話についてであります。  三点目は、九五年の村山首相談話、いわゆる植民地支配と侵略についてであります。  第四は、教員の地位に関するユネスコ勧告六十一条についてであります。教員の権利及び責任、学問の自由の享受など、教員は、生徒に最も適した教材及び方法を判断する資格を有している、教材の選択及び使用、教科書の選択及び教育方法の採択に当たって不可欠の役割を与えられているなどがあるわけであります。これらは、これまで区教委は尊重すると言ってきたわけであります。当然のことであります。  以上、これらの四点の基本的認識を改めて区教育委員会に問うて、私の質問を終わります。 ○副議長(小川宗次郎議員) 理事者の答弁を求めます。  区長。      〔区長(山田 宏)登壇〕 ◎区長(山田宏) 鈴木議員の一般質問にご答弁申し上げます。  私からは、かつてここで共産党の方のご質問にお答えした内容について、議員の言葉をかりれば昭和六年からの戦争状態、こういったものについて侵略戦争ではなかったのかということを一九七二年の国連の、私はつぶさに存じ上げませんが、基準を示しながらお話しになりました。  まず前提として、過去の行為を評価したり判断するときには、そのときにちゃんとしたそれを判断する基準があったことが大事であります。後からルールをつくって、後から評価を定めて、過去の行為を裁くことはできないと私は考えております。ですから、一九七二年に仮に国連のそういうような考え方があったとしても、当時、一九三一年、一九四一年、こういったときにその基準がないならば、私は、現在の基準で過去の人を裁いたり評価することはアンフェアであるというふうに考えておりまして、そういった意味で、当時は当時の基準というものがあって、その基準の中でものが進んでいるわけですから、その考え方で裁くというのは、共産党内のこれまでの歴史だったらあるかもしれないけれども、普通の国、普通の社会ではあり得ないということであります。  ですから、この点についての私が申し上げた点につきましては、当時のいろいろな考えがある、いろいろな評価があるということをきちっと受け入れて、そしてさらにいろいろな事実が出てくるので、その事実に基づいて歴史家が戦争について判断すべきだ、こう考えております。  それから、昭和六年からのお話がございましたけれども、昭和六年は満州事変のことでしょうけれども、満州事変は満州事変で終結をして、和平協定が結ばれております。そういった一つ一つの戦闘行為については、国際条約、国際協定に基づいて、一つ一つの戦争、一つ一つの事変については、国際的に片づいている話でありまして、そのことについて持ち出すということは私はアンフェアである、こう考えております。  それから次に、私のタウンミーティングの参加の経緯についてですが、いろいろなところに出ますからね。ただこの一つだけをとらえて、これはどうだこうだということはないと思います。会の趣旨や目的等で判断して、これからいろいろな集会に参加をしていくということは当然あり得ることだと考えておりますので、今回についてもそういう判断で出席したものでございます。  以上でございます。残余のご質問につきましては、関係部長からご答弁申し上げます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 区長室長。      〔区長室長(与島正彦)登壇〕 ◎区長室長(与島正彦) 私からは、歴史認識等のうち、関連するご質問にお答えいたします。  初めに、従軍慰安婦に関し、国内外での決議や意見書についての対応でございますが、諸外国を取り巻く状況や歴史的経緯から、それぞれの団体により判断された結果であるというふうに考えてございます。  また、平成五年当時の河野内閣官房長官談話に関するお尋ねですが、河野談話で発表された内容でも、日本軍の直接の関与は否定しており、歴史家による見解も異なり、またその評価もさまざまでございます。今後とも各界の研究を冷静に見きわめ、判断していくことが必要であると考えてございます。  次に、大藏委員に関するご質問ですが、この件につきましては、既に確認しておりますが、ご本人からは、発言に対する誤解であると伺っております。  私からは以上でございます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 教育長。      〔教育長(井出隆安)登壇〕 ◎教育長(井出隆安) 歴史認識について、区教育委員会の見解を求めるご質問がございましたが、言うまでもなく、教育委員会は区立学校の管理など教育行政を行う合議制の執行機関でありまして、お尋ねのような事案について、独自の統一的な見解を持つものではございません。  これらの問題につきましては、さまざまな議論があり、なお調査研究が望まれる面も少なくないと思いますが、さきの戦争に対する村山首相談話及びいわゆる従軍慰安婦に関する河野官房長官談話が政府の公式見解としてある、教育委員会としては、これらに立脚すべきものと考えております。  私からは以上でございます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 教育委員会委員長。      〔教育委員会委員長(大藏雄之助)登壇〕 ◎教育委員会委員長(大藏雄之助) 鈴木議員のご質問にお答えいたします。  アメリカのモンタナ大学での発言の真相についてのお尋ねですが、モンタナ大学マンスフィールドセンターの対話集会は、本来、日米戦争全般を討議するシンポジウムでありまして、従軍慰安婦問題はその中の一部として、日本側から数名、アメリカ在住の韓国人の女性一名の報告がありました。  そこでは、この韓国の方が中心でしたけれども、二十万人の韓国女性が女子挺身隊員として戦地に強制連行されて、売春業に従事させられたということがございました。私にコメントとして与えられたのは一分ぐらいの非常に短い時間でしたが、私は、簡単に、女子挺身隊というのは労働力の動員であって、そのような事実はない、正確ではないということを申し上げました。そしてまた、当時は、売春は国家で公認されておりまして、公娼制度というのがありましたから、いろいろな売春婦がいたということも申し上げました。もちろんその中には、非常に気の毒な状態で強制的にされた方もあるかもしれません。それで、そのような方の境遇については非常に同情すべき余地がございますが、そのような過ちを繰り返さないということで、今、我々日本人はみんな戦争を避ける努力をしていると思います。私もまた戦争の検証を続けていくつもりでおります。  それから次に、民団関係者との会談についてお尋ねがありましたが、お互いに主張を述べ合いまして、その結果、統一日報にどういうことが出ているか私は見ておりませんので、いまだに知りません。私は研究、著述その他いろいろなことを業としておりますので、知らないことを書くということもありませんし、万一発表したものが間違いがあれば、当然直ちに訂正すべきものであると考えております。当日もそういう姿勢で臨みましたし、何度も平謝りに謝るというようなことはなかったと思っております。  以上です。 ○副議長(小川宗次郎議員) 教育委員会事務局次長。      〔教育委員会事務局次長(小林英雄)登壇〕 ◎教育委員会事務局次長(小林英雄) 私からは、教科書採択に関するご質問にお答えいたします。  平成十七年度に行われました教科書採択につきましては、法令、規則等正規の手続に従い、各委員が責任を持って審議し、公正に行われたものと考えております。しかし、こうした審議は本来落ちついた環境の中で行われるべきであり、当時の教育長コメントにもあるように、委員個人に対する非難や中傷が見受けられるなど憂慮すべき状況があったことは、まことに残念でございます。  次に、教科書採択に関する責任についてのお尋ねですが、当該教科書は文部科学省の検定に合格した教科書であり、教育委員会の責任において十分に審議を尽くして採択したものです。  最後に、教科書採択におけるユネスコ勧告の位置づけ等に関するご質問ですが、杉並区立学校教科用図書の採択に関する規則等に基づき、校長や教員などで構成された教科書調査委員会、種目別調査部会による調査及び学校における調査によって、専門的な見地から調査研究を行っております。これらの調査結果を参考にしながら採択を行ったものであり、教員の不可欠な役割を示したユネスコ勧告第六十一条が反映されているものと認識しております。  以上でございます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 三十六番鈴木信男議員。      〔三十六番(鈴木信男議員)登壇〕 ◆三十六番(鈴木信男議員) 再質問をさせていただきたいと思います。  区長の侵略国家かどうかという話の答弁を聞いて、改めて驚いて、あいた口がちょっとふさがらないという思いをしたところであります。  時間もありませんので、簡単にさせていただきたいと思いますけれども、区長の答弁では、過去の戦争というか、そういったものについて当時に基準がなかったので、後から勝手につくったもので判断してはいけない、こういうことなんですけれども、では、その部分はまた後でしっかり論議をすることにしますが、今まであなたは、少なくとも基準がないから侵略戦争であったかどうかを言うことはできないんだということを主張してきたわけですよ。しかし、今から言うと三十五年も前にこういう基準がある、つくられた。あるいは戦争終結そのときにも、国連憲章の内容に、さきの第二次世界大戦は、日本、ドイツそしてイタリアが戦争の出発点といいますか、戦争の始まりをした、そういう侵略国家だということ、こういうことを二度とすることのないようにしましょうということから、すぐ、侵略とは一体どういうことかということが規定をされているわけです。戦後のこういう規定あるいは侵略かどうかということ、それについては、一つは、区長はどういうふうに見るのかどうか。  それからもう一つ、私はこういうお話をしていて思いますのは、それでは区長は、侵略戦争といった場合に、あるいは侵略というのはどういうことを言うんでしょうか。侵略というのは、何のことはない、他国の領土を自分のものに武力でもってしようという、そういうことでしょう。なんですよ。単純なんですよ。したがって、それでは区長が言う侵略とは一体どういうことか、これについてお答えをしていただきたい。この二つについて問うておきます。  それから、タウンミーティングにかかわる問題で、いろいろなところに出ているんだと、そのところの目的など判断して参加をしている、こういう答弁でありました。このタウンミーティングは、それではどういう目的で区長のところに参加の要請があり、区長はその目的がよしと思って参加したことだと思いますけれども、どういう目的であったのか、そのことをもう一度答弁をお願いしたいというふうに思います。  それから、大藏現教育委員長も登壇をしていただいて答弁をいただきました。ほかのことについてもいろいろ答えもしていただきたかったわけでありますけれども、答えは、一つは、委員長もるるお話がありましたが、要するに、このときに大藏委員長はこのように述べているんじゃないですか。慰安婦については強制性はなかった、唯一強制連行したと証言をした吉田清治氏という人物がいたが、その証言はでたらめだということを秦氏が明らかにしている、当時は公娼制があって、売春婦がいたという事実を考えるべきである、自分の祖母、姉がそのような仕事をしていて、売春婦だったと言っていた、私もそう思う、これが問題になった部分ですよ。だから、先ほど何か公娼制もあったとかたくさん連れて来られたとか、そういう中には強制された人も何とかかんとかといろいろ言っていましたけれども、要するにあなたの、委員長が発言されたことは、慰安婦は売春婦だったんだと、こういうことを言ったので、それは違うのではないかと、当日、現場で抗議をあなたは受けていますよね。そしてアメリカのモンタナ大も、こういうことを議事録として残しておくわけにいかない、こういって削除することにしたんですよ。  だから、そこらのところは、教育委員長が登壇して、誤解だったというような発言だったというふうに思いますけれども、決してそうじゃないんですよ。これらの矛盾をどうするのか。だれもがわかるようにしっかり説明をしていただきたいと思うんです。  それで、もっと言えば、私も質問で述べましたけれども、あなたがそんなことは言ってないということで、この場でまた是としようとしておりますけれども、それなら、そんなことは許されないといって、あなたと公の場所で、そのときのことがどうだったのか、そのことを、私はいわゆる対決という言葉を使いましたけれども、話し合いをして、どちらがどうだったのか、こういう事実があったのかなかったのか、どちらがうそを言っているのか、このことについてはっきりさせる用意があると私は証言をいただいております。複数の人からいただいております。そういうことをやる用意がありますか。  私は、大変失礼かもしれませんけれども、大藏委員が学者の先生として自己の研究なり何なりに基づいてそういう主張をされる、それは一つの方向ですから、それはそれでも、私はよくないことだと思いますけれども、それはそれでいいと思うんです。しかし今は、杉並区の教育委員会委員長という最高責任者のポストについたんですよ。それで、この問題をあいまいにするようなことは許されない。五十三万区民の立場からしても許されない。国益の立場からも許されないというふうに私は思いますので、もう一度はっきり答えをしていただきたいというふうに思います。  それから、もう一つ、教科書にかかわってですけれども、次長から答弁がありました。それぞれの委員がそれぞれの責任のもとにいろいろ言って、その結果決まったことだと、しかも検定に合格しているから、その教科書を十分審議をした結果なんだと、こういうことであります。そういう中身はそうですよ、そのとおりですよ。しかし、今あえてここで拾った幾つかのことです。例えば大藏現委員長が、公開質問状についてこういうふうにやってきて云々という経過を話しましたけれども、こういうことについて一つ一つどうなのか。許されるんですか、許されないでしょう。  それから、宮坂委員のことについても五つのことを言いました。区長は、摘発されてないんだから別に悪いことをしたわけでもないような答弁をしたということを、議事録に基づいて私は言いましたけれども、そういうことはあってはいけないんじゃないですか。その点のところを委員会としてはどうなのかということです。
     私は何も個人的に云々ということはありません。やはり公正公平に、しかも厳密に、厳格に審議をした、そういった中でなるほどなということが出なければいけないんじゃないですか。先ほど合議制という言葉がありましたけれども、ちっとも合議制じゃないじゃないですか。賛成多数で可決、成立させただけじゃないですか。もう一度その辺の答弁を求めて、再質問を終わりたいと思います。 ○副議長(小川宗次郎議員) 理事者の答弁を求めます。  区長。      〔区長(山田 宏)登壇〕 ◎区長(山田宏) 鈴木議員の再質問にご答弁申し上げますが、まず私が申し上げたいのは、きょうやった行為を、あす基準を変えてきょうの行為を非難することはできないということ、当たり前のことを申し上げているんですね。そういうことは、事後法の禁止ですよね、刑法でも。そうですよね。当時犯罪と定められてないものを、きょうつくった法律によって裁けないですよね。(「当時から犯罪だって」と呼ぶ者あり)犯罪じゃありませんよ。  それは、先ほど申し上げましたとおり、当時あったのは、東京裁判でも取り上げられましたけれども、一九二八年のパリ条約なんです。このパリ条約は、ケロッグ・ブリアン条約とも呼ばれていまして、フランスの外務大臣とそれからアメリカの国務大臣が提案をしてつくった国際条約です。確かに侵略戦争を禁止しています。しかし、この条約の解釈に当たっては、何が侵略かということについては、担当当事国が決めると、こういうふうにケロッグ国務大臣が当時答弁しているんですね。  要は、先ほど侵略の定義、お話がございました。単に物理的に軍隊をそこに動かすということのみならず、大事なことは侵略意図なんですね。この侵略意図は、侵略意図なのかそれとも防衛意図なのかということについては、やはり今でもその判断は非常に難しいだろう、こう思っています。ですから、そういった意味で、あのパリ不戦条約についても、この条約は結んだけれども、しかし、それ以後も、結んだ当事国であるソ連ですらそれを後で、バルト三国か北欧だったか忘れましたけれども、軍を動かして侵略しているんですね。そういうように──しかし、それはソ連は自衛だと言ったんですね。  だから、結局、この問題について、だれがどう判断するかということについては……(発言する者あり)ちょっと静かに聞きなさい。教室でちゃんと黙って聞いていたでしょう。  そのようにちゃんと判断をすべきだと思うんですね。ですから、侵略意図というものについてどうとらえるかというのが今後も課題だと私は認識しておりまして、国連で一九七二年こういうことが上がったとしても、それが本当に法規的な規制力を持つのかどうかというのはなかなか、残念ながら厳しいなという感じは持ちます。大事な平和への努力というのは、そうやって法律でやることだけではなくて、お互いが相互依存をして、お互いがお互いを認め合うという形でないとできないと思います。  あの戊辰戦争も、話が長くなって恐縮なんですが、私、山口県の出身でして、長州ですよね。しかし、長州の見方は長州の見方なんですね。だけれども、会津から見れば、あの戊申戦争は、会津にとっては不正義な戦争なんですね。今でもそう教えているわけです。長州から見れば正義の戦争、会津から見れば不正義の戦争なんですね。  要は、そういうように戦争というのは立場の違いで相当見方が違ってくるわけです。私は、国際社会においてもそういうことが広がっていると思うんですね。それが普通だったと思うんです。ですから、そういった考え方にあり、なるべく、どうやって今後悲惨な戦争をなくしていくかという努力をすることについては、私、鈴木議員と何ら変わりはないです。しかし、その手法等については、やはりいろいろと検討余地はあるなと、こういうふうに今のご議論を聞きながら考えました。  宮坂委員についていろいろとお話しになりました。私たちはここに、議長の要請によって説明員として呼ばれています。説明員として呼ばれてない人の名前を出して、そして反論の機会もなく糾弾をするということは、アンフェアだというふうに思います。私も議会の一人だったですけれども、議会の守られるべきルールというものがあると思います。ラグビーでもサッカーでもルールがあって、初めてそこからお互いが考えて新しい道を見出すことができると思います。私はそういう点で、いささか今回の議員の質問については、少し遺憾という思いがいたしております。  そんなことで少し話が長くなりましたけれども、大事な話ですので、ご答弁をさせていただきました。あとのご質問につきましては、関係部長からご答弁申し上げます。(「タウンミーティング」と呼ぶ者あり)  タウンミーティングについては、先ほどご答弁したとおり。  以上です。 ○副議長(小川宗次郎議員) 教育委員会委員長。(発言する者あり)  静粛にお願いします。(発言する者あり)けしば議員、静粛にお願いします。(発言する者あり)      〔教育委員会委員長(大藏雄之助)登壇〕 ◎教育委員会委員長(大藏雄之助) 鈴木議員の再質問についてお答えいたします。  私は、真実が伝わる、事実が伝わるのが非常に難しいということが鈴木議員のお話でようくわかりました。  なぜかといいますと、先ほど鈴木議員は、吉田さんという人の書いた本のことと一緒に、私の姉が売春の仕事をいろいろしていたのでということをおっしゃいましたけれども、私はそのようなことを言ったことは一度もありません。私の姉は女子挺身隊で働いたということは言いましたけれども、そう言ったことはありません。なぜならば、私の姉は昭和三年で、昭和二十年の四月に当時女学校四年生になっておりましたから、四年生を卒業して専門学校に進学をいたしました。売春の世話などするような余裕は全くありません。そんなことも考えたこともありません。これはほかの話をしたのが間違っているんです。この人たちはずっとそういうビラをまいているんです。だから、それは明らかに間違いです。  このときに一緒に来ていた西野瑠美子さんという、韓国の従軍慰安婦問題を一生懸命やっている人ですけれども、この人と私は意見は別ですが、この方に私は女子挺身隊員のことを──これは会議の席ではありません、会議の外側です。女子挺身隊員が二十万人も、とにかく日本に連れ去られて売春婦になったというのは間違いだと、こんなこと言えば、日本の女性はみんな当時の人は女子挺身隊に入っていたんだから、日鮮合体といって、韓国でも同じことを日本はやっていたわけですから、それはあり得ないと言ったら、西野瑠美子さんが、この問題は非常に困っています、私たちは韓国で売春婦にされた人たちの支援をしているけれども、韓国の政府初めみんなが、女子挺身隊は売春婦を動員する組織だったというので、これは日本で支持が得られませんよと何回も言っているんですけれども、耳を傾けてくれないんですと言っていました。そういうふうにたくさんの間違いがあります。  私はそのときいろいろな抗議を受けたとおっしゃいましたけれども、国際的に抗議を受けたことはありません。そこに来ていたそのグループの日本人の人たちがいろいろ言いましたけれども、むしろ中国の社会科学院から来ていた人たちは、そのようなことは言いませんでした。  それで、ついでですが、そういう人たちが証言をして私と討論をしたいと言うならば、実りある討論ならば私は幾らでもいたします。しかし、幾ら証拠を挙げて言ってもそれに耳を傾けないで、何とかかんとか汚い声で罵倒するんだったら、それは実りある会議ではありませんから、私はその討論はいたしません。しかし、ちゃんと一つずつ証拠を挙げて、なるほどと納得をするような会議ならば、私はいつでもやります。  それから、つくる会について、私のことがほかのところからお答えがありましたけれども、私が納得をしたというのは、それも全く間違いで、モンタナの会議のときに俵義文さんという人が来ておりまして、いろいろ言いました。それでつくる会がどうのこうのと言ったので、私はつくる会というのは余りよく知らないけれども、つくる会に参加している、東洋大学の同僚ですけれども、桶谷秀昭という、読売文化賞をもらった、評論家で非常に立派な方です、現代史をやっている人です。その人が私に、つくる会に入っているというので、どういうことで入っているのか、つくる会はどういう会なのと聞きました。今ほどつくる会は有名ではありませんでした。その人はいろいろなことを言って、全部の教科書を読むと非常に矛盾したものがある、つくる会がここに一石を投ずるのは非常に意味があるということを話しましたので、なるほどと私が言ったんですけれども、そしたら私がつくる会の教科書に賛成したことになっていて、この方々がずっと前からまいているビラには、私はつくる会の会員だと書いてあります。私は会員でも何でも──今は外しているようです。  私は、仕事上いろいろなところでいろいろな発言をしますから、どこかの団体に入って、そこで拘束をされ、一〇〇%そこに賛成じゃないときに、その人たちに迷惑をかけることがありますので、私はそういう団体に一切参加しないことにしております。ですから、つくる会の会員でもなければ、その後のどこの会員でもありません。ただ私がいろいろな発言をしているのを聞いて、向こうの人たちが賛同者の中に加えているようです。私はこれに抗議をしました。しかし、最近になってやっと外れているようですが、ずっと私の名前が出ておりました。しかし、組織というのはそういう傾向を持っていると私は思っております。  以上です。 ○副議長(小川宗次郎議員) 教育委員会事務局次長。      〔教育委員会事務局次長(小林英雄)登壇〕 ◎教育委員会事務局次長(小林英雄) 教科書採択に関する再度のご質問にお答えいたします。  教育委員の発言についてですが、それぞれの委員が公開の場で責任を持って、また見識に基づいて発言したものであり、こうした自由な審議は保障されるべきものと考えております。  以上でございます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 以上で鈴木信男議員の一般質問を終わります。  ここで午後三時十分まで休憩いたします。                  午後二時五十五分休憩                    午後三時十分開議 ○副議長(小川宗次郎議員) 休憩前に引き続き会議を開きます。  四十六番木梨もりよし議員。      〔四十六番(木梨もりよし議員)登壇〕 ◆四十六番(木梨もりよし議員) どうも皆さん、お疲れさまでございます。自由民主党杉並区議団の会派に所属いたしております木梨もりよしでございます。  区政一般について、特に重要と思われますこと、また、気にかかる点につきまして、時間の関係もありますので、その基本的な考え方を中心に幾つかの質問をさせていただきます。第一に、今後の経済見通しと杉並区の区政運営について、第二に自立した地方政府としての区政運営について、第三に、条例の制定について、第四に、高齢者の介護福祉の充実について、第五に、地球温暖化の問題について、第六に、教育の課題について、以上の点について質問をさせていただきます。  まず、第一の質問として、今後の経済見通しと杉並区の区政運営についてであります。  アメリカのサブプライムローンの問題に端を発して、リーマン・ブラザーズの破綻をきっかけに、世界的な金融危機を引き起こし、また、世界同時不況になるような大変な事態になってきております。  そもそもサブプライムローンの問題は、住宅の値段がローンの金利よりもかなり上回って上がり続けなければ絶対に成り立たないようなものを証券化して、金融商品として世界じゅうに売り出し、アメリカ国内だけでなくヨーロッパ各国、また世界じゅうに大きな損失を与えてしまったということではないでしょうか。結局、世界じゅうの金融機関や投資家がその金融商品の格付を信頼して買って大損をしてしまった、金融商品の格付そのものが大きな信頼を失ってしまったということではないでしょうか。  特に日本にとって貿易の大きなウエートを占めるアメリカ経済の動向は、日本の景気の動向を大きく左右いたします。これからは、金融危機はもとより、アメリカの実体経済が問われてくるのではないでしょうか。  これまでアメリカの中心的産業である自動車産業では、特にビッグスリーと言われているゼネラルモーターズやフォード、クライスラーなどの売り上げが大幅に減少し、経営危機に陥り、その立て直しのために巨額な公的資金が投入されつつあります。また、最も基幹的な産業である住宅産業も、相当冷え込んできております。  私が一番気がかりなのは、アメリカ社会全体がカード社会というか、クレジットやローン社会になっているのではないかということであります。もっとも、若者を中心に、日本の社会もアメリカと同じような傾向になりつつあるのかもしれません。  一般的に日本人は、住宅を取得するときには、こつこつとお金をためて頭金を何とか用意をして住宅ローンを組み、三十年とか三十五年かけて返済し、ああ、ようやく自分のものになったと、みんなほっとするわけであります。しかし、アメリカでは、テレビの報道番組でも取り上げておりましたが、一般的な家庭でも、住宅を担保にして普通にお金を借りて、日常生活をしているわけであります。日本のバブル崩壊のような極端な住宅の値段の下落はないにしても、アメリカでもその傾向はあらわれてきております。アメリカ社会は決してサブプライムローンの低所得者だけの問題ではなく、その足音が一般家庭にまで忍び寄ってきているように思われます。  アメリカに端を発した金融危機と経済危機は、グローバル化した世界経済の中で、ヨーロッパや日本、中国、他のアジア諸国、また全世界にその影響を及ぼしてきております。我が国と最も関係の深いアメリカの実体経済が厳しさを増す中で、アメリカの国内需要の低下、ドルの下落によって円高に拍車がかかり、日本の企業も既に、自動車産業を中心にして、トヨタ、日産、ホンダ、さらにはソニーなどその他の輸出関連企業は、業績の見通しを大幅に下方修正してきており、輸出関連企業を中心に、株価も大幅に下落してきております。  今月七日にアメリカの労働省が発表した十月の雇用統計によりますと、失業者が一千八万人とついに一千万人を超え、失業者の数からいえば、二十五年ぶりの高い水準となっております。  またさらに深刻なのは、景気の悪化が長引く見通しのため、雇用の受け皿が急速に失われることが予測されております。日本においても、輸出関連企業や、それを支える中小企業などの雇用の悪化が懸念されております。  また、今月六日に発表された国際通貨基金、いわゆるIMFの二〇〇九年の経済見通しの改定によりますと、国内総生産の伸び率は、日本はマイナス〇・二%、アメリカはマイナス〇・七%、ユーロ圏もマイナス〇・五%、先進国全体ではマイナス〇・三%と予想されております。もし予想どおり先進国全体がマイナス成長となった場合は、第二次世界大戦後初めてのこととなり、全く異例の事態となります。まさに百年に一度の大変な事態と言っても過言ではありません。  このように日本を含む世界的な不況が予想される中、杉並区として今後の経済見通しをどう考えておられるのか、そして、そのことを踏まえてどのような区政運営をされていくのか、お尋ねをしたいと思います。  次に、第二の質問であります自立した地方政府としての区政運営についてであります。  地方にできることは地方に、そしてそれを裏づけるための税財源を地方に移譲する地方分権の流れは、国民的なコンセンサスとなり、大きく前進してきているのではないかと思われます。そのことは、地方自治や民主主義の発展のためにも大変結構なことであります。  一方、地方自治体が行っている事務事業のさまざまな分野にわたって、その制度設計は国が行っております。日本国全体の行政水準を一定に保つためには、確かにその必要があろうかと思います。しかし、住民といつも身近に接している行政を行っている基礎的自治体こそが、一番区民のニーズを把握することができるでありましょうし、生きた制度設計もできるのではないでしょうか。  山田区長になられて杉並区は、自立した地方政府という表現をよく使われます。行政のあらゆる分野にわたって区民に一番身近な基礎的自治体として責任を持って区民一人一人の幸せを考えていこうという心意気というか志というか、大変すばらしいことだと思います。杉並区の行政も国のさまざまな制度のもとに置かれていますが、区民一人一人の立場に立脚して、よかれと思うことは、また必要と思われることは、独自の判断でやれることはやっていく、自立した地方政府としての区政運営について、その基本的考え方をお聞かせいただきたいと思います。  次に、第三の質問といたしまして、条例の制定についてであります。  世の中のおきてとかルールはさまざまであります。国で定める憲法とか法律、政令、規則、規程など、また地方自治体で定める条例、規則、規程など、またさまざまな団体で決められている会則や規約、規則など、それぞれ置かれている立場で、そのおきてやルールの中でみんな生活しているわけであります。  昨年、幾つかの団体の新年会のときのあいさつだったと思いますが、区長は「国家の品格」を書かれた藤原正彦先生の何か書かれたものを引用して、法律や条例の規制によって成り立っている国家や社会よりも、国民のモラルや良識によって成り立っている国家や社会のほうがむしろ進歩したよい社会であるというような趣旨のお話をしておられました。私もその話を聞いたときに全く同感でございました。  杉並区も、山田区長になられてから幾つかの特徴的な条例を制定してきました。自治基本条例とか杉並区長の在任期間に関する条例、防犯カメラの設置及び利用に関する条例、犯罪被害者等支援条例、生活安全及び環境美化に関する条例、レジ袋有料化等の取組の推進に関する条例、また、今議会で審議されることになっている景観条例、また現在、教育基本条例が検討されております。杉並区の条例制定についての基本的な考え方をお聞かせいただきたいと思います。  また、自治基本条例に対しては地方自治法があり、また教育基本条例に対しては教育基本法があります。これらの条例について、条例そのものの必要性について、区のご見解をお聞かせいただきたいと思います。  この際、条例制定に関して、杉並区の条例の中でも一番上位に立つ自治基本条例について質問させていただきます。  私は、平成十四年の自治基本条例制定のときに一番気がかりだったのは、この条例を制定することによって、杉並区の行政を果たして円滑に進めていくことができるだろうかということでありました。自治基本条例第二章の基本理念のところで、その一部を抜粋しますと、「区民等及び区は……住みよいまち杉並を、協働により創っていくことを目指すものとする。」「前項の目的を達成するために……主権者である区民が、自らの判断と責任の下に、区政に参画することができる住民自治の実現を目指すものとする。」と書かれております。つまり、自治基本条例の中心をなす協働と参画がうたわれております。  この理念を実現していくために最も重要なことは、区民一人一人の合意の形成であります。さまざまな価値観を持った区民全員の意見が一致するのは、なかなか難しいのではないでしょうか。また、区民一人一人の判断と杉並区の判断が違う場合もあるのではないでしょうか。最終的には、選挙で選ばれた区長や議員一人一人が責任を持って判断をしていかなければならないと思いますが、現実的には、その区長や議員一人一人の判断がむしろ全員一致することのほうが珍しいのではないでしょうか。  憲法では、国民の権利に関しては、「公共の福祉のため」とか「公共の福祉に反しない限り」とか「公共の福祉に適合するやうに」とか、公共の福祉が優先するような配慮がなされているわけであります。円滑に行政を進める上で、自治基本条例の理念の中にも、憲法の精神に倣って、公共の福祉の大切さを盛り込んでいく必要があるのではないでしょうか。区としてのご見解をお聞かせいただきたいと思います。  次に、第四の質問であります高齢者の介護福祉の充実についてであります。  杉並区21世紀ビジョンに掲げる区の目標の一つである健康都市杉並の実現を目指す保健福祉分野の基本的、総合的計画として、平成二十一年度から二十五年度までの五年間を計画期間とする杉並区保健福祉計画の改定案が、この十月に出されました。その中で区は、多様な事業を体系的に推進しますが、優先性、緊急性の高い課題については重点推進プランとして、重点的、戦略的に取り組みを進めるとのことであります。  その中でも、特に高齢者分野においては、高齢化の急激な進行により、計画期間中に高齢化率が二〇%を超えることが予想され、今後の地域社会における区民生活に大きな影響を及ぼすものと考え、区としては、生涯現役で高齢者が地域の中で生き生きと暮らしていける元気な高齢社会を目指していくとともに、介護等の必要な高齢者やひとり暮らし高齢者等が住みなれた地域の中で暮らし続けていけるための施策を推進していきたいとのことであります。また、安心して地域で暮らしていくためには、急病時に適切に対応できる医療体制の整備に努めていくことも重要であるとしております。  こうした意味から、重点推進プランの中から三つの課題を最重点プランと位置づけ、より積極的に取り組むこととしております。  その一つ目は、生涯現役で活躍できる地域社会づくりを目指していくことであり、その二つ目は、高齢者の在宅支援を一層強化するとともに、介護保険施設の整備を進めていくことであり、その三つ目は、地域医療体制の一層の充実を図っていくとのことであります。  私は常々、高齢化社会に向けての介護福祉の充実は、緊急性かつ必要性の高い最重点の課題として区に求めてきたわけでありますが、今回の保健福祉計画の改定では、重点推進プランの中でも最重点プランの一つとして位置づけていただきましたことは、大きくかじを切っていただいたものと受けとめ、高く評価をさせていただくものであります。  特に、介護保険サービスの基盤整備について、入所型施設サービスの整備促進ということで、特別養護老人ホームの整備、介護老人保健施設の整備、介護強化型ケアハウスの整備など、あの手この手の手法で取り組もうとしております。また、在宅生活を支える拠点施設の整備ということで、都市型多機能拠点の整備、短期入所生活介護、いわゆるショートステイの整備、認知症高齢者グループホームの整備、認知症対応型通所介護施設等の整備など、より地域に密着した施策が打ち出されております。これらの施策を実際に推進していくためには、相当な財源が必要と思われます。厳しい財政状況であっても、最優先課題として最善の努力を払うことが必要と考えますが、区としての決意をお聞かせいただきたいと思います。  次に、第五の質問であります地球温暖化の問題についてであります。  私は、もう十年ぐらい前になりますか、当時國學院大學の名誉教授であり、考古学者、また歴史学者である樋口清之先生の「うめぼし博士の逆・日本史」という本を読んだときの記憶によりますと、平安時代は幾重にも重ねた十二単を着ていても暑くなかったということであります。なぜかといえば、平安時代は寒かったそうであります。樋口先生の研究によれば、日本の気温は、大体三百年周期で暖かくなったり寒くなったりしているとのことでありました。  そのときから、日本でなく、地球全体が暖かい時代もあったり寒い時代もあったりするので、現在地球温暖化が叫ばれておりますが、そうじたばたしなくてもいいのかなと思っていました。とはいっても、都会における特有のヒートアイランド現象の対策としては、杉並区も行っておりますが、屋上緑化や壁面緑化、また、まち全体を緑化していく必要があろうかと思います。  さきの杉並区議会でも、この問題は若干の議論がありましたが、結局のところ、地球温暖化の主な原因が二酸化炭素、いわゆるCO2なのかどうかということであります。  ことしの夏に買っておいた東京工業大学大学院教授の丸山茂徳先生の書かれた、講談社から出版されております「「地球温暖化」論に騙されるな!」という本を最近読んでみました。  その本によりますと、約一万二千年前、地球の平均気温は現在よりも約七度C低く、北半球では、ニューヨークとロンドンを結んだ線よりも北側の陸地と北極海が全部氷で覆われていたとのことであります。  一方、六千年前の縄文時代、現在より約二度C暖かく、東京の現在の気温が大体青森県あたりの気候になり、この時期に生活していた人々の遺跡の中でも最大のものが青森県の三内丸山遺跡であり、私も二、三度見学しておりますが、大集落であります。その当時の青森は暖かく、縄文の人々はクリの木を栽培したりして、食料も豊富だったんでしょう。  結局のところ、一万二千年前の地球は現在よりも寒く、六千年前は暖かかったということで、地球は寒くなりっ放し、また暖かくなりっ放しということではなくて、大きくは数千年、数百年単位で、暖かい時代もあり寒い時代もあるということではないでしょうか。地球温暖化の主な原因が二酸化炭素ということであれば、六千年前の縄文時代に、地球の気温が現在よりも二度C暖かかったということですから、縄文人を初め、その当時この地球上に住んでいた人類は、現在以上に化石燃料を使い、二酸化炭素を出していなければ、つじつまが合わないのではないでしょうか。  丸山先生は、気温の変動の主な要因を五つに整理されております。  その要旨は、一つは、太陽の活動が活発になると気温は上がる。二つは、地球の磁場が強くなると宇宙線量が減少し、雲の量が減り、気温は上昇する。三つは、大規模な火山の噴火、例えば一九九一年に起こったフィリピンのピナツボ火山の噴火があると、火山灰により太陽のエネルギーの量を減少させ、気温は下がる。四つは、地球の軌道が太陽に近づけば気温は上がる。五つは、温暖化ガスが増えると気温が上昇する。また、この五つ目の温暖化ガスの二酸化炭素による温室効果は微少であり、二酸化炭素が増えるから気温が上がるのではなく、気温が上がるから二酸化炭素が増えるとも言われております。  このように、気温の変動の主な要因である太陽の活動にしても地球の磁場にしても、また大規模な火山の噴火にしても、さらに地球の軌道にしても、私たち人間の力でどうのこうのできる問題ではなく、自然にお任せするしかないのではないでしょうか。現在、日本も含めて世界じゅうの国々が、地球温暖化を引き起こしている犯人は二酸化炭素だと決めつけて、二酸化炭素排出量削減に躍起になっております。石油や石炭などの化石燃料は、確実にいつかは枯渇しますから、エネルギーの転換を図るという意味での二酸化炭素排出削減運動、また空気を汚染しないという、そういう意味からは否定するものではありません。しかし、果たして本当に学術的に、また客観的に、地球温暖化を引き起こしている原因が二酸化炭素だと決めつけてよいのでしょうか。また、そう決めつけた上で世界的な行動計画を策定して、世界の国や企業、また地方自治体などにしても、財政的にも大きな負担となるでしょう。もっとほかにやるべきことがあるんじゃないかと思います。  山田区長もアラスカのほうに行かれて、この問題を研究している科学者の方々とも語り合ったりして、また、いろいろなご考察をされているかと思います。この問題に対する区長のご所見をお伺いいたしたいと思います。  次に、第六の問題であります教育の課題についてであります。  国家や社会が発展し、また人々の幸福を実現していくためには、教育は大変重要であり、また不可欠であります。杉並区立小学校四十三校、杉並区立中学校二十三校、杉並区は、生徒全員をひとしく教育し、社会の発展や自らの幸福も含め、人々の幸福に貢献できるような人物を育て上げる責任を負っているのではないでしょうか。私は、杉並区の教育は全体的に見てよく頑張っておられると評価をしております。しかし、ただ一点だけ、どうも納得できないことがあります。  それは、和田中学校のSAPIXの問題であります。もし福沢諭吉先生や宮沢賢治先生が和田中学校の校長先生であったとしたら、こんなことは絶対にしないのではないでしょうか。教育委員会の判断で、生徒の進学指導のために進学のノウハウを持った進学塾を学校に招いて、教育委員会の責任において、生徒全員にひとしく、しかも無償で提供するということであれば、私の思いも変わるかもしれません。もしSAPIXの夜間授業を受けたくてもお金が払えない生徒は、どう思うんでしょうか。心に痛みを感じているのかもしれません。教育委員会は、このSAPIXの問題をよいことだと思っているんでしょうか。教育委員会のご見解をお聞かせいただきたいと思います。  また、憲法第二十六条「すべての国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」、二項「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。」、さらに憲法第八十九条「公金その他の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。」  SAPIXの問題は、以上の憲法第二十六条、第八十九条に照らしてどうクリアしているのか、教育委員会のご判断をお聞かせいただきたいと思います。  以上で私の一般質問を終わります。ご答弁をよろしくお願いいたします。 ○副議長(小川宗次郎議員) 理事者の答弁を求めます。  区長。      〔区長(山田 宏)登壇〕 ◎区長(山田宏) 木梨議員の一般質問にご答弁申し上げます。  まず最初に、法律とか条例、こういったものに対してどういう考えを持っているかということなんですけれども、お話にありましたように、前も申し上げましたように、基本的には世の中は法三章というか、法律はなるべく少なくて、良識や常識で世の中がおさまっていくというのが一番いい。法律がたくさんできると、それを執行する人が要る、取り締まる人が必要になってくる。どんどんどんどん役所が大きくなっていくわけですね。ですから、人々にとっても、たくさん法律があって複雑だと、どこをどうやったらいいのかというのがわかりにくくなります。ですから、なるべく簡素で少ないほうがいいというのは人類の、また東洋の理想だ、こういうふうに思います。  ちなみに法三章は、殺すな、傷つけるな、盗むなということでしたけれども、基本的にはなるべく法が少なくなっていく、簡素になるということが理想にすべきことだと思っております。ただ、一時的にやはり必要な場合もあると思います。  この杉並区で行っている基本条例と称するものは、本当は、私も国会におりましたからわかるんですが、法を改正して、地方の主権というものをきちっと確立していくことがいいと思うんですけれども、法律改正というのはなかなか進まない。審議会やって、いろいろなことをやって、いろいろな意見を聞いてとやっているうちに三年ぐらいかかっちゃう。しかも、議会がかなりお互いが拮抗していると、さらに時間がかかる。ですから、これをつくろうと思ったときにできなくて、五年後にできたりすれば、例えて言うならば、十三歳のときに服をつくろうと思って寸法をはかってつくり始めたら、五年後にできたら十八歳になっていた、服は着られなくなった、こういうようなことが間々、国会の法律ではあると思うんですね。ですから、フットワークのいい自治体のところで、時代に合わせた条例をつくっていくということは必要なことかなという感じがしております。  そういった意味で、自治基本条例、また地方自治の流れの中で地方自治がやっているさまざまな事務、また行政について、そういった基本的なルールというものを定めていくということは必要だと。ただ、国全体にルールができてくれば、そういう条例は廃止したらいい、こういうふうに思うんですね。  そういった意味で、未来永劫、何か法律や条例があるということではなくて、常にどれを廃止できるかというのを考えていくということが大事な政治の責務かなという感じはしております。
     なお、教育基本条例等については、一応条例とは申し上げておりますけれども、今後、教育委員会の議論の中では、条例なのかまた別の形があるのかということは、現在議論していると伺っております。その辺も含めて対応されるものと考えております。  それから、地球温暖化についてのご所見を伺いました。私がまさにアラスカ大学の北極圏研究センターでお聞きをしたさまざまな研究者の議論と相通ずるものがあると思っております。  CO2については、基本的には、一言で言えば、これが今の温暖化の原因であるというような科学的証拠は一つもありません。ありませんけれども、地球が温暖化していることは事実だ。ただ、今お話があったように地球のバイオリズムかもしれない。アラスカに行きましたけれども、確かに氷河は後退している部分があります。でも、これは一八〇〇年から後退しています。そのときはCO2などほとんど排出されておりませんでした。しかし、一方で延びている氷河もあるんですね。寒くなっている場所もあるわけです。ですから、そういった意味で、地球の場所によるというところもあろうか。海流の影響かもしれません。  いずれにせよ、温度が上がってくると凍土が解けて、その中に閉じこめられていたCO2がぼんぼん出てきますから、暖かくなるとCO2が増えるというほうが科学的には正しいと言われています。  ただ、CO2じゃないといいながらも、こういう温暖化に向かっていく地球に対して我々は何をしなければいけないか、考えなきゃいけない。CO2もそのうちの一つだと思います。もう一方は緑化ですね。砂漠化を防いでいかなければいけないということ、それからエネルギー、これも過剰消費をやめなければいかんということですね。ですから、省エネ体制というものを徹底的に考えていく必要がある。車ばかりの道路から、自転車を優先する道路に変えなければいけないわけですね。そういうことを一つ一つ積み重ねていくということが非常に大事なことだと考えております。  CO2に特化することがちょっと危険だなと思うのは、排出権取引でありまして、これは、ほとんど努力しないところと努力するところ、余り努力しないところと、もともとみどりをたくさん持っているところがお金の取引をするなんていうようなことは、本当にインチキくさいなと、こう思っていまして、CO2問題というのは、排出権取引で持てる国から持てない国にお金を移動させるという、そういう仕組みの印象もあります。  ですから、私は、やはりこの問題はもう少し冷静にやっていく。緑化を進める、砂漠化を防止する、区内のみどりを増やす、そして省エネ体制に向かう。ごみについてもリサイクルについても、エネルギーをかけて再資源するというのではなくて、なるべくエネルギーをかけないで再利用を進める。そのためには拡大生産者責任が絶対必要になる、こういうことだと思います。  ですから、そんなことをもう少しいろいろと、いろいろな意見を戦わせる必要があるなという感じを持って、私も帰っております。こういった議論ができることがよくて、これしか正しいものはないんだということは非常に危険だという感じがしております。そんなことで、そういう感想を持ちました。  残余のご質問につきましては、関係部長からご答弁申し上げます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 政策経営部長。      〔政策経営部長(高 和弘)登壇〕 ◎政策経営部長(高和弘) それでは続きまして、私からは、関連する事項のご質問にお答えいたします。  初めに、今後の経済見通しと区政運営に関するお尋ねにお答えいたします。  内閣府が今月十七日に発表した七月から九月期の国内総生産(GDP)速報値は、約七年ぶりに二・四半期連続のマイナス成長を記録し、与謝野経済財政担当相は、景気は後退局面にあることを明言しております。また、先行きについても、政府・日銀ともに景気判断を下方修正したほか、経済協力開発機構(OECD)は、二〇〇九年、平成二十一年の日本経済をマイナス成長と予測するなど、今後の日本経済は、海外経済の減速や円高の影響などを受け、著しく不確実性が高まっていると認識してございます。  区財政は一定のタイムラグを伴い景気変動の影響を受けますので、景気後退が確実になれば、二十一年度以降の区税収入や都区財政調整交付金の減少が見込まれるなど、大きな影響があるものと予想しております。したがいまして、区といたしましては、常に最悪の事態も念頭に置きながら、これまで以上に財政規律を維持しつつ、財政の健全化に努め、区民生活を支えていく責任を果たしてまいる所存でございます。  次に、自立した地方政府としての区政運営の基本的な考え方についてでございます。  地方分権の時代における地方政府のあり方として、基礎的自治体の使命は、自らの地域が置かれている状況を的確に把握し、その将来のありようを国任せにすることなく自ら考え、創造し、切り開いていくという気概と実行力を持って、住民一人一人の幸せを支える地域社会を築いていくことにあると考えております。そのための区政運営の基本は、区民と地域の置かれている課題を解決していく政策力、自立を支える強固な財政基盤の確立、そして最少の経費で最大の効果をもたらすためのたゆまぬ行財政改革の推進にあると考えております。  次に、自治基本条例の理念の中に、憲法に倣って公共の福祉の大切さを盛り込むべきではとのお話がございました。参考とさせていただきたいと存じます。  なお、自治基本条例の見直しにつきましては、さきに区がまとめた見直しに関する検討結果をお示ししたところであり、今後、議会でのご検討を踏まえ、具体的な見直しに向けた作業を進め、議会と協議を進めてまいりたいと考えております。  私からは以上でございます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 高齢者担当部長。      〔高齢者担当部長(長田 斎)登壇〕 ◎高齢者担当部長(長田斎) 私からは、高齢者介護の基盤整備のお尋ねについてお答えいたします。  区民の五人に一人が六十五歳以上の高齢者となる今日において、高齢者が元気で安心して暮らし続けていくためには、特別養護老人ホームなどの介護保険施設の基盤整備は、最優先で取り組むべき課題の一つであると考えております。事実、今回の区民意向調査でも、高齢者福祉施策の充実は、区民の要望の第一位となっています。  区はこれまでも、高齢者福祉の向上に力を注いでまいりましたが、とりわけ特別養護老人ホームについては、入所待機期間の短縮を目指して、その整備に優先的に取り組んできたところでございます。  ご承知のように都市部においては、用地の確保やコストの問題など、施設整備を進める上でさまざまな問題がありますが、今後も引き続き、公有地等の活用や運営法人への助成などさまざまな手法により、介護が必要になっても安心して暮らしていくことができるよう、特別養護老人ホームや介護老人福祉施設などの入所施設の整備を着実に進めるとともに、高齢者が住みなれた地域で安心して暮らし続けることができるよう、都市型多機能拠点やショートステイ、ケアつき住宅など、在宅生活を支えるための基盤整備に取り組み、いつまでも健やかに暮らすことのできる杉並の福祉の向上に全力で取り組んでまいりたいと考えております。  私からは以上です。 ○副議長(小川宗次郎議員) 教育長。      〔教育長(井出隆安)登壇〕 ◎教育長(井出隆安) 和田中学における特別補習事業に関連した教育の課題についてのご質問にお答えをいたします。  初めに、通称夜スペの評価のお尋ねでございますが、この補習事業は、学習意欲のある生徒の学力向上を図るために、和田中地域本部が運営主体となって私塾と連携して行う、学校の教育活動外の自主的な取り組みでございます。区立学校における学力向上の取り組みは、学校教育を中心に行われるべきことであることは言うまでもございません。  同時に、今日学校には、地域社会と積極的に協力連携し、学校外の多様な教育資源を活用していくことが求められており、地域本部による特別補習事業の取り組みも、学力向上を目指す学校教育外での試みとして尊重し、その活動を見守っているところでございます。  なお、地域本部では、受講者のうち、経済的な理由から費用を負担することが困難との申し出のあった生徒に対しましては、私塾側と協議の上、減免措置を講じており、学習機会の公平などにも配慮しながら対応しているものと受けとめております。  次に、特別補習事業と憲法上の規定に関連したお尋ねにお答えをいたします。  公の財産の利用等の制限について定めた憲法八十九条との関係でございますが、特別補習事業の運営主体である地域本部は、和田中のさまざまな教育的活動を支援することを目的に設置された、公共性の高い任意団体でございます。また、地域本部の活動も、学校との間で締結した協定書に基づき、校長の求めや承認のもとに行われているほか、区の支援要綱に基づき、関係書類の提出や施設使用に伴う手続がなされ、学校及び区教育委員会の一定の関与のもとに行われていることなどから、特別補習事業は公の支配に属する事業であると考えております。  なお、教育を受ける権利等を定めた憲法二十六条との関係につきましては、特別補習事業が学校教育内の活動として行われているものではなく、地域本部が当該校の希望する生徒全員対象に行う学校の教育活動外の取り組みであることから、同条にも抵触するものではないと考えております。  教育委員会といたしましては、議員ご指摘のとおり、子どもたち一人一人の学力の伸長と豊かな人間性をはぐくみ、社会の発展や人々の幸福に貢献できる人物を育てることを目指して、地域のさまざまな力を結集しながら、今後も公立学校に求められる責務を果たしてまいります。  私からは以上でございます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 以上で木梨もりよし議員の一般質問を終わります。  三番松尾ゆり議員。      〔三番(松尾ゆり議員)登壇〕 ◆三番(松尾ゆり議員) 杉並わくわく会議・松尾ゆりです。  きょうは、教育と環境の二つの分野について質問しますが、冒頭に区長の政治姿勢について伺います。  昨年来の経済危機が、この秋から急速に深刻さの度合いを増しております。九月のリーマン・ブラザーズの破綻以来、アメリカの大手金融機関の経営危機、全世界の株価急落、実体経済の冷え込みの中で、各国が根本的な打開策を持たないまま経済対策に追われています。  我が国においても経済は急速に冷え込んでおり、緊急経済対策が強く求められるところですが、残念ながら、政府・与党にはその実行能力が著しく欠けているようです。  麻生政権に対する批判は日に日に募っていくばかりですが、とりわけ緊急経済対策の目玉として打ち出された定額給付金については、批判が高まっています。いろいろな世論調査を見ると、おおむね六割前後が「評価しない」としています。経済効果が期待できず、選挙目当てのばらまきではないか、政策目的がわからないといった批判のほか、所得制限をめぐって首相が、自治体が決めればいいと丸投げしたことも、混乱に拍車をかけています。  一方、自民党の税制調査会は、法人税を下げて消費税を上げるという方向性を打ち出しています。つまりは、一万二千円もらって見返りは消費税増税ではないかということになります。消費税の引き上げと法人税の引き下げは、多国籍大企業の税負担を回避し、国民全般に負担を転嫁する政策として、経団連を初めとする財界の宿願であり、また歴代政権の課題でもあります。消費税は、輸出企業にとっては輸出戻し税の形で、支払うどころか逆に収入になる税であり、他方、低所得者ほど実質負担割合の重い逆進性の強い税です。引き上げは容認できません。後々消費税引き上げが控えていることを考えれば、なおさら定額給付金には警戒心を持ちたくなります。  さて、山田区長が先日テレビのインタビューで、この定額給付金について、前代未聞だと発言していたのを私もたまたま見ましたが、実際の区民への給付を行う杉並区として、区長は、この定額給付金についてどのように評価しているでしょうか。その経済効果について、また、自治体丸投げの政府・与党の姿勢についての評価を伺います。  また、定額給付金が本当に実施されるのかどうか、どうもだんだん怪しくなってはきましたが、給付金の実施が決定された場合、区としてはどのように対応するのでしょうか、お答えください。所得制限など、どのように判断するのでしょうか。国が決めたことは粛々して行うというお返事になるかもしれませんが、区としては、経済政策としての妥当性の問題、財源の問題など、国に対し意見を述べていくべきではないかと考えます。  それでは次に、教育行政について伺います。  一点目は、学校選択制です。  先ごろ江東区が、学校選択制を一部見直して、小学校は原則学区の学校に入学する制度に戻すことを発表しました。また前橋市は、学校選択制を全面的にやめるという決定をいたしました。ほかにも選択制の廃止、見直しを検討している自治体があると報道されています。  報道によりますと、江東区が見直しをした最も大きな理由は、地域とのつながりが希薄になるということのようです。また前橋市も同様の理由を挙げたほか、登下校の安全確保、生徒数の偏りの発生などの問題を挙げています。  お隣の練馬区では、学校選択制の検証のため、保護者、教職員にアンケートをとっています。教員に対し、保護者の変化を尋ねた問いに対して、「PTAや保護者会に積極的な保護者が増えた」という回答はわずか七・五%であるのに対して、「学校に対し個別に接触し、要求する保護者が増えた」が四三%にも上っています。当節モンスターペアレントなどと言われますけれども、地域と切り離され、個人で学校と対峙している保護者の姿が浮かんできます。  当区においては、地域運営学校や学校支援本部など、地域人材を取り込むための事業に力を入れる一方で、学校希望制で地域の子どもが地域の学校から離れていくというのは非常に矛盾しているのではないかと、私はかねがね思ってきました。実際に、希望制で入学した保護者がPTAの地域パトロールに、関係ないからと参加しないという例もあります。ご本人にしてみれば、住んでない地域のことだからというのかもしれませんが、地域と学校の関係が希薄になっている一例だと思います。  そこで、まず伺いますが、いいまちはいい学校を育てる、学校づくりはまちづくりを掲げている教育長は、こうした他区市の見直しの動向についてどのように受けとめていますか、所見を伺います。  九〇年代から始まった市場原理至上主義、競争至上主義とでもいいますか、こうした流れは小泉政権時代に花開き、自己責任、自己選択という言葉が大手を振ってきました。とりわけ労働市場の規制緩和は、今日の深刻なワーキングプア問題をもたらし、批判が高まっております。教育界における競争原理の導入、自己責任論は、イギリスのサッチャー教育改革にその原形があると言われますが、イギリスの教育改革の失敗も、既に指摘されているところであります。  当区においても、学校を競わせる競争原理による教育改革が、この間施行されてきました。その根幹が学校の生徒数を競わせる学校希望制です。二〇〇〇年の杉並の教育を考える懇談会の中では、現状の指定校変更でも十分ではないかなど、慎重意見が盛んに出されたにもかかわらず、最終報告に学区の弾力化が盛り込まれ、PTAや議会での懸念の声を強引に押し切る形で学校希望制が導入されました。選ばれることで学校同士が競い合い、特色ある学校づくりが進むという趣旨でしたが、机上の計算は往々にして狂います。金融市場ではありませんけれども、ここでもまた完全な市場などは存在しないのです。公式どおりには機能しておりません。  学校選びでの現場で見たことをちょっと申し上げますと、例えば、校舎がきれいだからという理由で選ぶ、また人数が多いほうがいいという理由もあります。それから、これが非常に問題なのですが、あそこの学校は荒れているらしいとか、統廃合でなくなるらしいという根も葉もない風聞、あるいは一人の保護者がある先生とトラブったために、こんなひどい先生がいるから絶対行かないほうがいいよと周りの人たちに悪口を言うケース。こういうささいな理由に左右されて学校を選ぶ保護者も、一部にはいらっしゃるわけです。  さきの練馬区のアンケートでも、「うわさや風評で学校を選ぶようになった」という回答が保護者で四五%、教員では何と六五%にも上っています。それは当たり前で、本来、公立学校同士が目に見えて格差があってはいけないわけです。まして教育内容というものは、ぱっと見で違いがわかるようなものではありません。だから、目に見える学校の設備とか口コミ、うわさで選ぶようになります。ほかに違いを見出せないからです。きめ細かい教育をしていて、子どもたちも生き生きとしているいい学校が、風評のおかげで子どもが激減、クラスも減り、先生も減るという憂き目に遭うかと思えば、実はいじめとか子どもの非行とかいろいろと問題を抱えている学校が、マスコミにちょっと出たからといって大勢の生徒が集中する。人気校の周りでは、何の落ち度もないのに、あおりを食らって生徒数が激減する学校が出るという現象が起きてしまいました。学校希望制のもとで、学校は選ばれるために確かに努力しておられます。しかし、その努力が生徒数の増加には結びつかないシステムになっているのです。  学校希望制の導入と同時期に教育改革アクションプランが制定をされ、学校予算のあり方も変わりました。例えば、区のお墨つきで小中一貫をやった学校には何千万円もかけたプログラムが提供され、校長の望む特色ある教育の予算がプラスアルファでつく一方、自ら小中一貫教育をやりたいと提案した学校は、教育委員会からだめと言われたという例もありました。区長や教育委員会の進めたい施策に真っ先に手を挙げて協力する校長には設備や予算面での優遇が与えられ、そうでなく独自に工夫を凝らしても予算を却下される。競争のための平等な条件を整えるどころか、教育委員会自らが格差を助長してきました。  その結果、本来連携、連帯すべき区内の学校同士が、とりわけ隣接する学校同士が子どもをとり合う敵同士の関係に変わってしまいました。区の政策によって無用な対立をさせられているのです。もともと市場原理主義の教科書どおりにうまく機能しない学校希望制の欠陥に加え、区の予算配分による誘導は、杉並区の学校教育に深刻な格差と分断をもたらしているのではないでしょうか。  そこで伺いますが、杉並区の教育委員会としては、学校希望制八年目を迎えて、この制度のメリット、デメリットについてどのように認識していますか。  また、他区市で行われているように保護者や教員へのアンケートを行ったり、検討会を設置するなどして、学校希望制の検証を行った上で、制度の欠点を改め、見直しを図るべきと考えますが、この点についていかがお考えでしょうか。  教育行政の二番目として、中学生レスキュー隊について伺います。  この問題については、決算特別委員会でも質問いたしました。合宿でまるでレンジャー部隊みたいな訓練をやっているとか、海上保安庁で不審船撃退の説明を受けたなどの内容には驚きました。また、ある区議会議員の方のブログに、昨年の防災訓練で、レスキュー隊の子どもたちが遺体を運ぶ訓練をしていたと書かれていたのにはぞっとしました。この事業をこのまま推進していいのだろうかという思いで質問をいたします。  現在設置されているレスキュー隊将来ビジョン検討懇談会では、区立の中学校の校長先生たちにレスキュー隊についてのアンケートをとった結果が資料として提出されました。それによると、現場の校長先生たちは、評価する声もある一方で、問題点を多数指摘されています。  第一に、学校と教員は学力向上と健全育成に集中すべきであって、レスキュー隊活動を教育課程に位置づけるのは難しいという意見。第二に、学校にとっては、教育活動以外の余分な仕事になって負担であるという点。第三に、子どもの安全という点から危惧を感じるという意見。第四に、防災という角度から見ても逆効果もあるのではないかという意見。例えば、目立つ活動より包帯の巻き方やお年寄りの介助など、安全で実践的な訓練をすべき、その場だけのあり得ない訓練は、生兵法は何とやらになりかねないという声もありました。訓練がショー的になっているのでは、あるいはパフォーマンス的な活動を控えさせたいと、内容に対する意見も見られます。遠回しではありますが、レスキュー隊という形だけを整え、マスコミや外部向けにPRする道具として子どもと学校を利用することへの批判ではないのでしょうか。また、危機管理にかかわる場面へ子どもを組み込むことへの危惧も感じられます。  こうした声に対して、教育委員会はどのように答えていくのでしょうか。検討懇談会の中で出された提言骨子案には、顧問教員を設定することが必要と明記されておりますが、必ずレスキュー隊顧問の先生がいるということになるのでしょうか。ご存じのとおり、現在、中学校は部活が思うに任せない現状があります。先生の異動などで顧問がいなくなり、活動できなくなるケースが相次いでいます。新たにレスキュー隊の全校設置が義務づけられ、顧問がそちらにとられると、また一つ部活がつぶれることになるのですが、部活としての位置づけをしていくと考えているのでしょうか。この点について、まず伺います。  また、レスキュー隊に対する学校現場のたくさんの懸念の声を、区はどのように受けとめて解決していくつもりなのでしょうか。区の方針によれば、レスキュー隊の目的は、中学生の防災意識と地域貢献の意識向上を図るとあります。しかし、地域貢献というのであれば、福祉施設にボランティアに行くもよし、地域清掃を行っている学校もたくさんあります。レスキュー隊でなくては地域貢献にならないということはないはずです。高齢化した町会の人たちが、中学生が避難所訓練に参加すると喜ぶというお話もあります。しかし、レスキュー隊でなくても、避難所訓練には参加をしている中学生はたくさんいます。防災技能を身につけることは、学校のセーフティー教室などの機会に十分できると思います。あえてレスキュー隊を全校設置する理由が全くわかりません。  各地でも、中学生が地域防災に協力するというケースは間々あります。しかし、私が知る限りでは、当区のように不審船の話を聞きに行ったり、ロープ登はんの訓練をしたりというケースはありません。もっと地道に、AEDの操作とか、包帯の巻き方とか、けが人の運び方とかを練習している程度だと思います。  私の見るところ、レスキュー隊の目的とするところは、別のやり方、別の場所で立派に全うできるものであって、学校側の懸念の声や負担感を無視してまで全校にレスキュー隊を設置することの必然性と意義は全く認められません。レスキュー隊事業を子どものボランティア活動や防災技能の習得、地域とのつながりというそれぞれの角度から再検討し、それぞれの機能がもっと充実して達成できるように、別々の事業へ再編し、見直ししていくことを求めます。この点について見解を伺います。  次に、環境問題について伺います。  一点目に、杉並中継所の廃止について伺います。  十月十五日の区長会で、杉並中継所を含む不燃ごみ中継所六カ所の廃止が決定されました。杉並病公害の原因施設となった杉並中継所の廃止は、はっきり言って遅きに失したものだと言えると私は思っています。また、その廃止の理由も、公害に対する反省ではなく、行政の都合によるごみ区分の変更の結果にすぎず、公害解決に対して杉並区が相変わらず全く無関心、無責任であることに強い憤りを覚えるものであります。  さて、本日お聞きしたいのは、この施設の跡地利用についてです。ご承知のように、この施設は清掃事業の施設として都から譲り受けたものであり、二十年間は清掃以外の用途には転用ができません。そのことから一部の論調として、プラマークの容器プラスチック、これの中間処理施設、つまり選別、圧縮、梱包を行う施設に転用すべきとする意見があります。区としては、プラスチック中間処理施設としての利用を選択肢として検討しているのでしょうか。また、区民などから中間処理施設にしてほしいという要望が出たことはあるのかどうかを、まずお聞きします。私は、中間処理施設としての利用には反対です。  中継所は杉並病の原因施設でありますが、公害の原因物質は、公害等調整委員会でも明らかにされておりません。ただ専門家は、被害者の多くが化学物質過敏症と診断されていることから、恐らく中継所で圧縮されている大量のプラスチックから発散、排出された揮発性の化学物質や重金属が原因ではないかと推測しています。容リプラの中間施設は、中継所ほど大量のプラスチックを処理するわけではありませんが、しかし、中継所よりもずっと高い圧をかけて圧縮作業をしています。中継所と同じような被害が起こらないとは限りません。  一つの判断材料として、環境省のセミナーで報告された研究があります。プラスチックの加熱などでどのような物質が発散されるかという研究ですが、その中で、中間施設の手選別工程及び圧縮機の近辺で、非常に高濃度の揮発性有機化合物が測定されているという指摘がございます。今のところ具体的な健康被害等は報告されていませんが、この中間処理による環境汚染や健康被害は、今後非常に危惧されるところです。区は、こうしたプラスチック中間処理施設の危険性についてどのような認識を持っているのでしょうか、伺います。  また、私は、このような危険性の可能性があるという観点から、中継所廃止後にプラスチックの中間処理施設に転用するようなことは、これまで負担に苦しんできた地域の方々にとっては、到底容認しがたいことであると思います。プラスチック中間処理施設として利用することはないということを確認していただきたいのですが、いかがでしょうか。  この項の最後に、中継所は当面、リサイクル関連の施設、例えばリサイクルひろば高井戸のようなリユースの施設として活用することが望ましいと思いますが、この点について見解を伺います。  最後に、外環道地域PIについて伺います。  杉並での地域PIの活動が始まり、地元町会の方々で構成される地域PI運営会が七回、町会プラスより広く一般公募した約百名の方から構成される課題検討会が二回開かれ、そのほとんどを私は傍聴してまいりました。この間の議会の質疑の中でも述べられてきましたように、区の担当部局は、外環道の事業者である国と東京都に対して、昨年一月の区長意見に対する回答が不十分であるとして、さらなる説明と情報提供を求め、随分と努力をされてきたと思います。地域PIの中で国や都から補足説明が行われてきたことは、区の努力あってのことだと思っております。  しかし、それにもかかわらず、国と都の説明は非常に不誠実なものであることは変わりありません。十月に開かれた地域PI第二回課題検討会では、地下水の影響についての補足説明がありました。外環道の予定地である善福寺地区は、区民の大切な財産である善福寺公園を中心とする豊かなみどりあふれる土地です。そこで地下水に異変が起これば、木が枯れ、みどりが失われてしまう危険性もあります。そのためこの水の問題は、私たち区民、とりわけ地元の方々にとっては、最も関心の高い問題と言えます。  国によれば、地下水の問題を解決するためには、流動保全工法というやり方をとり、道路の建設で遮断された水の流れを、人工的にバイパスをつくって上流から下流に流すとのことでした。外環道の環境影響評価書では、地下水流動保全工法は不確実性はない、つまり確実だと書かれています。しかし、当日の参加者の中からは、既存の施工例の観測データによれば、近年再び地下水の流れが阻害されており、上流と下流の水位差の拡大が観測されているという指摘がありました。この日、国の担当者は、不確実性はないとしたのは実際の事例に基づくものではないというふうに述べて、この工法は万全ではないのではないかという疑念が広がりました。  地域PIの会議では、区民から、我々の疑問はすべて区長意見に盛り込まれている、今必要なのは住民の意見を出すことではなくて、区長意見に国と都が意味ある回答をしてくれることだという意見、要望が繰り返し繰り返し出されています。また、区も会議の席上、必要な説明をするよう求めています。にもかかわらず、この地下水の件一つとっても、国と都の姿勢は、極めて不誠実かつ不十分であると思います。区は、引き続き区長意見に対する十分な回答、説明を要求していくべきだと思いますが、いかがでしょうか。  第二回課題検討会の最後には、八つに分かれたグループのすべてから、外環本線の必要性の有無からもう一度議論をしたい、また、二回で終わらせるのではなく、もっと話し合いを続けてほしいという意見が出ました。検討メンバーとして登録されている方々は、当然第三回が開かれるものとして待っておられるんだと思います。  ところが、先週開かれた地域PIの運営会では、国は、プロセスは完了したとして、次回は開催するものの、あくまでも第三回ではなくて補足説明の会であると一方的に宣言をしました。これは参加している区民の意思に大きく反するものです。当然区民からは、勝手に終わらせないでほしい、国は疑問に十分答えていないのに、プロセスが完了したというのはどういうことか、国は地域PIをほうり出してしまうのかと、強い反発の声が起こりました。  このように区民から国や都に対するたくさんの意見が出ている中、国と都はPIの課題検討会を打ち切ろうとしています。国と都は、沿線地域PIを一わたり行い、住民の意見を聞いたという文書だけをつくって実績とし、いよいよ事業化に踏み出していくのではないでしょうか。杉並区は区長意見で、事業着手まで容認するものではないと明確に述べております。今後、区民と国や都との対話の場を区としてはどのように保証していくのでしょうか、考えをお示しください。  なお、最後にもう一点お聞きします。  さきに述べた流動保全工法は、区内の環八井荻トンネルで適用されています。井荻トンネルは、周辺で地盤沈下があったために、途中から流動保全工法を用いたと伺っていますが、その結果、現在は地下水は一体改善されているのかどうか。上流、下流の水位は再び差が開いているという情報もあります。区として把握しておられることがあれば、教えてください。  貴重な自然環境の破壊を招かないよう、区が外環道計画に毅然と対応すること、また、住民参加のPIが民主的手続として十分に機能するよう、国や都としっかり交渉していくことを求めて、私の一般質問を終わります。 ○副議長(小川宗次郎議員) 理事者の答弁を求めます。  政策経営部長。      〔政策経営部長(高 和弘)登壇〕 ◎政策経営部長(高和弘) 私からは、松尾議員のご質問のうち、定額給付金についてお答えいたします。  まず、定額給付金についてでございますが、所得制限の有無などを自治体の判断に任せるという国のやり方については、多くの自治体が戸惑いを感じていることと存じます。こうした国の政策は、その政策目的を明確にした上で、責任を持って制度設計を行うべきものと考えております。  また、実施された場合の経済効果についてでございますが、内閣府の試算によりますと、実質GDP(国内総生産)を〇・一%押し上げる効果があると伺ってございます。  次に、区としてどのように対応するのかとのお尋ねがございました。具体的な実施内容について、まだ通知を受けておりませんので、これを見て対応してまいります。  私からは以上でございます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 環境清掃部長。
         〔環境清掃部長(原 隆寿)登壇〕 ◎環境清掃部長(原隆寿) 私からは、杉並中継所廃止後の活用策についてのご質問にお答えいたします。  現在区では、庁内に検討組織を設置いたしまして、施設の規模や構造のほか、中継所をめぐるこれまでの経過などを踏まえ、地域住民のご理解が得られるよう、区として総合的な観点から活用策を検討しているところでございます。  なお、現時点で、ご指摘のような特定の施設を前提とした要望等はございません。  私からは以上でございます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 都市整備部長。      〔都市整備部長(上原和義)登壇〕 ◎都市整備部長(上原和義) 私からは、外環道地域PIに関するご質問にお答えいたします。  区長要望に対する回答や区民との対話の場についてのお尋ねですが、地域PI課題検討会は、国及び東京都が外環沿線の地域ごとの意見や考え方を聞き、集約する場として設置したものでございます。しかしながら、杉並地域においては、区の要請により国及び東京都が特に時間を設け、区長要望に対する現時点での見解を説明し、区民の疑問や質問に答える時間も設けております。  課題検討会につきましては、午前中もご答弁申し上げましたが、現在、十二月の開催に向け準備を進めているところでございます。区としては、今後も説明を求めてまいる考えです。  次に、井荻トンネルでの地下水流動保全工法についてのお尋ねですが、区からも国に対して説明を求め、第二回課題検討会において国から説明がございました。説明によれば、土留め壁の工事完了後に地盤沈下が報告され、地下水対策工事を行い、工事前と比べ、トンネル東側の観測井の水位が同程度に回復したものと、なお水位低下しているものがあったとのことです。地盤沈下につきましては、現在はおさまっており、新たな影響が出たとの報告は受けてございません。  地下水流動保全工法等につきましては、引き続き説明を求めてまいる考えでございます。  私からは以上でございます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 教育委員会事務局次長。      〔教育委員会事務局次長(小林英雄)登壇〕 ◎教育委員会事務局次長(小林英雄) 学校希望制に関するご質問にお答えいたします。  江東区や前橋市などで制度の見直しの動きがあることは承知しておりますが、いずれも、選択対象となる学校の範囲を、広域から児童生徒の居住地に近接した地域などに変更するものであり、隣接校方式を実施している当区の制度と類似した制度になるものと認識しております。  本区の学校希望制は、ことしで八年目を迎えておりますが、児童生徒や保護者に学校選択の幅を広げることにより、学校や教育のことを改めて親子で考える機会になっており、十八年度に行ったアンケート調査でも、半数以上の保護者から好評を得ております。希望申請者の割合も、小中学校ともに二〇%程度で推移しており、制度として定着してきたものと考えております。  また、選ばれる側に立った学校側は、教育活動等の充実のため、地域との連携を深め、魅力ある学校づくりに向けて不断の努力や工夫を重ねております。このことは、学校の潜在的な力を引き出し、区立学校全体の質の向上につながったものと評価しております。教育委員会といたしましては、実施状況を絶えず検証し、さらなる制度の充実を図ってまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 教育改革担当部長。      〔教育改革担当部長(森 仁司)登壇〕 ◎教育改革担当部長(森仁司) 私からは、中学生レスキュー隊に関するご質問にお答えいたします。  初めに、レスキュー隊の位置づけについてでございますが、現在レスキュー隊は、各校の判断で、部活動あるいは生徒会活動等として位置づけ、それぞれの実情に即した活動が行われているところですが、今後は、中学生が参加しやすい環境を整えるため、位置づけについても改めて整理してまいる考えでございます。  次に、アンケートを通じて寄せられた学校現場からの意見等についてですが、学校からは活動を評価する声が多く寄せられましたが、一部には、活動内容や方法が明確ではないなどの声もあったと受けとめております。本年度設置した外部の有識者、区民も委員としてご参加いただいております中学生レスキュー隊将来ビジョン検討懇談会では、こうした意見も参考にしながら、今後の望ましいあり方等について提言していただく予定でございます。  最後に、レスキュー隊事業の再編、見直しをとのご指摘でございますが、中学生レスキュー隊は、豊かな人間性の育成や自己有用感の高揚という面からも高い教育的効果を有する事業であり、今後も、教育、子どもの成長という視点に立って、活動のより一層の充実に努めてまいる考えでございます。  私からは以上でございます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 三番松尾ゆり議員。      〔三番(松尾ゆり議員)登壇〕 ◆三番(松尾ゆり議員) 再質問いたします。  まず、区長の政治姿勢についてというふうに私は申し上げまして、区長の政治姿勢をお聞きしたいということでございます。この間、区長はいろいろ答弁をなさっておりますが、なぜかこの定額給付金については答弁をなさらないですね。先ほども言いましたように、テレビでは何かいろいろおっしゃっているようなんですが、私も全部見ているわけではありませんので、もう一度この場で、正式な議会の場で、どのようにお考えになっているかはお話しいただきたいというふうに思います。  自治体丸投げがどうかということについては、多くの自治体が戸惑いを持っているという部長からのご答弁がありました。また経済効果について、いわゆる区長の政治姿勢というのは、政治家の一人として、経済効果について政策的な判断としてどうなのかということまで踏み込めるのかどうかわかりませんが、お聞きしたいという趣旨ですので、答弁をお願いします。  それから、環境問題のほうが先ですね。まず、一つは、プラスチックの中間処理施設の危険性が指摘をされているということについて、これは答弁漏れだと思いますので、答弁をしてください。これ、ちゃんと通告してありますので、ちゃんと答えてください。  それから、ちょっとよくわからなかったんですけれども、今のところ特定の施設というふうに考えてないということは、プラスチックの中間処理施設というのも選択肢に入っているというふうに私は理解しますけれども、そういう理解でよろしいのかどうかということです。  それと、私が提案しましたリユースの施設ということも検討の選択肢の中に入っているのかどうか、改めてお聞きしたいと思います。  外環道について。  課題検討会、引き続きやっていきますというお返事をいただきましたけれども、私もそう思っていたんですね。ところが、先週の二十一日でしたか、運営会に出ましたら、国のほうは、いや、課題検討会は基本的にもうプロセスが終わったんですと言ったんですよ。それで、三回目というか、今度またやるんですけれども、その十二月にやるというのは、課題検討会の三回目ではなくて、あくまでも第二回に疑問が残った部分があったので補足の会だというふうに言いました。要するに国は、いろいろな百人ほどの方、全員いらしているわけではなくて三分の二ぐらいの方なんですけれども、その方たちの意見が非常にたくさん、さっきも言いましたように出ているわけなんですけれども、にもかかわらず、この話し合いはもう打ち切って、PIをやりましたということにしてしまいたいんだと思うんですね。これは、区の担当者の皆さんも非常に困っておられる点だと思うんですけれども、あくまでも次の会を引き続き今までのような、区役所を利用してだかどうかわかりませんけれども、全体で行う課題検討会、区民が疑問を出してまた国がそれに誠実に回答していくようにということを引き続き求めていくべきだと私は思います。一回、二回とやってきました。これは三回、四回と続いていくんだと区民は思っているんですよ。ところが、この間国が言ったことはそうじゃなかったので、なので、改めてご答弁を求めたいと思いますけれども、区としては、国のこのやり方にちょっと待ったをかけて、三回目、四回目をちゃんとやるべきだということをやっぱり交渉でかち取っていただきたいんですね。そこのところをお返事をお願いいたします。  井荻トンネルの流動保全工法ですが、なお水位低下が当時でも観測されているということでしたけれども、私がいただいている資料で、おととし時点で、やはり上下流の地下水の水位がまた開いてきているというご指摘の資料もございますので、この点について引き続き説明を求めるということですので、ご答弁は結構ですけれども、この点についても区が引き続き努力されて、都や国に説明を求めていくことをご要望いたします。  それから教育についてでございます。私は、教育長にというふうにお尋ねしましたのは、いいまちはいい学校を育てる、学校づくりはまちづくりですか、この標語を掲げておられる教育長として、地域と学校の関係の希薄化を招くのではないかという私の指摘に対して、この間の他区市の見直しを踏まえてどのように思われるかということを改めてお聞きするものであります。  それから、二つ目ですけれども、今、次長のほうからお答えがありました、メリットはこういうのが、こういうのが、こういうのがありましたと言ってくださったんですけれども、デメリットはないんですかね。私はあると思うんですけれども、デメリットはどんなものかというのも、これも答弁漏れかなと思うので、答えてください。  それから、アンケートをとりまして、保護者におおむね好評でしたということなんですね。このアンケートなんですけれども、練馬区の場合、学校の教職員の方にも聞いておられるんですが、杉並区としては、教職員の方にはお聞きにならないでしょうか。この点についてもお答えをお願いしたいと思います。  レスキュー隊についてですけれども、今各校ごとに位置づけが違うというのは、私も承知しております。一部部活のところもあれば、生徒会でやっているとか、個人参加の学校もあるようです。ただ、区の計画では全校に設置をしていくというふうになっておりまして、今回の検討懇談会も、それが前提になってお話をされているものと思いますので、ちょっとこの辺のところ明瞭にしていただきたい。  顧問教員を設定するのが必要だというふうに書いているので、必ず部活にしていくのかなというふうに私は素直に受け取ったんですが、そのあたりはどのように考えたらよろしいのかと思います。  最後に、部長今、豊かな人間性の育成、自己有用感云々ということで高い教育効果があるというふうにおっしゃられたんですけれども、高い教育効果があるのかどうか。学校のアンケートを見ますと、確かに評価する声もありました。それは私も否定しませんけれども、それと同じぐらいというか、もっと多いというふうに私なんか印象では受けたんですけれども、困っているとか、ちょっと心配だという声もかなりあったように思います。ですので、同じ教育効果をどうしてレスキュー隊という形でないと上げられないのか、そこのところはどうも説得力がないように思いますので、もう一度その点について答弁をお願いいたします。  以上です。 ○副議長(小川宗次郎議員) 理事者の答弁を求めます。  政策経営部長。      〔政策経営部長(高 和弘)登壇〕 ◎政策経営部長(高和弘) 私からは、定額給付金についての再度のご質問にお答えいたします。  私がご答弁した内容も区長がインタビュー等で申し上げてきたことも、自治体や国民に混乱を来さないように、まずは国が責任を持ってきちんと制度設計に努めるべきとの考えを述べてきたところでございます。  以上でございます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 環境清掃部長。      〔環境清掃部長(原 隆寿)登壇〕 ◎環境清掃部長(原隆寿) 私からは、杉並中継所に関しましての松尾議員の再度のご質問にお答え申し上げます。  何点か再質問がございましたけれども、先ほどのご答弁とほぼ同様になるかもしれませんが、現在は検討を開始したばかりでございまして、全くの白紙でございます。いずれにしましても、施設の持つ条件やあるいは特徴、そしてまた、これまでの過去の経過等を十分考慮しながら、最大限広い活用策を考えてまいりたいと存じます。  なお、特定施設を前提といたしました見解というのは、この場では差し控えたいと存じます。  私からは以上でございます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 都市整備部長。      〔都市整備部長(上原和義)登壇〕 ◎都市整備部長(上原和義) 私から、地域PI課題検討会についての再度のご質問にお答えいたします。  十二月に開催する方向で今準備してございます課題検討会を含めまして、区といたしましては、地域PIのプロセスの一環としての課題検討会と考えてございます。第二回の課題検討会においても参加者の方からもご指摘がございましたけれども、多々ご意見が出される中でも、地下水の問題というのは非常に大きい問題であるし、周辺環境の問題が課題とされているということは、衆目の一致するところではないかと思います。  今後、意見集約が行われると存じますけれども、それらの課題について、国、都が対応の方針をまとめる過程でも、まさにPI、パブリック・インボルブメントの考え方が貫徹されますよう、国、都に、区といたしましても要望をしてまいります。  私から以上でございます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 教育委員会事務局次長。      〔教育委員会事務局次長(小林英雄)登壇〕 ◎教育委員会事務局次長(小林英雄) 学校希望制に関する再度のご質問にお答えいたします。  まず、地域との協働の方針との関係ですけれども、保護者等が主体的に学校を選ぶということを通して学校への関心が高まり、およそ八割の方々は近くの学校を選んでおります。学校支援本部等の取り組みも相まって、協働の取り組みは前進しているというふうに受けとめております。  また、デメリットはないのかということですが、一部風評などに左右されるといった面はあると思いますが、主要な側面ではないというふうに思います。  また検証についてですが、今年度は総括的な検証を予定しておりますので、その方法等については、その中で検討してまいります。  以上でございます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 教育改革担当部長。      〔教育改革担当部長(森 仁司)登壇〕 ◎教育改革担当部長(森仁司) 私から、松尾議員のレスキュー隊に関する再度のご質問にお答えいたします。  中学生レスキュー隊は、ご案内のとおり、十七年度に立ち上げて今年度で四年目になりますが、教育委員会のほうでは、二十二年度に全校で設置をすることを視野にしておりますが、これまでの成果等を踏まえながら、中学生レスキュー隊将来ビジョン検討懇談会を改めて設けて、部活動などの位置づけを含めて、学校現場の声も十分踏まえながら、検討懇談会において議論していただいているところでございます。  いずれにしましても、今後は、レスキュー隊の意義、役割を再確認しながら、教育課程の内外あるいは学校の教育活動外などに分けながら、学校、地域、区教育委員会の役割分担なども整理しながら、より効果のある事業として再構築してまいりたいと考えております。  私からは以上でございます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 以上で松尾ゆり議員の一般質問を終わります。  二十六番大槻城一議員。      〔二十六番(大槻城一議員)登壇〕 ◆二十六番(大槻城一議員) 私、大槻城一は、杉並区議会公明党の一員として、区政一般について質問をさせていただきます。本日最後の質問となりますが、よろしくお願いいたします。  初めに、みどりのまち杉並区について質問をさせていただきます。  杉並区では現在、建築・開発行為を行う場合、すべて緑化計画の届け出が必要となっています。平成十八年度からは、二百平米未満の個人が建てる住宅にも緑化計画概要書の届け出が義務化されました。東京都下の自治体では杉並区だけではないのでしょうか。このことは、杉並区が近年、都市化の進展や宅地の細分化によって急速にみどりが失われつつあり、緑化計画の実行により、住宅都市としての良好な環境を保全し、ひいては住宅の資産価値を高めることを目指したものでした。  区民に緑化計画を求めることは、区民の側に経済的負担や、植物という生物を維持管理していくという肉体的負担もお願いすることになります。そこで、緑化助成について、当区は自治体として手厚い体制がとれているのかが問われるのではないでしょうか。杉並区は、みどりのあるまちづくりに向け、接道部緑化助成や屋上・壁面緑化助成を設けていますが、他の自治体と比較した場合、助成項目や予算、執行率、一件当たりの助成額についてはどのような状況なのでしょうか、お伺いいたします。  接道部緑化助成は、隣地境界部以上に他の住民の目に触れ、まちの景観づくりに効果が期待されます。杉並区では、接道部緑化助成について、直近二年間は一〇〇%近い執行率があります。しかし、助成件数は年間三十から四十件台とのこと。先ほど触れましたように、民間住宅建築に際し緑化計画を必ず求めるわけですから、杉並区では年間一千件くらいの緑化計画が提出されています。その中で助成を受けているのが三%から四%という状況は、みどりのまち杉並区を目指す自治体として対策が必要と考えます。予算額を増やし、緑化施策を進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。  当区の緑化助成は、平成十四年の要綱策定から六年がたち、緑化を進める社会的環境も大きく変化しました。特に本年は、夏に洞爺湖で環境を主題にしたサミットが開かれるなど、世界的にも大きな関心事になりました。  そこで、当区でも今まで進めてきた接道、屋上、壁面の緑化助成の要件緩和をし、より多くの区民が助成を受けやすい体制をつくることが今後必要と考えますが、区のご見解をお伺いいたします。  みどりのある街なみを築くには年月が必要となります。例えば、区内に緑化推進のモデル地区を指定し、区民に理解しやすいまちづくりの成果を提示することが必要ではないでしょうか。区の見解をお伺いいたします。  杉並区は住宅地が九〇%程度を占めています。屋上緑化は屋上のある家でしかできませんが、壁面緑化は、壁のない家はないことから、大きく展開が可能です。都市部の限られた敷地や建物で、床面を使うのではなく、壁面という縦方向の緑化が今後有効と考えます。また、住宅の壁面にこだわる必要もなく、生け垣でもよいし、フェンスや補助材に、当区がみどりのカーテンで行ったように植物をはわせる方法も考えられます。これは手入れがしやすいという利点もあります。  縦方向の接道部緑化は、輻射熱を吸収し、ヒートアイランド現象にも効果があり、特に人が歩いているときには暑さが軽減されることが報告されています。  身近な良好な環境の維持管理について、人は、自らの家事動線の中にないものには興味を持ちにくく、大切にしない傾向があります。つまり、例えば屋上のある家で屋上を緑化しても、ふだん屋上に行く生活習慣がない場合、その緑化を維持することは、より困難になります。その点、生け垣やフェンスなどを利用した縦方向の緑化は、その後もいつも自分の視界の中に入るため、興味の対象ともなりやすく、手の届く範囲にあるため、手入れや工夫もされ、見た目にも美しい状態になりやすいものです。私は、そのような身近なみどりの創出こそ、住宅地が大半を占める杉並区として大切なポイントになるのではと考えます。そしてこれに緑化助成をすることで、区の緑化を推進し、ひいては街なみの景観にも寄与すると考えますが、いかがでしょうか。  個人の住宅と比べ、緑化を推進しやすいのが公共施設ですが、当区では、平成十五年から平成十九年までに、小学校及び中学校合わせて十三校が壁面緑化に取り組んでいます。今後の杉並区における公共施設の壁面緑化について、区の見解をお伺いいたします。  次に、緑化への啓蒙という視点ですが、すぎなみ地域大学や区の各種講座、ガーデニング教室などで、壁面緑化や接道部緑化、生け垣の防災・防犯効果等を周知していくことで、区民お一人お一人に、自分にもできる身近なみどりの創出、身の丈の緑化についての啓蒙が考えられますが、区はどのようにお考えでしょうか。  私は、仮称我が家の景観緑化大賞などを制定し、例えば環境博などで区民の緑化への工夫、貢献を表彰することにより、緑化を広く啓発できないかとも考えますが、区の見解をお伺いいたします。  最後に、本日は緑化という観点のみ私は取り上げさせていただきましたが、トータルの杉並のまちづくりのビジョンが大切かと思われます。景観条例及び景観計画の策定に向け、今定例会でスタートを切ろうとしています。そこでは、区民や事業者との協働の目標及び行動が必要と考えますが、将来の世代に渡される杉並区のまちづくりについて、区の具体的ビジョンをお伺いいたします。  次に、ひとり暮らし高齢者世帯及び高齢者のみ世帯について質問をいたします。  先日、杉並区主催の介護セミナーに参加いたしました。評論家の樋口恵子氏が講演をされ、幾つかの実例を挙げながらの話は、大変に興味深いものでした。日本は一九七〇年に六十五歳以上の高齢者人口が七%を占める高齢化社会を迎え、一九九四年に二倍の一四%を占める高齢社会へと進みました。この変化はフランスでは約百年かかり、他の先進国ではほぼ五十年、しかし、日本はわずか二十四年で高齢社会を迎えたのです。そして、他の先進国に例を見ない点では、他の国々では高齢化が一〇%台後半の状態にある中、日本は二〇%台を超え、高齢化の一途をたどっています。  女性の平均寿命は二十三年間日本が世界第一位、男性の平均寿命も常に高順位にあります。それに引きかえ、ご存じのとおり出生率は一・二台。いわば超高齢化社会のスパイラルが日本では進んでいるのです。約三十年前、現役世代八人で一人の高齢者を支えていた時代から、現在、現役世代四人で一人の高齢者を支える時代に、そして、現在定年を迎える団塊の世代が七十五歳を超えるころには、現役世代二人で一人の高齢者を支える時代が待っています。さまざまな予測の中で人口統計ほど確率の高いものは余りないとのこと、予測できづらい事象には対応が困難なものもあるかと思われるが、予測がほぼつくものには私たちは備える必要があるとの樋口氏の主張には、私も同感であります。  私たち公明党は、未来に責任を持つ政治をテーマに掲げています。次の時代のために、今一つ一つ堅実な施策が求められています。  本年三月発行の杉並区高齢者実態調査報告書には、さまざまな課題提起がされています。「今後充実すべき高齢者施策」については、「ひとり暮らしの高齢者に対する施策」が三八・一%と、高く注目されていました。また同報告書には、六十五歳以上の高齢者の世帯状況について、ひとり暮らし高齢者の二一・四%、高齢者のみの三五・五%を合計すると五六・九%となり、子世代と同居しない高齢者のみ世帯の増加が顕著にあらわれています。ひとり暮らし高齢者世帯及び高齢者のみ世帯についてどのような問題点を把握しているのか、区の見解をお伺いします。  今後急増する高齢者のみ世帯について、予測される問題の一つに高年齢化ということがあります。先ほどの報告書によると、近所とのつき合いがほとんどない場合、親族との会話や連絡もほとんどないと、一〇・七%の方が回答しています。また、社会的孤立の状況についての報告では、親族の方とも近所の方とも、そして他の関係性構築に通ずる何らかの活動もされていない方、例えば老人会などですが、六十五歳以上の一・七%という、つまり杉並区では、約十万人の高齢者のうち約千七百人の方が社会的孤立の状況に追い込まれていることになります。ひとり暮らしの高齢者や高齢者のみ世帯の心と体のセーフティーネットをどのように構築していくかは、今や差し迫った課題と言えるでしょう。病に倒れていないか、心のバランスは大丈夫か、だれにも相談できず途方に暮れていないか、行政サービスの情報は伝わっているのか、一人一人に丁寧に目を向ける、高齢者に優しい見守りサービスが今求められていると思います。
     当区では、ひとり暮らしの高齢者や高齢者のみ世帯の方に対して、声かけや見守り活動を地域の皆様と協力しながら行う地域のたすけあいネットワークを実施しています。同報告書では、将来そのような状況になった場合、四一・六%の方が「利用したい」との回答がありました。ちなみに「利用したいと思わない」との回答は一五%でした。  当区では、高齢者の見守りサービスについて各所管ごとで対応をし、高齢者施策課が中心となって対応されてきました。今後、高齢者のみ世帯の増加が急激に予測される中、今まで以上に庁内での一体化した体制及び対応が必要と思われますが、区の見解をお伺いします。  また、同報告書では、将来介護が必要となった場合に希望する住まいの形態について、六十五歳以上の六割を超える方が、現在の住まいに住み続けたいと回答されています。IT社会が進む中、高齢者の緊急通報システムなど、民間企業を中心にさまざまな機械を利用してのサービスが提供され始めています。今後は、より洗練されたIT等を使用したサービスの提案が待たれているところです。  しかし、その一方、同報告書では、携帯電話やメールやファクス、インターネットなどを「いずれも使わない」との回答が四一・八%で、四割以上の高齢者が、最近の情報機器との接点がない状況が浮かび上がっています。私の家族を見ても、そのことは常々実感されるところです。機械操作の苦手な高齢者も多いことから、電話等を使った双方向の、高齢者に優しい見守りサービスが求められると思いますが、区の見解をお伺いします。  私は、一年前の第四回定例会で、住宅困窮者の高齢者世帯について一般質問をさせていただきました。その折に、民間アパートの大家が安心して高齢者に住宅を貸せるよう、高齢者の安否確認の意味も込めて、週に一度、電話による見守りサービスを区の予算でしていただけることになりました。その後状況を調べますと、これ以上電話による見守りサービスが増えると、現在頼んでいるNPOでは対応し切れなくなるおそれがあるとのことでした。  現在、民間企業のオペレーションシステムでは多様なサービスが提供されています。訓練もされ、マナーやクレーム対応にも適応し、相当な人数に対応可能とのこと。今まで一部でNPOにより対応していただいた当区の電話による見守りサービスは、人員の問題もあり、増大することが予想される高齢者のみ世帯に対応していくには限界があります。そこで、民間企業のオペレーションシステム等を利用した体制も必要と考えますが、区の見解をお伺いします。  さらに、同報告書には、自由回答の項目の中に、情報格差についての問題提起がありました。そこには、杉並区が行政としてさまざまなサービスや制度をつくっていても、「実感無く見逃していました」との率直なご意見が載っていました。また、この情報格差を埋めるのが今後の行政の手腕との指摘もありました。私もそのとおりだと思います。  区役所にいらっしゃる多くの方々は、まず対面の案内係のところへ寄られます。ここで、自分はどこへ行けばよいのかがわかることが問題解決の第一歩です。多分、行き先を検索できる立派な機械が目の前にあっても、多くの高齢者の問題解決にはならないのではないでしょうか。同報告書にも、余り複雑なものは老人にとっても理解できにくいとの声がありました。もちろん、さまざまな角度から高齢者へのアプローチが必要と思われますが、私は、電話による見守りサービスこそ、お一人お一人のお声を聞きながら、それぞれに必要な情報の窓口になり得るのではとも思うところです。高齢者の情報格差対策にも有効と考えます。  私は先日、憲政記念館で行われた憲政の父尾崎行雄の生誕百五十周年の行事に参加いたしました。当日講演された小泉元総理は、この会場の憲政記念館正面には尾崎先生の銘板があります、そこには「人生の本舞台は常に将来にあり 九十四歳尾崎行雄」と刻まれている、二十代の人が言うならいいが、九十四歳の尾崎先生がなお人生の本舞台は常に将来にありと、ここに学ぶべきものがあると述べられていました。  私は、杉並に住んでおられる高齢者の方々が寂しい思いをしない、そしていつまでも健康で楽しく、地域と協働していける生きがいのある生活がある、まさに人生の本舞台は常に将来にあると実感できる杉並区を目指すべきと考えます。  以上で私の質問は終了いたします。ありがとうございました。 ○副議長(小川宗次郎議員) 午後五時を過ぎようとしておりますが、この際、会議を続行いたします。ご了承、お願いいたします。  理事者の答弁を求めます。  区長。      〔区長(山田 宏)登壇〕 ◎区長(山田宏) 大槻議員の一般質問にご答弁申し上げます。  私からは、みどりある街なみと景観条例についてお答え申し上げます。  まず、杉並区はみどりの都市と標榜しているわけですけれども、このみどりをこれから、先ほどもお話し申し上げましたように増やしていかなければいかんということで、来年度は高円寺駅周辺のまちを、みどりの条例に基づくモデル地区に指定しまして、これから区民、事業者一体となって、高円寺の駅前の改修もございますので、身近な緑化を進めて、みどりが増える高円寺を、まずまちのレベルでつくっていきたい、こう考えております。  さらに、将来の一つの提案というか課題として、議員からもいろいろとご提言いただきました縦の緑化、とりわけ生け垣等について一層力を入れられないか、こう考えております。やはり緑化をできる部署というのはかなり限られておりまして、むしろ農地とか屋敷林とか見てみますと、どちらかというと減る傾向に、残念ながらあります。こういった流れの中で、なるべく減るスピードを抑えながら、もう一方で新たな緑化場所として、私は生け垣、接道部が非常にいいんじゃないか、こう考えております。これは単に景観やみどりが多いというふうに歩きながら見えるだけではなく、防犯上もまた防災上も非常に有効な手段だと考えておりまして、この接道部の緑化というのは、私有というよりもむしろ半分公有ですね、公のみどりではないか、こういうふうな認識が必要ではないかと考えております。  これまでも生け垣のいろいろな推進はありましたけれども、今後、今お話がありましたように、別のモデルとして、住宅地の中にばっと両方が生け垣になっているというような地域ができてくれば、ああ、こうなればいいなとなりますし、また地域の価値も上がってくると思うんです。  こういったことに対して、今までなるべく、それは私有地だから自分で出しなさいよとこう言ってきたわけですけれども、その部分、どれぐらい公が関与できるか、公のみどりとして認知できるか、こういった課題はあろうかと思いますけれども、ぜひ、どこかの場所をそういった接道部緑化、生け垣が続くときれいだな、防犯上もいいな、防災上もいいなと、こういったような場所ができてくればいいなと。三十年、五十年かけて杉並の半分ぐらいがそういうふうになれば、全然違ったまちになるんじゃないか、こういうふうに考えております。  そういったことなども今検討しながら、景観条例を今議会に上程を予定しておりますけれども、今後区民との協働で新たなみどりをどうつくっていくか。一つは、善福寺川などこういう川と、それから水辺のみどりというものが一つの杉並の景観でありますし、また、大田黒公園や旧角川邸などに見られるように、特色ある、由緒ある建物などが続いてできている街なみというものも一つの景観の大事な姿として大切にしていかなきゃいけないと考えておりますが、もう一方で、今申し上げたように、これから我々が三十年、五十年、百年とつくっていく、そういった新たなみどり、こういったものも新しい杉並の景観にしていく必要があるんじゃないか。こういったものを区民協働でつくっていくということが一つの基本理念になるのかなという感じがしております。  残余のご質問につきましては、関係部長からご答弁申し上げます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 土木担当部長。      〔土木担当部長(小町 登)登壇〕 ◎土木担当部長(小町登) 私からは、みどりのまち杉並に関する残りのご質問についてお答えします。  まず、緑化助成についてのお尋ねですが、生け垣などの接道部緑化は非常に重要と考えており、他区に先駆けてさまざまな緑化事業を展開してまいりました。十九年度の接道部緑化助成の予算額は四百六十五万円、執行率九五%、一件当たりの助成額の平均は、およそ十三万円でした。区民のご協力によって接道部の緑化延長も延びてきておりますので、今後も引き続き検討してまいりたいと存じます。  屋上・壁面緑化の助成については、予算額は一千万円、執行率は七七%、一件当たりの助成額は、平均およそ五十五万円でした。区といたしましては、屋上・壁面緑化の助成制度については、他区の水準を上回っているものと考えております。  接道、屋上、壁面の緑化助成の要件につきましては、これまでも、緑化義務のある部分まで助成対象を拡大するなどの見直しを行ってまいりましたが、今後も必要な見直しを行ってまいりたいと存じます。  次に、壁面緑化の有効性についてのお尋ねですが、ご指摘のとおり、壁面緑化は、有効性の高い緑化手法として区も認識しております。しかし、壁面緑化は屋上緑化と比較して管理が一般に難しいことから、余り普及しておりませんでした。近年では技術も進み、見た目もきれいなパネル等による壁面緑化技術が開発され、また、みどりのカーテンなど簡単にできる壁面緑化が増えてまいりましたので、今後は、これらも活用した壁面緑化の普及に努めてまいりたいと存じます。  次に、公共施設の壁面緑化についてのご質問にお答えします。  区はこれまで、一般公共施設においては、四施設で壁面緑化を実施してまいりました。これからも、施設の改修改築時にあわせて緑化を進めてまいります。  また、区立小中学校においてはエコスクール化を推進しており、現在十二校の壁面緑化を行ったところですが、子どもたちも苗を植えたり手入れをするなど緑化にかかわっており、環境教育実践の場となっています。今後も壁面緑化の実施校を増やしてまいります。  私から最後になりますが、緑化活動の啓発に関するご質問にお答えします。  これまでも区では、みどりの新聞や各種講座、イベント、みどりのボランティア活動等を通じ、啓発に努めてきたところです。今後も内容の充実に努めてまいりたいと存じます。  個人の緑化活動に対する表彰制度のご提案がございました。区内にはさまざまな形での区民の緑化活動がございますので、区の関連事業や国や都の制度を参考に、今後考えてまいりたいと存じます。  私からは以上でございます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 高齢者担当部長。      〔高齢者担当部長(長田 斎)登壇〕 ◎高齢者担当部長(長田斎) 私からは、高齢者施策に関するご質問にお答えします。  最初に、ひとり暮らしや高齢者のみの世帯の抱える問題点についてのお尋ねですが、ひとり暮らしあるいは高齢者のみで暮らしている方には、そのような住まい方を自ら選択され、日常生活を充実して過ごしていらっしゃる方も多数いらっしゃいます。  しかし、そのような方たちが身体機能等が低下したときに速やかに適切なサービスに結びつけていくことが大変重要であると考えております。特に、近隣や親族とのかかわりが少なく、とじこもりがちな生活を送っている方の中には、健康や食生活等に深刻な問題を抱えながら必要なサービスを受けていない場合もあり、できるだけ早い段階からのアプローチや情報提供が必要であると考えております。  次に、高齢者の見守り体制についてのお尋ねですが、高齢者の見守りについては、地域包括支援センターが中心となって、協力員、協力機関による地域たすけあいネットワークによる見守りを行うとともに、介護保険や配食などの訪問系サービスによる安否確認などを行っております。  今後も、孤立死防止対策の庁内連絡会の場等を十分に活用して、高齢者の訪問にかかわる関係各課との連携をさらに強め、その中で高齢者見守り体制の充実を図ってまいりたいと考えております。  次に、緊急通報システムの充実等についてのお尋ねですが、民間事業者が行っているオペレーションシステムには、電話健康相談、定期的な電話訪問、室内の状況を感知する機器による安否確認サービスなどがございます。  今後、現在の緊急通報システムにこれらの多様なサービスの導入を図り、ご指摘のような電話による双方向の見守りサービスも含めて、高齢者が必要なサービスを選択して利用できるような方向で検討してまいりたいと存じます。  以上でございます。 ○副議長(小川宗次郎議員) 以上で大槻城一議員の一般質問を終わります。  以上で日程第一を終了いたします。  議事日程第二号はすべて終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。                   午後五時〇九分散会...